5億円の赤ちゃん!?『マンダロリアン』を100倍楽しむための裏話とうんちく(トリビア)徹底解説
『マンダロリアン』の概要と人気の秘密
『スター・ウォーズ』初の実写ドラマシリーズとして2019年に配信が開始され、世界中で社会現象を巻き起こした『マンダロリアン』。
孤高の賞金稼ぎと、フォースの力を秘めた子ども(グローグー)の旅を描いたこの作品は、旧来のファンを熱狂させただけでなく、新規ファンをも取り込むことに成功しました。
しかし、この作品の凄さは表層的なストーリーだけではありません。
「映画の歴史を変えた」と言われる革命的な撮影技術や、制作費数億円とも噂されるパペット、そして往年の名作映画への深いオマージュなど、知れば知るほど面白い「うんちく」が山のように隠されています。
本記事では、マニアも唸る制作秘話やキャストの裏話など、『マンダロリアン』の知られざるトリビアを厳選してご紹介します。
詳細:知っておきたい珠玉のトリビア5選
映像革命!「ボリューム(The Volume)」の衝撃
『マンダロリアン』が映像業界に与えた最大の功績は、巨大なLEDスクリーンを使用した撮影システム「ボリューム(StageCraft)」の導入です。
従来の合成撮影(グリーンバック)では、緑色の背景の前で演技し、後からCGを合成していましたが、これには「役者が何もない空間で演技しにくい」「グリーンの照り返しで照明が不自然になる」という課題がありました。
「ボリューム」は、スタジオを360度囲む巨大な高精細LEDパネルに、ゲームエンジン(Unreal Engine)で作った背景をリアルタイムで映し出します。
カメラが動くと背景も連動して動くため、役者は「本物の夕日」や「宇宙空間」を見ながら演技ができ、鎧への映り込みも自然になります。
この技術は、後のハリウッド映画制作のスタンダードを塗り替えてしまいました。
5億円の赤ちゃん?グローグーの秘密
愛くるしい姿で世界を虜にした「ザ・チャイルド」ことグローグー。
彼はフルCGではなく、撮影の大部分で「アニマトロニクス(精巧なロボットパペット)」が使われています。
ショーランナーのジョン・ファヴローによれば、このパペットの製作費はなんと約500万ドル(当時のレートで約5億5000万円)!
撮影中、あまりに高価な人形であるためスタッフは戦々恐々としていましたが、ゲスト出演した名匠ヴェルナー・ヘルツォーク(クライアント役)だけは、このパペットを本物の生き物のように愛し、カメラが止まった後も話しかけていたという逸話が残っています。
彼が「CGに置き換えるな、この人形には魂がある」と強く主張したおかげで、あのリアルな愛らしさが守られたとも言われています。
「中の人」は一人じゃない?ペドロ・パスカルの多忙
主人公のマンドー(ディン・ジャリン)を演じるのは、人気俳優ペドロ・パスカルです。
しかし、彼が常にあの鎧を着ているわけではありません。
マンダロリアンは教義により人前でヘルメットを脱がないため、スタントマンが演じているシーンが非常に多いのです。
主にアクションを担当しているのは、伝説の西部劇スター、ジョン・ウェインの孫であるブレンダン・ウェインです。
ペドロ・パスカルが他の舞台出演などで忙しい時は、ブレンダンらが演技を行い、後からペドロが声をアフレコするという手法が取られています。
あの独特の「ガンマンスタイル」の動きは、ジョン・ウェインの遺伝子を受け継ぐスタントマンによって作られていたのです。
『子連れ狼』と日本文化へのオマージュ
『マンダロリアン』の基本プロットは、日本の時代劇『子連れ狼』へのオマージュであることは有名です。
「裏社会に生きる最強の戦士が、乳母車(ポッド)に乗った幼子を守りながら旅をする」という構図はそのままです。
また、製作総指揮のデイヴ・フィローニは大の黒澤明ファンであり、チャプター4「楽園」は映画『七人の侍』のプロット(野盗に襲われる村人が用心棒を雇って撃退する)をベースにしています。
さらに、チャプター13「ジェダイ」などは、時代劇の決闘シーンそのものの演出がなされており、日本文化への深いリスペクトが随所に感じられます。
カメオ出演の豪華さが異常
ストームトルーパーの中身や、ちょっとしたエイリアン役に、とんでもない大物が紛れ込んでいます。
- ジェイソン・サダイキス: シーズン1最終話で、袋に入ったグローグーを殴ってファンから大ブーイングを受けたスカウト・トルーパー役。
- マーク・ハミル: シーズン2最終話のルーク役だけでなく、シーズン1ではドロイドのバーテンダー「EV-9D9」の声も担当しています。
- ジョン・ファヴロー: 製作総指揮の彼は、マンダロリアンの一員である重歩兵「パズ・ヴィズラ」の声も演じています。
参考動画:革命的技術「StageCraft」
まとめ:こだわりが創り出す銀河のリアリティ
『マンダロリアン』は、単なるスター・ウォーズのスピンオフ作品ではありません。
最新のテクノロジーと、古き良き映画への愛、そして巨額の予算をかけたパペットなどの「職人芸」が融合した、奇跡のような作品です。
「ここはスタントマンかな?」「この背景はLEDかな?」と想像しながら見返すことで、製作陣の凄まじいこだわりと情熱を再発見できるはずです。
シーズンを重ねるごとに広がる銀河の旅、これからも「我らの道(This is the Way)」を見守っていきましょう。
関連トピック
デイヴ・フィローニ (Dave Filoni)
ジョージ・ルーカスの愛弟子であり、『クローン・ウォーズ』などを手掛けたSW界の守護神。彼のカウボーイハット姿はファンの信頼の証です。
ダークセーバー (Darksaber)
マンダロリアンの統治者が持つとされる黒いライトセーバー。アニメシリーズからの逆輸入アイテムであり、物語の鍵を握る重要アイテムです。
アソーカ・タノ (Ahsoka Tano)
アナキン・スカイウォーカーの元パダワン。『マンダロリアン』で実写初登場を果たし、大きな話題となりました。
関連資料
ドキュメンタリー『ディズニー・ギャラリー/スター・ウォーズ:マンダロリアン』 (Disney+)
撮影の裏側や「ボリューム」の技術解説、監督たちの円卓会議などが見られる必見のドキュメンタリー番組です。
書籍『THE ART OF マンダロリアン』
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フィギュア『S.H.Figuarts ザ・マンダロリアン & グローグー』
劇中の再現度が高い日本のアクションフィギュア。並べて飾ることで「子連れ狼」ごっこが楽しめます。


