トゥルーブラッドの知られざるうんちく6選!スーキーとビルの実生活から制作秘話まで徹底解剖。
『トゥルーブラッド』の概要
『トゥルーブラッド』は、2008年から2014年にかけてHBOで放送された、アメリカの大人気テレビドラマシリーズです。
日本の企業が開発した合成血液「トゥルーブラッド」の登場により、ヴァンパイアたちが「棺桶からカミングアウト」し、人間と共存しようと試みる世界が舞台です。
ルイジアナ州の田舎町「ボン・タン」を舞台に、人の心を読めるウェイトレス、スーキー・スタックハウスと、謎多きヴァンパイア、ビル・コンプトンとの出会いから物語は始まります。
しかし、このドラマは単なるヴァンパイア・ロマンスではありません。
過激なバイオレンス、エロティックな描写、そして深い社会的寓意を含んだ『トゥルーブラッド』には、多くの「うんちく」や制作秘話が隠されています。
『トゥルーブラッド』詳細:制作秘話と知られざるうんちく
原作は「南部ヴァンパイア・ミステリー」
このドラマは、シャーレイン・ハリスによるベストセラー小説『南部ヴァンパイア・ミステリー』シリーズが原作です。
ただし、原作はスーキーの視点を中心としたミステリー要素が強いロマンスであるのに対し、ドラマ版は早い段階から原作とは異なる独自の道を歩み始めます。
製作総指揮を務めたのは、映画『アメリカン・ビューティー』でアカデミー脚本賞を受賞し、ドラマ『シックス・フィート・アンダー』でも高い評価を得たアラン・ボールです。
彼の手により、物語はよりダークで、セクシャル、かつ政治的なテーマを色濃く反映したものへと変貌しました。
スーキーとビルは実生活で夫婦になった
本作最大の「うんちく」は、主人公スーキー役のアンナ・パキンと、ヴァンパイアのビル役のスティーヴン・モイヤーが、実生活で夫婦になったことです。
二人は番組のパイロット版(第1話)の撮影で出会い、すぐに恋に落ちました。
ドラマの撮影が続く中で関係を深め、シーズン3が放送中の2010年に結婚しました。
劇中での二人の強烈なケミストリー(化学反応)は、演技を超えた本物の感情に基づいていたのです。
二人の間には双子も生まれており、ドラマの終了後も幸せな家庭を築いています。
エリック役のアレクサンダー・スカルスガルドはビル役のオーディションを受けていた
スーキーを巡ってビルと三角関係を繰り広げる、もう一人の重要なヴァンパイア「エリック・ノースマン」。
この1000歳のバイキング出身のヴァンパイアを演じ、世界的な人気スターとなったアレクサンダー・スカルスガルドですが、彼が最初に応募したのはビル・コンプトン役でした。
スウェーデンにいた彼は、ビル役のオーディションテープを撮影して送りました。
しかし、それを見たアラン・ボールは「君はビルではないが、素晴らしい役がある」と判断し、彼をエリック役に抜擢したのです。
このキャスティング変更が、シリーズの運命を大きく変えたと言えるでしょう。
象徴的なオープニング「Bad Things」
『トゥルーブラッド』は、そのオープニング映像とテーマソング「Bad Things」(ジェイス・エヴァレット)でも非常に高い評価を受けています。
ルイジアナの湿地帯、宗教的な象徴、動物の死骸、そしてセクシャルなイメージが激しく切り替わるこの映像は、ドラマの「サザン・ゴシック」な世界観を見事に表現しています。
このオープニング映像だけでエミー賞(最優秀メインタイトルデザイン賞)を受賞しました。
「I wanna do bad things with you(君と悪いことがしたい)」という歌詞も、人間の本能とヴァンパイアの誘惑が渦巻く物語を象徴しています。
「トゥルーブラッド」飲料は本当に販売されていた
劇中に登場する合成血液「トゥルーブラッド」は、ドラマのヒットを受け、HBOによって公式ライセンス商品として実際に販売されました。
もちろん中身は血液ではなく、ブラッドオレンジ(Blood Orange)風味の炭酸飲料です。
劇中のボトルデザインを忠実に再現したこのドリンクは、ファンの間でカルト的な人気を博しました。
これは、ドラマの世界観が現実世界に飛び出してきた、面白い「うんちく」の一つです。
主演アンナ・パキンはオスカー女優
主人公スーキーを演じたアンナ・パキンは、このドラマで初めて彼女を知った人も多いかもしれませんが、実は子役時代に輝かしい経歴を持つ女優です。
彼女は1993年の映画『ピアノ・レッスン』で、わずか11歳にしてアカデミー助演女優賞を受賞しています。
これは史上2番目の若さでの受賞記録でした。
ニュージーランド出身の彼女が、このドラマのために習得した完璧なルイジアナ訛りの南部英語も、彼女の高い演技力を示しています。
参考動画
まとめ
『トゥルーブラッド』は、単なるエンターテイメントの枠を超え、ヴァンパイアという存在を通して、マイノリティ(少数派)への差別や偏見という現実社会の問題を鋭くえぐり出しました。
「棺桶からカミングアウトする」という表現は、明らかにLGBTQ+コミュニティの「カミングアウト」の寓意(アレゴリー)です。
また、ヴァンパイアの血(V)が人間にとって強力なドラッグになるという設定は、薬物依存の問題も描いています。
過激な描写ゆえに賛否両論もありましたが、それこそがHBO作品の真骨頂であり、本作が「社会派ドラマ」として記憶される理由です。
もしあなたが、ただのヴァンパイア・ロマンスだと思って敬遠していたなら、その奥深いテーマ性に驚かされるかもしれません。
関連トピック
シックス・フィート・アンダー: 『トゥルーブラッド』の生みの親、アラン・ボールが手掛けたもう一つのHBO傑作ドラマ。
葬儀屋を営む一家を通して、人間の「生と死」を深く見つめた作品です。
ヴァンパイア・ダイアリーズ: 『トゥルーブラッド』と同時期に人気を博したヴァンパイアドラマ。
こちらはよりティーン向けで、ロマンチックな三角関係に焦点を当てています。
ザ・ボーイズ: 現代の「スーパーヒーロー」を、『トゥルーブラッド』がヴァンパイアで描いたような過激な風刺とバイオレンスで描いた作品。
社会風刺の系譜を継ぐドラマと言えます。
関連資料
トゥルーブラッド コンプリート・シリーズ (Blu-ray/DVD): 全7シーズン、全80話を収録したボックスセット。
アラン・ボールやキャストによるオーディオコメンタリー(音声解説)には、さらなる「うんちく」が満載です。
南部ヴァンパイア・ミステリー シリーズ (著:シャーレイン・ハリス): ドラマの原作小説。
ドラマとは異なる展開や、より詳細なキャラクターの心理描写を楽しみたい方におすすめです。
True Blood: Music from the HBO Original Series (サウンドトラック): オープニングの「Bad Things」をはじめ、ルイジアナの空気が感じられるブルースやロックを集めた名盤です。
