【パーソン・オブ・インタレスト】サミーン・ショウ徹底解説!感情を失くした美しき処刑人が見せた「絆」と「食欲」
「パーソン・オブ・インタレスト」におけるサミーン・ショウの概要
ジョナサン・ノーラン製作、AIと監視社会を描いた傑作ドラマ『パーソン・オブ・インタレスト』。
物語の中盤(シーズン2)から登場し、リースやフィンチの強力な味方(あるいは暴走する爆弾)として活躍するのが、サミーン・ショウ(演:サラ・シャヒ)です。
元は政府の極秘組織ISAの暗殺者でしたが、裏切りに遭い「チーム・マシン」に合流します。
彼女の最大の特徴は、「第2軸人格障害(ソシオパス)」により、恐怖や悲しみといった感情が欠落していること。常に無表情で二丁拳銃をぶっ放し、ステーキを貪り食うそのクールでユニークなキャラクターは、シリーズに新しい風を吹き込み、物語の核心を担う存在となりました。
詳細:痛みを知るソシオパス、その行動原理
サミーン・ショウは、ただの「強い女」ではありません。感情がないからこそ、論理と行動で示す彼女なりの「愛」の形が、視聴者の心を掴んで離さないのです。
1. 医師から暗殺者へ:特異な経歴
ショウは元々、優秀な外科医(研修医)でした。しかし、患者の死に直面しても何も感じず、冷静にエネルギーバーを食べるような性格が災いし、医師の道を断たれます。
その後、軍に入隊し、ISAのエージェント「インディゴ・ファイブ・アルファ」として、テロリストを排除する任務に従事していました。
彼女にとって「命を救うこと」と「命を奪うこと」は、単なる技術的な作業に過ぎませんでしたが、フィンチたちと出会うことで、その価値観に少しずつ変化が生じます。
2. 感情欠落と「食欲」のメタファー
彼女は自らを「ソシオパス(社会病質者)」と称し、感情表現が乏しいですが、その代わりとして描かれるのが異常なまでの「食欲」です。
緊迫した銃撃戦の最中でもハンバーガーを頬張り、高級ステーキには目がありません。
この「常に飢えている」という描写は、彼女が抱える内面の空虚さや、生きている実感を得るための代償行動として解釈されています。また、無愛想な彼女が軍用犬のベア(ベルジアン・マリノア)だけには心を開き、溺愛するギャップも魅力の一つです。
3. ルートとの関係:ファンを熱狂させた「シュート(Shoot)」
ショウを語る上で外せないのが、天才ハッカー・ルート(Root)との関係です。
当初は、神出鬼没で馴れ馴れしいルートを「ウザい」と拒絶し、殺そうとさえしていたショウですが、共に死線をくぐる中で唯一無二のバディとなっていきます。
ファンの間で「Shoot(Shaw + Root)」と呼ばれる二人の関係は、友情とも恋愛ともつかない深い絆で結ばれています。
特に、AI「サマリタン」によるシミュレーションの中で、ショウが何千回もの試行を繰り返しても「ルートを殺して自分が生き残る」という選択ができず、自ら死を選び続けたエピソードは、感情を持たないはずの彼女が抱いた「愛」の証明として涙を誘いました。
4. 戦闘スタイルとサラ・シャヒの魅力
ショウの戦闘スタイルは、合理的かつ破壊的です。
隠密行動よりも正面突破を好み、二丁拳銃や重火器を容赦なく使用します。演じるサラ・シャヒは、実際に柔道の有段者であり、銃器の扱いにも長けているため、アクションシーンの切れ味は抜群です。
妊娠による一時的な降板(物語上は行方不明扱い)を経て復帰した際も、そのブランクを感じさせない圧倒的な存在感で、ファイナルシーズンの重要な鍵を握りました。
「サミーン・ショウ」参考動画
まとめ
サミーン・ショウは、「感情がない」という設定を逆手に取り、「言葉ではなく行動で信頼を示す」ことの尊さを教えてくれたキャラクターです。
リースとは似た者同士の兄妹のように、フィンチとは反発しつつも互いを守る親子のように、そしてルートとは魂の片割れのように。
彼女はチーム・マシンの中で「人間らしさ」を学び、最終的には誰よりも仲間を大切にする戦士へと成長しました。
無表情でステーキを切りながら、悪党を片付ける彼女の姿は、いつまでも『パーソン・オブ・インタレスト』の象徴的なシーンとして記憶に残るでしょう。
関連トピック
ルート(Root)(マシンの代弁者(インターフェース)。ショウに執着し、彼女の閉ざされた心を開いた最愛のパートナー)
ジョン・リース(元CIAの工作員。ショウとは戦闘スキルや経歴が似ており、相棒として背中を預け合う)
ハロルド・フィンチ(マシンの開発者。暴力的で制御不能なショウに手を焼きつつも、彼女の居場所を作った)
サマリタン(マシンと敵対する新たな人工知能。ショウを拉致し、洗脳しようとした宿敵)
関連資料
Blu-ray『パーソン・オブ・インタレスト コンプリート・ボックス』(全5シーズンを収録。ショウの初登場はシーズン2第16話)
サントラ『Person of Interest: Seasons 3 & 4』(ラミン・ジャヴァディによる劇伴。ショウのアクションシーンを彩る楽曲を収録)
