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【徹底解説】『トムとジェリー』最終回は存在する?アカデミー賞7冠の歴史から都市伝説の真相まで

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【徹底解説】『トムとジェリー』最終回は存在する?アカデミー賞7冠の歴史から都市伝説の真相まで

【徹底解説】『トムとジェリー』最終回は存在する?アカデミー賞7冠の歴史から都市伝説の真相まで

概要

トムとジェリー』(原題:Tom and Jerry)は、1940年にアメリカで誕生して以来、80年以上にわたり世界中の子供たち(そしてかつての子供たち)を笑わせ続けている、スラップスティック・コメディ(ドタバタ喜劇)アニメーションの金字塔です。
おっちょこちょいでどこか憎めないネコの「トム」と、頭脳明晰でいたずら好きなネズミの「ジェリー」。
この2匹が繰り広げる「仲良く喧嘩しな」の精神に満ちた追いかけっこは、セリフをほとんど必要としない普遍的なエンターテインメントとして、国境や世代を超えて愛されています。

ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラという伝説的なコンビによって生み出された本作は、短編アニメーション映画としてアカデミー賞を7回も受賞するという偉業を成し遂げています。
しかし、その長い歴史の中では、制作体制の変更や作風の変化、そしてファンの間でまことしやかに囁かれる「衝撃の最終回」にまつわる都市伝説など、知られざるエピソードも数多く存在します。
本記事では、トムとジェリーの誕生から変遷、個性豊かなキャラクターたち、そして気になる「最終回」の真相や最新のグッズ事情まで、その魅力を余すところなく徹底解説します。

オープニング

YouTubeの「WB Kids」公式チャンネルより、トムとジェリーの魅力が凝縮された名シーン集をご紹介します。
言葉がなくても通じ合う、2匹の軽快なやり取りをご覧ください。

詳細(徹底解説)

あらすじと基本コンセプト:「仲良く喧嘩しな」

物語の基本構造は非常にシンプルです。
家の飼い猫(または野良猫)であるトムが、家の中を我が物顔で動き回るネズミのジェリーを捕まえようと奮闘します。
しかし、ジェリーは小さくて素早いうえに知恵が回り、トムの罠を逆手にとって反撃します。
爆弾、金床、ピアノ、フライパン……ありとあらゆる物が武器として飛び交う過激なバトルが繰り広げられますが、不思議と悲壮感はありません。
トムがどれだけペチャンコに潰されても、黒焦げになっても、次のシーンでは何事もなかったかのように復活する「マンガ的表現(カートゥーン・フィジックス)」が、暴力性を笑いへと昇華させているのです。
そして何より、喧嘩の根底には互いへの奇妙な友情や信頼関係が見え隠れします。
共通の敵が現れれば共闘し、相手が本当に危険な目に遭えば助け合う。この「仲良く喧嘩」する関係こそが、本作が長年愛される最大の理由です。

歴史と変遷:クリエイターごとの作風の違い

『トムとジェリー』は、制作された年代や監督によって作風が大きく異なります。ファンはこれらを監督名で区別して呼びます。

  • ハンナ=バーベラ期(1940年 – 1958年)
    黄金期と呼ばれる時代。ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラがMGMスタジオで制作しました。
    動きの滑らかさ、背景の美しさ、そしてスコット・ブラッドリーによるオーケストラ音楽と動きの完璧なシンクロ(ミッキーマウシング)は芸術の域に達しています。
    多くのアカデミー賞受賞作はこの時期に生まれています。
  • ジーン・ダイッチ期(1961年 – 1962年)
    MGMのアニメ部門閉鎖後、チェコのスタジオで制作されたシリーズ。
    独特の効果音や、少しシュールで奇妙な雰囲気が特徴。トムの飼い主が恐ろしい短気な男だったりと、少し異質な空気が漂いますが、カルト的な人気もあります。
  • チャック・ジョーンズ期(1963年 – 1967年)
    『ルーニー・テューンズ』で有名なチャック・ジョーンズが手掛けたシリーズ。
    トムの眉毛が太くなり、表情がより人間臭く、コメディタッチが強くなりました。オープニングの「MGMライオン」がトムに変わる演出なども有名です。
  • その後〜現在
    テレビシリーズとして『トムとジェリー ショー』や『トムとジェリー テイルズ』などが制作され、設定を現代風にアレンジしながら続いています。
    2021年には実写とアニメを融合させた映画『トムとジェリー』が公開され、ニューヨークを舞台に変わらぬドタバタ劇を披露しました。

輝かしいアカデミー賞受賞歴

『トムとジェリー』は、アカデミー賞短編アニメ賞を通算7回受賞、13回ノミネートという記録を持っています。これはディズニーの『シリー・シンフォニー』シリーズと並ぶ快挙です。
主な受賞作品は以下の通りです。

  • 1943年『勝利は我に』(The Yankee Doodle Mouse)
  • 1944年『ネズミとり必勝法』(Mouse Trouble)
  • 1945年『ただいまお昼寝中』(Quiet Please!)
  • 1946年『ピアノ・コンサート』(The Cat Concert)
    ※ピアノ演奏の指運びまで完璧に描かれた傑作
  • 1948年『台所戦争』(The Little Orphan)
  • 1951年『パーティ荒らし』(The Two Mouseketeers)
  • 1952年『ワルツの王様』(Johann Mouse)

「最終回」都市伝説の真相

インターネット上では、時折「トムとジェリーには悲しすぎる最終回がある」という噂が流れます。
よく語られるのは、「トムが寿命を迎え、ジェリーの前から姿を消す」「ジェリーがトムの死後に彼との友情に気づく」といった感動的かつ悲劇的なストーリーです。
しかし、これはファンによる二次創作(同人小説)であり、公式の最終回ではありません。
『トムとジェリー』は一話完結型のシリーズであり、明確なエンディングは設けられていないのです。

ただし、公式エピソードの中に「最終回のように見える」作品が存在することも、誤解の一因となっています。
それが『夢よもう一度(Blue Cat Blues)』(1956年)です。
この回は、トムとジェリーが失恋のショックから線路に座り込み、列車が迫ってくる音とともに画面が暗転して終わるという、シリーズ屈指の「鬱回」として知られています。
これが「実質的な最終回では?」「二人は心中したのでは?」と解釈されることがありますが、制作順ではその後もエピソードは続いており、これもあくまで「数あるエピソードの一つ」に過ぎません。
トムとジェリーは不死身のカートゥーンキャラクターであり、次の回では元気いっぱいに喧嘩を再開しています。

特筆すべき見どころ:音楽と「ヘンテコ」な変形

  • 音楽の魔術:本作において音楽はセリフ以上の役割を果たします。階段を駆け上がる音、忍び足、打撃音など、すべての動きがオーケストラで表現されています。「ジャズ」や「クラシック」の名曲が自然と耳に入るのも魅力の一つです。
  • ファニー・アート(Funny Art):近年、SNSを中心に再評価されているのが、トムやジェリーが劇中で見せる「ありえない形への変形」です。
    金庫に潰されて四角くなったトム、ホースに吸い込まれて細長くなったジェリーなど、物理法則を無視した形状変化が「Funny Art」としてグッズ化され、若者を中心に大ブームとなっています。

キャストとキャラクター紹介

※本作は基本的にセリフが少ないですが、キャラクターの個性は際立っています。

トム(Tom Cat)

本名はトーマス・キャット。青灰色の鉢割れ猫。
ジェリーを捕まえることに命を懸けているが、詰めが甘く、いつも逆襲される。
多才で、ピアノ演奏からビリヤード、指揮までプロ級の腕前を持つ。
惚れっぽく、メス猫にはめっぽう弱い。悲鳴(叫び声)はアーカイブされた音声が使い回されることが多く、その絶叫は作品のアイコンとなっている。

ジェリー(Jerry Mouse)

茶色のハツカネズミ。トムの住む家の壁穴に住んでいる。
見た目は愛らしいが、中身はかなりエグい攻撃も辞さないサディスティックな一面も。
チーズが大好物。トムよりも一枚上手だが、トムがいなくなると寂しがるような素振りも見せる。

タフィー(Tuffy / Nibbles)

ジェリーの甥っ子(孤児という設定の場合も)。おむつをしている小さな灰色のネズミ。
食いしん坊で無鉄砲。ジェリー以上にトラブルメーカーだが、その無邪気さでトムを翻弄する。

スパイク(Spike Bulldog)

強面のブルドッグ。トムにとっての天敵。
息子のタイクを溺愛しており、トムがタイクに危害を加える(またはそのように見える)と、容赦なくトムを叩きのめす。
「トムがスパイクを怒らせないようにジェリーを追いかける」というのが黄金パターンのひとつ。

まとめ(社会的評価と影響)

『トムとジェリー』は、単なる子供向けアニメの枠を超え、アニメーション技術の教科書としても高く評価されています。
「動き」と「タイミング」だけで笑いを生み出す手法は、後の多くのアニメーターに影響を与えました。
日本でも1964年の初放送以来、夕方の再放送の定番として定着し、親子三世代にわたる共通言語となっています。
また、近年の「Funny Art」ブームに見られるように、キャラクターそのものの愛らしさやデザイン性の高さが再注目されており、ファッションアイテムや雑貨としての人気も不動のものとしています。
時代が変わっても、トムとジェリーの追いかけっこが終わることはありません。彼らは永遠に、私たちの日常に笑いと活力を届け続けてくれるでしょう。

作品関連商品

  • フィギュア:「Happyくじ」などで展開される「TOM and JERRY FUNNY ART!」シリーズは、劇中の変形シーンを立体化したフィギュアとして大人気です。
  • 映像ソフト:『トムとジェリー アカデミー・コレクション』DVDなどが発売中。名作を厳選して楽しめます。
  • グッズ:85周年を記念した展覧会グッズや、コラボカフェ、アパレルブランドとのコラボレーションが頻繁に行われています。


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