ドラマ版『12モンキーズ』徹底解説!映画版を超えた緻密なタイムトラベルと驚愕の結末のウンチク
「12モンキーズ (series)」の概要
ドラマ『12モンキーズ (series)』は、1995年に公開されたテリー・ギリアム監督、ブルース・ウィリス主演の同名映画を原案としたSFテレビドラマです。
2015年から2018年にかけて全4シーズンが放送されました。
物語は、謎のウイルスによって人類の99%が死滅した未来から、その原因を探るために過去へ送られた男ジェームズ・コールを軸に展開します。
当初は映画のリメイクかと思われましたが、シーズンを重ねるごとに映画とは全く異なる複雑で壮大なオリジナルストーリーへと変貌を遂げました。
緻密に張り巡らされた伏線と、タイムトラベルSFの金字塔とも言える見事な結末が、カルト的な人気を誇っています。
「12モンキーズ」ドラマ版の詳細と製作秘話
映画版のファンをも唸らせ、独自の傑作として完結したドラマ版『12モンキーズ』。
その製作の裏側と、知られざる「うんちく」を紹介します。
映画版とは「似て非なる」設定
本作は映画版の基本設定を踏襲していますが、重要な点で多くの変更が加えられています。
最大の「うんちく」は、映画版でブラッド・ピットが演じ、強烈な印象を残した「ジェフリー・ゴインズ」というキャラクターが、ドラマ版では「ジェニファー・ゴインズ」という女性に変更されている点です。
演じたエミリー・ハンプシャーは、単なる狂人ではなく、時間に接続された「プライマリー」という特異な存在として、物語の鍵を握る超重要人物へと昇華させました。
映画版では「12モンキーズ軍」はウイルスの拡散とは無関係でしたが、ドラマ版では人類の破滅を企む謎の組織として描かれます。
「打ち切り」ではなく「計画された完結」
タイムトラベルを扱うSFドラマは、物語が複雑化しすぎて風呂敷を畳みきれず、途中で打ち切りになるケースが少なくありません。
しかし『12モンキーズ』は、放送局のSyfyがシーズン3の放送前に、最終シーズンとなるシーズン4の製作を決定するという英断を下しました。
これにより、製作陣は物語の結末をあらかじめ見据えた上で、シーズン3と4を製作することができました。
このおかげで、過去のシーズンに散りばめられた無数の伏線が、最終回に向けて驚くほど綺麗に回収されていくという、奇跡的な構成が実現しました。
映画版への最大限のリスペクト
ドラマ版は独自の道を歩みましたが、映画版へのリスペクトを忘れてはいません。
映画版でライリー博士(ヒロイン)を演じたマデリーン・ストウが、ドラマ版の最終シーズンに非常に重要な役柄でカメオ出演を果たしています。
これは、映画版とドラマ版の両方を知るファンにとって、最大のサプライズであり、製作陣からの「うんちく」の効いた贈り物となりました。
また、映画版の有名な「空港での結末」を彷彿とさせるシーンやセリフも、ドラマ版の随所にオマージュとして散りばめられています。
ドラマオリジナルの壮大なSF概念
本作を傑作たらしめているのは、ドラマオリジナルのSF概念です。
「12モンキーズ軍」の真の目的は、ウイルス拡散ではなく、時間を破壊して「赤い森(Red Forest)」と呼ばれる永遠のループ空間を創り出すことでした。
そして、その組織を率いる謎の黒幕「証人(The Witness)」の正体を巡るミステリーが、全シーズンを通しての縦軸となります。
タイムトラベルによって過去を変えようとするコールたちと、それを阻止しようとする「証人」の戦いは、単なる時間改変SFを超えた哲学的な領域にまで達しています。
主人公コールの「ブルース・ウィリス感」
ドラマ版で主人公ジェームズ・コールを演じたのは、アーロン・スタンフォードです。
彼は、映画版のブルース・ウィリスとは容姿こそ似ていませんが、「わしゃわしゃと喋る感じ」や「コシのない髪」、「くたびれた雰囲気」など、映画版のコールが持つ雰囲気を意図的に再現している節があり、映画ファンをニヤリとさせます。
また、彼が過去へ飛ぶタイムトラベル装置のセットも、映画版の機械的でアナログなデザインを意識して作られています。
参考動画
まとめ
ドラマ『12モンキーズ (series)』は、映画版のリメイクというハードルを軽々と飛び越え、タイムトラベルSFドラマというジャンルにおいて、最も美しく完結した作品の一つとなりました。
主人公コールとライリー博士のラブストーリーを軸に据えながら、人類の運命と時間の謎に挑んだ物語は、まさに圧巻の一言です。
映画版しか知らない人にはもちろん、難解で知的なSFスリラーを求めるすべての人にお勧めできる傑作です。
全4シーズンという長さも、壮大な物語を一気に見るには最適と言えるでしょう。
関連トピック
映画『12モンキーズ』 (1995年)
本作の原案となったテリー・ギリアム監督の傑作SF映画です。
ドラマ版との設定の違いや、有名な「どんでん返し」の結末を比較すると、より深く楽しめます。
ラ・ジュテ (La Jetée)
映画版『12モンキーズ』のさらに原案となった、1962年のフランスの短編映画です。
静止画(スチル写真)のみで構成された実験的な作品で、タイムトラベルものの原点とも言われています。
『DARK』(ダーク)
同じくNetflixなどで配信されたドイツ製作のSFドラマです。
『12モンキーズ』と同様に、複雑なタイムラインと家族の因果関係を描き、非常に高い評価を得ています。
『タイムレス』 (Timeless)
歴史上の出来事に介入し、過去を変えようとするテロリストと、それを阻止しようとするチームの戦いを描いたSFドラマです。
関連資料
12モンキーズ コンプリート・ブルーレイBOX
全4シーズンを網羅したボックスセットです。
製作の裏側を語る特典映像など、「うんちく」の宝庫です。
映画『12モンキーズ』 (Blu-ray / DVD)
ドラマ版の原点として、必見の作品です。
テリー・ギリアム監督独特の映像美と、ブルース・ウィリス、ブラッド・ピットの熱演が光ります。

