【宇宙大作戦】ウラ少尉(ニイオタ・ウラ)の伝説!社会を変えた女性通信士の魅力と功績を徹底解説

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【宇宙大作戦】ウラ少尉(ニイオタ・ウラ)の伝説!社会を変えた女性通信士の魅力と功績を徹底解説

「宇宙大作戦」におけるウラ少尉の概要

『宇宙大作戦(原題:Star Trek)』において、エンタープライズ号のブリッジ(艦橋)で通信士を務めるウラ少尉(Lt. Uhura)。

彼女は、単なるサブキャラクターではありません。1960年代のアメリカという時代背景において、アフリカ系女性が「主要な指揮官クラスの将校」として宇宙船に搭乗するという設定は、当時のテレビ界における革命でした。

演じたニシェル・ニコルスの気品あふれる演技と、彼女が体現した「多様性のある未来」は、後のNASAの宇宙飛行士や多くのマイノリティ層に夢を与え、現実社会をも動かした伝説的なキャラクターです。

詳細:キング牧師が認めた「未来の象徴」

ウラ少尉の魅力を理解するためには、彼女の能力だけでなく、その存在がもたらした「壁の打破」について知る必要があります。

1. キャラクターとしての優秀さと多才さ

ウラ少尉の主な任務は、船内外の通信を一手に担うことです。異星言語の翻訳、暗号解読、そして戦闘時の損害報告など、彼女の仕事は多岐にわたります。

彼女はスワヒリ語で「自由」を意味する「ウフル(Uhuru)」から名付けられました(ファーストネームの「ニイオタ」はスワヒリ語で「星」を意味しますが、劇中で呼ばれることは稀でした)。

また、彼女は優秀な技術者でもあり、スポックの補佐として科学ステーションを操作したり、緊急時にはナビゲーションを担当したりすることもあります。さらに、美しい歌声を持っており、休憩室でスポックのハープに合わせて歌うシーンは、殺伐とした宇宙の旅における癒やしの象徴でした。

2. キング牧師が引き止めた「希望の星」

演じたニシェル・ニコルスには、あまりにも有名な逸話があります。シーズン1終了後、彼女はブロードウェイへのキャリア移行を考え、番組の降板をプロデューサーに申し出ていました。

その週末、あるイベントで偶然マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(キング牧師)に会った彼女が降板の意向を伝えると、キング牧師は彼女を強く引き止めました。

「あなたは辞めてはいけません。テレビで初めて、黒人が『召使』役ではなく、知性と専門知識を持った対等な人間として描かれているのです。あなたは私たちの未来の姿そのものなのです」

この言葉に心を打たれた彼女は番組に留まり、その結果、彼女を見て育った黒人女性メイ・ジェミソンが後に本物の宇宙飛行士になるなど、歴史を動かすことになりました。

3. テレビ史上初の「異人種間のキスシーン」

シーズン3のエピソード「プラトン・ステップチルドレン(Plato’s Stepchildren)」における、カーク船長とウラ少尉のキスシーンは、アメリカのテレビドラマ史上初(※諸説あり)の白人と黒人によるキスシーンとして歴史に刻まれています。

これは物語上、宇宙人の超能力によって強制されたものでしたが、当時の保守的な社会情勢の中では非常に勇気ある演出であり、論争と共に大きな反響を呼びました。このシーンは、人種の壁を超えた友愛と調和をテーマとする『スタートレック』の精神を象徴する瞬間の一つです。

4. 劇場版での活躍と成長

テレビシリーズ終了後の劇場版映画でも、ウラは中心メンバーとして活躍し続けました。

特に『スタートレックIII ミスター・スポックを探せ!』では、冒険に出ようとするカークたちを助けるために、銃を突きつけて若い同僚を部屋に閉じ込めるという、大胆かつ頼もしい姿を見せました。階級も少佐、中佐へと昇進し、最後までエンタープライズ号の信頼できる「声」であり続けました。

「ウラ少尉」参考動画

まとめ

ウラ少尉は、SF作品のキャラクターという枠を超え、公民権運動の時代における「希望の象徴」でした。

彼女がモニターの前で「周波数を合わせます(Hailing frequencies open)」と言うたびに、視聴者は人種や性別に関係なく活躍できる未来の可能性を信じることができました。

2022年にニシェル・ニコルスはこの世を去りましたが、彼女がウラ少尉を通じて蒔いた種は、現在の多様性を重んじる社会や、宇宙開発の現場で大きく花開いています。『宇宙大作戦』を見る際は、彼女の凛とした立ち姿に込められた歴史的な重みをぜひ感じ取ってください。

関連トピック

ジェームズ・T・カーク(エンタープライズ号の船長。ウラとは厚い信頼関係で結ばれている)
ミスター・スポック(副長兼科学士官。ウラの歌の伴奏をするなど、意外な交流がある)
ニシェル・ニコルス(ウラ少尉を演じた女優。NASAのリクルーターとしても活躍し、女性やマイノリティの採用に貢献した)
ケルヴィン・タイムラインのウラ(2009年からの映画版でゾーイ・サルダナが演じた、より活動的でスポックと恋仲になる新しいウラ像)

関連資料

ドキュメンタリー映画『Woman in Motion』(ニシェル・ニコルスがいかにしてNASAの宇宙飛行士採用計画を変革したかを描く作品)
『宇宙大作戦』コンプリート・ブルーレイBOX(オリジナルのウラ少尉の活躍を高画質で堪能できる)
自伝『Beyond Uhura: Star Trek and Other Memories』(ニシェル・ニコルスによる自伝・洋書)

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