もしも『SMALLVILLE』のケント夫妻が悪人だったら?クラークは「最強のヴィラン」になっていたかもしれない「what if」考察

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もしも『SMALLVILLE』のケント夫妻が悪人だったら?クラークは「最強のヴィラン」になっていたかもしれない「what if」考察

『SMALLVILLE』の根幹を揺るがす「もしも」

ドラマ『SMALLVILLE(ヤングスーパーマン)』は、クラーク・ケントがいかにして「スーパーマン」になったかを描く物語です。

その物語の根幹であり、クラークの「良心」そのものであったのが、育ての親であるジョナサンとマーサのケント夫妻です。

彼らの温かく、道徳的な教えこそが、クラークを人類の守護者にしました。

しかし、もしも、あの日宇宙船を拾ったケント夫妻が、強欲で自己中心的な「悪人」だったら。

この「what if(もしも)」シナリオは、物語の全てを覆す恐ろしい結末を示唆しています。

クラーク・ケントの運命は、ヒーローではなく、人類の脅威となっていた可能性を考察します。

詳細:「悪人」のケント夫妻がもたらす最悪のシナリオ

本来のケント夫妻の役割:「道徳的な錨」

まず、『SMALLVILLE』における本来のケント夫妻の役割を再確認する必要があります。

彼らは、空から落ちてきた少年(カル=エル)を「クラーク・ケント」として迎え入れ、無償の愛を注ぎました。

そして最も重要なこととして、クラークが発現させる超人的な力に対し、「力は慎重に使うこと」「他者を助けるために使うこと」「謙虚であること」を徹底的に教え込みました。

ジョナサン・ケントの厳しくも愛情深い指導は、クラークにとって絶対的な「道徳的な錨(いかり)」でした。

ケント夫妻の「善」こそが、クラークをスーパーマンにするための土台だったのです。

「悪人」だった場合のシナリオ:歪んだ英才教育

もし、ケント夫妻が強欲な悪人だったら、物語は発見の瞬間から変わります。

彼らはクラークを「愛する息子」としてではなく、「利用価値のある道具」あるいは「自分たちの切り札」として見るでしょう。

彼らがクラークに教えるのは「力を隠すこと」ではなく、「いかに力を使って利益を得るか」です。

「バレないように力を使い、気に入らない隣人の農場を潰せ」

「銀行の金庫から金を持ってこい」

「我々の商売敵を脅迫しろ」

このように、クラークの力を自分たちの欲望のために使うよう、幼少期から歪んだ教育を施すはずです。

クラークは親を信じ、それが「当たり前」のこととして育つでしょう。

変わるスモールヴィルの日常

『SMALLVILLE』の初期シーズンは、隕石(クリプトナイト)の影響で特殊能力に目覚めた人々(通称フリーク・オブ・ザ・ウィーク)との対決が描かれます。

善良なクラークは彼らを「助けよう」としますが、悪人のケント夫妻に育てられたクラークの行動は異なります。

彼らにとって、他の能力者は「自分たちの利益を脅かす邪魔者」でしかありません。

クラークは、親の指示に従い、躊躇なくこれらの能力者たちを「排除」していくでしょう。

スモールヴィルの町は、クラークにとっての「実験場」あるいは「狩り場」と化してしまいます。

レックス・ルーサーとの最悪の関係

このシナリオで最も劇的に変化するのが、レックス・ルーサーとの関係です。

本来の物語では、クラークの「善」とレックスの「闇」、そして二人の友情と決別が大きなテーマでした。

しかし、悪人であるケント夫妻は、スモールヴィルにやってきた大富豪ルーサー家を「最大の獲物」と見なします。

彼らはクラークに対し、レックスと親しくなるよう命じ、ルーサー家の情報を盗ませたり、いずれはその財産を乗っ取るための手駒として利用しようと画策するでしょう。

レックスもまた、ケント家の不自然な裕福さやクラークの不審な行動に気づき、両者は「友情」ではなく、最初から「互いを利用し合う危険な関係」としてスタートします。

やがて、どちらがより狡猾なヴィランであるかを競うような、陰惨な権力闘争に発展するかもしれません。

「スーパーマン」の不在、「恐怖の支配者」の誕生

ケント夫妻という「良心」を持たずに成長したクラークは、決してスーパーマンにはなりません。

彼は、自分の力を他者のために使うのではなく、自分(あるいは親)の欲望を満たすため、あるいは世界を支配するために使う存在になります。

それは、ヒーロー物語ではなく、映画『ブライトバーン』のようなホラー物語の始まりです。

スモールヴィルで力を試した後、彼はやがてメトロポリス、そして全世界へとその支配の手を伸ばそうとする「最強のヴィラン」となっていた可能性が極めて高いのです。

参考動画(「もしも」の結末)

まとめ:ケント夫妻の「善」こそがヒーローを作った

「もしも『SMALLVILLE』のケント夫妻が悪人だったら」という仮定は、いかに「親の教育」と「道徳観」が重要であるかを浮き彫りにします。

クラーク・ケントが持っていたのは、超人的な力だけではありません。

彼がスーパーマンになれたのは、ジョナサンとマーサから受け継いだ「強靭な道徳心」と「人間性への信頼」という、力よりも強大な「善の心」を持っていたからです。

もしケント夫妻が悪人であったなら、それはクラーク・ケントの物語ではなく、「最強の力」を持った怪物が、いかにして地球を絶望の淵に突き落としたか、という恐怖の物語になっていたでしょう。

『SMALLVILLE』の物語は、ケント夫妻の善意という「奇跡」の上に成り立っていたのです。

関連トピック

ブライトバーン (Brightburn): 2019年に公開されたホラー映画。「もしもスーパーマンのような力を持つ少年が、邪悪な存在として覚醒したら」という、まさに今回の「what if」シナリオを映像化したような作品です。

スーパーマン: レッド・サン (Superman: Red Son): DCコミックスの「what if」作品。もしスーパーマンの宇宙船がアメリカのカンザスではなく、ソビエト連邦のウクライナに墜落していたら、という物語。育った環境やイデオロギーがヒーローの在り方を根本から変えてしまうという点で、本トピックと共通するテーマを持っています。

インジャスティス (Injustice): スーパーマンが絶望から独裁者に変貌し、力で世界を支配しようとするDCコミックスの別世界の物語。クラーク・ケントがいかに「恐ろしい存在」になり得るかを示しています。

レックス・ルーサー: 本来の物語におけるスーパーマンの最大の宿敵。ケント夫妻が悪人だった場合、クラークはレックスのようになるか、あるいはレックスと共謀、または対立する、別の形のヴィランになっていたと考えられます。

関連資料

SMALLVILLE/ヤングスーパーマン (DVD/Blu-ray): 物語の本来の姿、特にシーズン1から描かれるケント夫妻の温かい教育と、クラークの葛藤を再確認するために不可欠な資料です。

映画『ブライトバーン/恐怖の拡散者』 (DVD/Blu-ray): 「悪人のケント夫妻」に育てられたクラークの姿を想像する上で、最も分かりやすい参考資料となる映画作品です。

コミック『スーパーマン: レッド・サン』: 育った環境がヒーローのアイデンティティを決定づける様を描いた名作コミックです。

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