【GALACTICA/ギャラクティカ】No.6(ナンバー・シックス)徹底解説!人類を滅ぼし、愛した美しきサイロン
「GALACTICA/ギャラクティカ」におけるNo.6の概要
2003年のミニシリーズから始まり、その重厚な人間ドラマでSFの常識を覆した『GALACTICA/ギャラクティカ(Battlestar Galactica)』。
この物語において、最も強烈な印象を残し、シリーズのアイコンとも呼べる存在が「No.6(ナンバー・シックス)」です。
トリシア・ヘルファー演じるこのキャラクターは、人類を滅亡寸前まで追いやった機械生命体「サイロン」の人型モデルの一つですが、単なる冷酷な破壊者ではありません。
彼女は、真っ赤なドレスを纏った妖艶な美女として登場し、人類の科学者ガイアス・バルターを誘惑して防衛システムを無力化させました。しかし物語が進むにつれ、彼女は愛、宗教、そして魂の救済を求める深淵なキャラクターへと変貌し、視聴者に「人間とは何か」を問いかけ続けました。
詳細:愛と信仰に生きる多面的なヒロイン
No.6は単一の個体ではなく、同じ外見を持つ複数のコピー(個体)が登場し、それぞれが全く異なる人格や運命を辿ります。ここでは主要なNo.6と、その魅力について掘り下げます。
1. 悪魔であり天使:「カプリカ・シックス」
シリーズ冒頭、12の植民地(コロニー)を壊滅させる引き金となった個体です。
彼女は天才科学者ガイアス・バルターに近づき、彼を愛することで防衛網のアクセスコードを入手しました。任務完了時にバルターを核爆発から守って自分は死亡しますが、後にサイロンの本拠地で復活(ダウンロード)します。
復活後の彼女は、人類虐殺に対する罪悪感や、バルターへの本物の愛に目覚め、サイロン社会の中で「人間との共存」を訴える英雄的存在へと成長していきます。
2. バルターの脳内に住む幻影:「ヘッド・シックス」
本作最大の謎の一つが、ガイアス・バルターの目にしか見えないNo.6、通称「ヘッド・シックス(内なるシックス)」です。
彼女は常にバルターの傍らに現れ、時には彼を操り、時には励まし、危機から救います。彼女は自分を「神の使い(天使)」だと称し、一神教的な「神」への信仰をバルターに説き続けます。
彼女は本当にバルターの妄想なのか、サイロンのチップによる操作なのか、それとも高次元の存在なのか? その正体はシリーズのラストまで物語の根幹に関わる重要なミステリーとなります。
3. 虐待された復讐者:「ジーナ・インヴィエール」
宇宙空母ペガサスに潜入していた別のNo.6です。
彼女は正体が露見した後、ケイン提督の部下たちから凄惨な拷問と性的暴行を受け、心身ともに崩壊してしまいます。
後にバルターによって救い出されますが、深いトラウマを抱えた彼女は、最終的に冷酷な復讐を果たし、自らの命と共に悲劇的な最期を迎えます。このエピソードは、サイロンもまた痛みを感じる存在であることを残酷なまでに描き出しました。
4. トリシア・ヘルファーの驚異的な演じ分け
No.6を演じたトリシア・ヘルファーは、元スーパーモデルという経歴を持ちますが、本作での演技は絶賛されました。
妖艶なカプリカ・シックス、神聖で謎めいたヘッド・シックス、ボロボロに傷ついたジーナ、そして反乱軍のリーダーとなるナタリーなど、同じ顔を持ちながら声色や立ち振る舞いで全くの別人を演じ分ける彼女の才能なしに、このドラマの成功はありませんでした。
「No.6」参考動画
まとめ
No.6は、SF作品における「セクシーな女性アンドロイド」というステレオタイプを利用しつつ、それを遥かに超える哲学的・宗教的なテーマを背負ったキャラクターでした。
彼女が導く先にあるのは、人類とサイロンの終わりのない憎しみの連鎖を断ち切るための「許し」です。
特にバルターとの奇妙な愛の物語は、ドラマのラストシーンまで続きます。まだご覧になっていない方は、ぜひ彼女の「赤いドレス」に隠された、切なくも壮大な魂の旅路を目撃してください。
関連トピック
ガイアス・バルター(人類を裏切った天才科学者。No.6に愛され、翻弄され、導かれる主人公の一人)
サイロン(人類によって創造され、反旗を翻した機械生命体。12の人型モデルが存在する)
ウィリアム・アダマ(空母ギャラクティカの艦長。サイロンの脅威から残存人類を守る指揮官)
ローラ・ロズリン(生き残った人類を率いる大統領。No.6やバルターとは異なる形で神の啓示を受ける)
関連資料
Blu-ray『GALACTICA/ギャラクティカ コンプリート ブルーレイBOX』(全シーズンと特典映像を収録)
映画『GALACTICA/ギャラクティカ: THE PLAN』(サイロン側の視点から描かれた、No.6たちの暗躍を知ることができる作品)

