伝説のドラマ『逃亡者』(The Fugitive)!歴史に残る最終回と必見の人気エピソードを徹底解説
「逃亡者」の概要
「名前はリチャード・キンブル。職業は医師…」
1963年から1967年にかけてアメリカで放送され、日本でも社会現象となるほどの人気を博したテレビドラマ『逃亡者』(The Fugitive)。
身に覚えのない妻殺しの罪を着せられ、死刑判決を受けた医師リチャード・キンブルが、護送中の列車事故に乗じて脱走し、真犯人である「片腕の男」を探して全米を旅するサスペンス・ドラマです。
彼を執拗に追うジェラード警部との息詰まる追跡劇、そして行く先々で出会う人々との人間ドラマは、後の『インクレディブル・ハルク』や『特攻野郎Aチーム』など、多くの「放浪型ヒーローもの」の原型となりました。
特に最終回の視聴率は、当時のアメリカで全部組中最高の72%(占有率)という驚異的な記録を打ち立て、ドラマ史の金字塔となっています。
本記事では、この不朽の名作のあらすじ、登場人物の魅力、そして今なお語り継がれる「人気エピソード」を厳選して解説します。
冤罪、孤独、そして正義とは何かを問いかける、デビッド・ジャンセン渾身の演技に迫ります。
「逃亡者」の詳細
『逃亡者』は、単なる追跡アクションにとどまらず、ヒューマニズム溢れるロードムービーとしての側面も持つ傑作です。
物語は、逃亡先での「ゲスト」との交流と、常に背後に迫る「ジェラード警部」の影、そして真犯人「片腕の男」への接近という3つの軸で展開します。
【主要キャラクター】
- リチャード・キンブル(デビッド・ジャンセン): 小児科医。妻ヘレン殺害の現場から逃走する片腕の男を目撃するが、信じてもらえず死刑判決を受ける。誠実で正義感が強く、逃亡中であっても医師としての良心から困っている人を助けてしまい、その結果として正体が露見しそうになることが多い。
- フィリップ・ジェラード警部(バリー・モース): インディアナ州警察の警部。キンブルを捕まえることこそが「法」であり「正義」であると信じる冷徹な追跡者。決して悪人ではなく、職務に忠実すぎるがゆえにキンブルにとって最大の脅威となる。
- 片腕の男(ビル・ライシュ): 義手ではなく、右腕がない真犯人。神出鬼没で、キンブルが近づこうとすると逃げおおせる。
【必見!『逃亡者』人気エピソード選】
全120話の中から、特に評価が高く、物語の核に触れる重要エピソードを厳選しました。
1. 第1話「砂漠の逃亡者 (Fear in a Desert City)」
記念すべき第1話であり、すべての始まりです。
逃亡生活を始めたキンブルは、アリゾナ州ツーソンのバーで働き始めますが、ある女性とその子供に関わったことからトラブルに巻き込まれます。
「自分の正体を隠しながら、他人のトラブルを解決する」というシリーズの基本フォーマットがここで確立されました。
常に警察の影に怯えながらも、目の前の弱者を見捨てられないキンブルの葛藤が見事に描かれています。
2. 第14話「リトル・エジプトの女 (The Girl from Little Egypt)」
シリーズ屈指の重要エピソードです。
交通事故に遭った女性を助けたキンブルの回想という形で、これまで語られなかった「事件当夜」の全貌が明らかになります。
妻ヘレンとの夫婦関係、事件直前の口論、そして「片腕の男」との遭遇。
なぜ彼が逃亡者とならざるを得なかったのか、その悲劇の原点が詳細に描かれており、物語の背景を深く理解するために欠かせない一話です。
3. 第11話「ノースオークの悪夢 (Nightmare at Northoak)」
キンブルとジェラードの複雑な関係性を象徴する神回として名高いエピソードです。
ある町でスクールバスの事故に遭遇したキンブルは、身の危険を顧みず子供たちを救出し、英雄としてニュースになってしまいます。
そのニュースを見たジェラード警部が町へ急行し、ついにキンブルは逮捕されてしまいます。
しかし、護送中にジェラードが危機に陥った時、キンブルが取った行動とは…。
「法」と「正義」の矛盾、そして敵対する二人の間に芽生える奇妙な敬意が描かれた傑作です。
4. 最終回「裁きの日(前編・後編) (The Judgment)」
アメリカのテレビ史上、最も多くの視聴者が固唾を飲んで見守った伝説の最終回です。
ついに片腕の男(フレッド・ジョンソン)の居場所を突き止めたキンブル。
一方、ジェラード警部もキンブルを追い詰めます。
すべての伏線が回収され、真実が白日の下に晒されるクライマックスは、遊園地のタワーでの決闘シーンを含め、今見ても手に汗握る展開です。
4年間にわたる逃亡生活の結末に、全米が涙し、安堵しました。
【日本版の魅力:ナレーション】
日本での放送時、矢島正明によるオープニングナレーションは、ドラマの重厚な雰囲気を決定づける名調子として親しまれました。
「場所は、ある寂れた田舎道…」から始まる語り口は、視聴者を瞬時にキンブルの孤独な世界へと引き込みます。
「逃亡者」の参考動画
まとめ
『逃亡者』は、無実の罪を背負った男の孤独な戦いを描きながらも、その根底には「人間への信頼」と「良心」が流れています。
自分自身が極限状態にありながら、他人のためにリスクを冒すキンブルの姿は、いつの時代も変わらぬヒーロー像として私たちの心を打ちます。
リメイク映画や新作ドラマも作られましたが、デビッド・ジャンセン演じるオリジナルの持つ哀愁と緊迫感は唯一無二です。
まずは第1話、そして伝説の最終回だけでも、ぜひその目で確かめてみてください。
リチャード・キンブルの長い旅路の果てに、きっと「正義」の尊さを再確認できるはずです。
関連トピック
映画『逃亡者』(1993)
ハリソン・フォード主演、トミー・リー・ジョーンズ共演の大ヒット映画。テレビ版の設定を現代風にアレンジし、アクション要素を強めた作品。トミー・リー・ジョーンズはこの作品でアカデミー助演男優賞を受賞しました。
ドラマ『逃亡者』(2020)
渡辺謙主演で制作された日本版リメイクドラマ。テレビ朝日開局60周年記念作品として放送され、舞台を現代の日本に移しつつ、オリジナルの持つサスペンスを再現しました。
デビッド・ジャンセン (David Janssen)
主人公リチャード・キンブルを演じた名優。この役でゴールデングローブ賞を受賞しましたが、役柄同様に実生活でも苦悩多き俳優人生を送ったことで知られています。
関連資料
DVD『逃亡者 シーズン1~4 DVD-BOX』
全シーズンを収録したDVDボックス。日本語吹き替え版も収録されているものが多く、往年のファンにはたまらないアイテムです。
CD『The Fugitive (Original Television Soundtrack)』
ピート・ルゴロ作曲によるサウンドトラック。ジャズを基調としたスリリングで哀愁漂うスコアは、ドラマの緊張感を高めるのに一役買っています。
