YouTubeで「1899」

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1899 の概要

「1899」は、2022年11月17日にNetflixで独占配信が開始されたミステリー&サイエンス・フィクションのドラマシリーズです。
この作品は、世界的な大ヒットを記録したドイツのNetflixオリジナルシリーズ「ダーク」のクリエイターである、ヤンチェ・フリーセとバラン・ボー・オダーが手掛けたことでも大きな注目を集めました。
物語の舞台は、タイトルの通り1899年。
ヨーロッパ各地から新天地ニューヨークを目指す移民たちを乗せた蒸気船「ケルベロス号」が、航海の途中で大西洋上に漂流している謎の船「プロメテウス号」を発見するところから始まります。
プロメテウス号は数ヶ月前に消息を絶ったとされており、その発見がケルベロス号の乗客乗員たちの運命を大きく狂わせていくことになります。
このドラマの最大の特徴は、その国際色豊かなキャスティングと、多言語が飛び交うリアリティあふれる描写です。
乗客たちはそれぞれ異なる背景や暗い過去、そして秘密を抱えており、船という閉鎖された空間で、彼らの人間模様と不可解な現象が複雑に絡み合っていきます。
ジャンルとしては、ミステリー、ホラー、SF、そして時代劇の要素が融合しており、視聴者は息をのむような展開と、謎が謎を呼ぶ重層的なストーリーに引き込まれます。
『ダーク』のクリエイター陣らしい、難解ながらも緻密に計算された伏線と、人間の深層心理に迫る哲学的な問いかけが、本作の大きな魅力となっています。

1899 のオープニング

「1899」には、特定の決まったオープニングシーケンス(毎回流れるOP映像)は存在しませんが、作品の世界観を凝縮した公式予告編(トレーラー)が、その役割を担っています。
予告編は、視聴者を一気に1899年の大西洋上の不穏な雰囲気へと誘います。
移民たちの希望と不安が入り混じる表情、重厚な船内の装飾、そして不気味な静けさの中で発見されるプロメテウス号の姿が印象的に描かれています。
映像と共に流れる音楽も、作品のミステリアスなトーンを強調しています。
特に、ジェファーソン・エアプレインの「White Rabbit」をダークかつスローなアレンジでカバーした楽曲が使用されており、これが現実と幻想が交錯する本作のテーマと見事にシンクロしています。
この選曲センスも、「ダーク」のクリエイター陣ならではと言えるでしょう。

1899 の詳細

「1899」は、前述の通り、バラン・ボー・オダー(監督・脚本)とヤンチェ・フリーセ(脚本・製作総指揮)のコンビによって生み出されました。
彼らはこの作品のために、ドイツのベルリン郊外にあるバーベルスベルク・スタジオに、ヨーロッパ最大級のバーチャル・プロダクション・ステージ(通称「ボリューム」)を新設しました。
これは「マンダロリアン」などで使用された最先端のVFX技術であり、巨大なLEDスクリーンに背景を映し出しながら撮影を行うものです。
この技術により、広大な大西洋の海上や、船内の複雑なシーンを、極めてリアルかつ幻想的に描き出すことに成功しています。
シリーズは全8話構成で、各エピソードは約1時間の長さで構成されています。
各エピソードのタイトルは、船の座標や特定のキーワード(例:「The Ship」「The Boy」「The Fog」)となっており、物語の進行と共に謎が少しずつ解き明かされていく構成になっています。
物語の特徴として、登場人物たちがそれぞれの母国語(英語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、ポーランド語、デンマーク語、ポルトガル語、広東語など)を話す点が挙げられます。
これにより、言語の壁によるコミュニケーションの困難さや、異文化間の緊張感がリアルに描写されており、多国籍な移民船という設定に強い説得力を持たせています。
この多言語設定は、字幕や吹き替えの制作においても大きな挑戦であったとクリエイターは語っています。

1899 のキャスト

「1899」は、その国際色豊かな物語を反映し、ヨーロッパ各国を中心とした実力派の俳優たちが集結しています。
主要な登場人物とその演者は以下の通りです。

  • モーラ・フランクリン (Maura Franklin): エミリー・ビーチャム (Emily Beecham)
  • エイダン船長 (Eyk Larsen): アンドレアス・ピーツヒマン (Andreas Pietschmann)
  • ダニエル・ソラース (Daniel Solace): アナイリン・バーナード (Aneurin Barnard)
  • * アンヘル (Ángel): ミゲル・ベルナルデアウ (Miguel Bernardeau)

    * クレメンス (Klemens): マチェイ・ムシヤウ (Maciej Musiał)

    * リン・イー (Ling Yi): イザベラ・ウェイ (Isabella Wei)

    * ジェローム (Jérôme): ヤン・ガエル (Yann Gael)

    * ヴァージニア・ウィルソン (Virginia Wilson): ロザリー・クレイグ (Rosalie Craig)

    * オレク (Olek): ルーカス・リンゴール・トネセン (Lucas Lynggaard Tønnesen)

    * トーヴ (Tove): クララ・ロサガー (Clara Rosager)

    * ラミロ (Ramiro): ホセ・ピメンタオ (José Pimentão)

    * ヘンリー・マレー (Henry Murray): アントン・レッサー (Anton Lesser)

特に、「ダーク」で主人公ヨナス・カーンヴァルトの壮年期を演じたアンドレアス・ピーツヒマンが、本作では謎多き船長エイダンを演じている点は、「ダーク」ファンにとっても注目のポイントとなりました。
主人公のモーラを演じたエミリー・ビーチャムは、カンヌ国際映画祭での受賞歴も持つイギリスの実力派女優です。

キャストの代表作品名

「1899」に出演した主要キャストの、他の代表的な出演作品をいくつかご紹介します。

エミリー・ビーチャム (Emily Beecham)

  • 『リトル・ジョー』 (Little Joe / 2019年) – 主演。この作品で第72回カンヌ国際映画祭の女優賞を受賞しました。
  • 『ヘイル、シーザー!』 (Hail, Caesar! / 2016年) – コーエン兄弟監督作品。
  • 『イントゥ・ザ・バッドランズ』 (Into the Badlands / 2015-2019年 / TVシリーズ)

アンドレアス・ピーツヒマン (Andreas Pietschmann)

  • 『ダーク』 (Dark / 2017-2020年 / TVシリーズ) – ヨナス・カーンヴァルト(壮年期)役。
  • 『GSG-9 対テロ特殊部隊』 (GSG 9 – Ihr Einsatz ist ihr Leben / 2007-2008年 / TVシリーズ)
  • 『ベル・エポック』 (Belle Epoque / 2019年)

アナイリン・バーナード (Aneurin Barnard)

  • 『ダンケルク』 (Dunkirk / 2017年) – クリストファー・ノーラン監督作品。
  • 『ピーキー・ブラインダーズ』 (Peaky Blinders / 2013年- / TVシリーズ) – シーズン2に出演。
  • 『シラノ』 (Cyrano / 2021年)

ミゲル・ベルナルデアウ (Miguel Bernardeau)

  • 『エリート』 (Elite / 2018-2021年 / TVシリーズ) – Netflixのスペイン製作ドラマ。グスマン役で人気を博しました。
  • 『Inheritance』 (2018年)

1899 のまとめ(社会的評価・評判)

「1899」は、配信開始直後からNetflixのグローバルチャートで上位にランクインし、特にヨーロッパ圏で高い人気を獲得しました。
「ダーク」のクリエイター陣による待望の新作として、批評家からも概ね好意的な評価を受けました。
Rotten Tomatoes(ロッテン・トマト)では、批評家スコア、観客スコア共に高い水準を維持し、特にその野心的なストーリーテリング、没入感のある世界観、そして最先端のVFX技術が高く評価されました。
視聴者は、シーズン1の最終話で提示された衝撃的なクリフハンガー(謎が解明されないまま終わる手法)に驚愕し、シーズン2でどのように物語が展開されるのか、その謎が解明されることを強く期待していました。
しかし、その期待とは裏腹に、2023年1月、クリエイターのバラン・ボー・オダーによって、シーズン2以降の製作がキャンセル(打ち切り)されたことが発表されました。
このニュースは、世界中のファンに大きな衝撃と失望を与えました。
多くの謎が未解決のまま物語が中断されることに対し、SNS上では抗議の声が殺到し、シリーズの継続を求めるオンライン署名活動も行われ、短期間で数十万もの署名が集まりました。
打ち切りの明確な理由はNetflixから公式には発表されていません。
しかし、批評的な成功とは裏腹に、Netflixが重視する「視聴完了率(全エピソードを最後まで見た視聴者の割合)」が、その莫大な製作費(「ボリューム」技術の使用など)に見合う水準に達しなかったのではないかと広く推測されています。
「1899」は、非常に高いクオリティと野心を持った作品でありながら、近年の配信プラットフォームにおける厳しいビジネス的判断の犠牲となった象徴的な作品として、配信ドラマの歴史に記憶されることとなりました。

1899 の作品関連商品

「1899」はNetflixオリジナル作品であり、シーズン1での打ち切りという事情も重なり、物理メディアや広範なマーチャンダイジング展開は限定的です。

サウンドトラック

Ben Frost(ベン・フロスト)による、重厚で不穏な雰囲気を高める「1899」のオリジナル・サウンドトラックは、デジタル配信(Spotify, Apple Musicなど)で入手可能です。
作品のダークな世界観を音楽で追体験することができます。

DVD/Blu-ray

Netflixオリジナル作品の多くは、物理的なDVDやBlu-rayディスクとしては一般販売されない傾向にあります。
「1899」も例外ではなく、2024年現在、公式なディスクのリリースは確認されていません。
視聴するにはNetflixのサブスクリプションが必須となります。

書籍・グッズ

公式のアートブックやメイキング本、フィギュアなどの関連グッズについても、公式な販売は非常に限られています。
打ち切りが早々に決定したため、企画されていた可能性のある商品展開も中断されたものと推測されます。
一部のファンが作成した非公式のグッズ(Tシャツやポスターなど)がオンラインマーケットで見られる程度となっています。

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