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米国テレビ史上最高視聴率を記録した伝説の回!『じゃじゃ馬億万長者』の「The Giant Jackrabbit」徹底解説

コメディー
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米国テレビ史上最高視聴率を記録した伝説の回!『じゃじゃ馬億万長者』の「The Giant Jackrabbit」徹底解説

「The Giant Jackrabbit」の概要

1960年代にアメリカ全土を笑いの渦に巻き込んだシットコム『じゃじゃ馬億万長者』(原題: The Beverly Hillbillies)。その中でも、歴史的な金字塔として語り継がれているのが、シーズン2第16話「The Giant Jackrabbit(巨大ウサギ現る!?)」です。1964年1月8日に放送されたこのエピソードは、なんと視聴率44.0%、占拠率65%という、30分枠のシットコムとしては現在に至るまで破られていない驚異的な記録を打ち立てました。

物語の核となるのは、オザークの山奥から出てきた頑固なおばあちゃん「グラニー」と、オーストラリアからやってきた「カンガルー」との間に生まれる、抱腹絶倒の勘違い劇です。本記事では、なぜこのエピソードがこれほどまでに愛されたのか、その詳細なあらすじと、当時のアメリカ社会背景、そして伝説的な笑いのメカニズムを余すところなく解説します。

「The Giant Jackrabbit」の詳細

食糧難とグラニーの決意

ビバリーヒルズの豪邸での生活にも慣れてきたクランペット一家ですが、ある日深刻な問題に直面します。それは「食糧難」です。大富豪である彼らにとってお金の問題ではなく、自分たちの口に合う「新鮮な獲物(ジビエ)」が手に入らないことが悩みでした。肉屋で売られている肉は彼らにとって味が薄く、スーパーの食材では満足できません。一家の料理番であるグラニーは、「自分たちの手で獲物を狩る必要がある」と宣言し、ビバリーヒルズの庭で狩りを始めようとします。

ドライズデール氏への奇妙な贈り物

一方、隣に住む銀行頭取のドライズデール氏は、オーストラリアのビジネスパートナーから珍しい贈り物を受け取っていました。それは生きた「カンガルー」です。ドライズデール氏はこの珍獣を一時的に保管する必要がありましたが、運悪く(あるいは運良く)、カンガルーは檻から逃げ出し、クランペット家の広大な敷地へと迷い込んでしまいます。

伝説の勘違い:巨大ジャックラビットの出現

庭で獲物を探していたグラニーは、茂みから飛び出してきたカンガルーと遭遇します。しかし、オザークの山奥で育ったグラニーは、人生で一度もカンガルーを見たことがありませんでした。彼女の目には、その生物が「超巨大なジャックラビット(野ウサギ)」に映ったのです。「カリフォルニアの肥沃な土壌が、ウサギをラバのような大きさに成長させたんだ!」と彼女は独自の解釈をし、この巨大ウサギを仕留めてシチューにしようと息巻きます。

誰にも信じてもらえない悲劇と喜劇

興奮したグラニーは、家長であるジェドや怪力のジェスロに「巨大ウサギが出た!」と報告します。しかし、常識的に考えてそんな巨大なウサギが存在するはずがありません。家族たちは、グラニーが愛飲している自家製の「気付け薬(という名の密造酒)」を飲みすぎて、幻覚を見ているのだと決めつけます。

ジェドが優しく「おばあちゃん、少し横になったほうがいい」と諭すたびに、グラニーの怒りとフラストレーションは爆発寸前に。視聴者は「そこには本当にカンガルーがいるのに!」という事実を知っているため、グラニーの必死の訴えと家族の冷ややかな反応のギャップに、爆笑せずにはいられません。

歴史的背景:なぜこれほどヒットしたのか

このエピソードが放送された1964年1月は、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件(1963年11月)からわずか数ヶ月後という時期でした。アメリカ全土が深い悲しみに包まれていた中、国民は現実を忘れさせてくれる純粋で無邪気な「笑い」を渇望していました。政治的なメッセージや複雑な社会風刺を一切排除し、ただひたすらに「おばあちゃんがカンガルーをウサギと間違える」というシンプルかつ強力なナンセンス・コメディを提供したこの回は、当時の視聴者の心に深く刺さり、癒やしとなったと言われています。

シャロン・テートの出演

また、このエピソードには、後に悲劇的な最期を遂げることになる若き日の女優、シャロン・テートが、ドライズデール氏の銀行の秘書ジャネット・トレゴ役でゲスト出演しています。彼女の美しく可憐な姿を確認できるという点でも、映画史・テレビ史において重要なアーカイブとなっています。

「The Giant Jackrabbit」の参考動画

まとめ

『じゃじゃ馬億万長者』の「The Giant Jackrabbit」は、テレビ番組がいかにして国民的な共有体験となり得るかを証明した記念碑的な作品です。グラニーとカンガルーのドタバタ劇は、理屈抜きの面白さがあり、世代や国境を超えて笑える普遍的なパワーを持っています。

「自分の知識の範囲内で世界を解釈しようとする」グラニーの姿は滑稽ですが、同時に愛らしくもあり、視聴者は彼女を応援せずにはいられません。もし未見であれば、ぜひこの「視聴率お化け」エピソードをチェックして、60年代のアメリカが熱狂した最高のエンターテインメントを体験してみてください。

関連トピック

ニールセン視聴率の記録: 本エピソードが記録した「視聴率44.0%」は、スーパーボウルや最終回スペシャルなどを除いた「通常の30分ドラマ」としては、半世紀以上経った今でも破られていない伝説的な記録です。

ポール・ヘニング: 本作のクリエイターであり、脚本も担当。彼は『ペチコート・ジャンクション』や『グリーン・エーカーズ』なども手掛け、60年代の「田舎物シットコム(Rural Sitcoms)」ブームを牽引した天才です。

アイリーン・ライアン: グラニー役を演じた名女優。彼女のコミカルな動き、表情、そしてマシンガントークは、このエピソードの成功の最大の要因です。彼女はこの役でエミー賞にノミネートされました。

関連資料

書籍『The Beverly Hillbillies: A 40th Anniversary Wing Ding』: 番組の詳細なデータやエピソードガイド、当時の新聞記事の反応などがまとめられたファンブックです。

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関連グッズ「グラニーの料理本」: 番組人気にあやかって発売された、グラニー風の「ポッサム・シチュー」などのレシピが載ったジョークグッズ的な料理本も、コレクターズアイテムとして存在します。

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