【奥さまは魔女】第2シーズン第33話「ダーリンが二人?」あらすじ・ネタバレ感想!ディック・ヨークの神演技が光る分裂騒動を徹底解説
「ダーリンが二人?」の概要
1960年代のアメリカン・ホームコメディの金字塔「奥さまは魔女(Bewitched)」。その中でも、主演俳優ディック・ヨーク(Dick York)の卓越したコメディセンスと演技力が遺憾なく発揮された名作エピソードとして知られるのが、第2シーズン第33話「ダーリンが二人?」(原題:Divided He Falls)です。
このエピソードでは、サマンサの母・魔女のエンドラが、ダーリンを「仕事人間」と「遊び人」の2人に分裂させてしまうという奇想天外な魔法をかけます。現代で言うところの「ワーク・ライフ・バランス」を極端な形で風刺したような内容であり、サマンサが「本当のダーリン」とは何かを見つめ直す、笑いあり涙(?)ありのハートフルな展開が魅力です。本記事では、このエピソードのあらすじから結末、撮影秘話までを詳しく解説します。
「ダーリンが二人?」の詳細
延期されたバカンスとエンドラの怒り
物語は、スティーブンス家の延期された休暇計画から始まります。サマンサとダーリンは久しぶりのフロリダ休暇を楽しみにしていましが、ダーリンの勤める広告代理店「マクマーン&テイト社」の重要なクライアント、スターン化学の急な仕事が入ってしまいます。
ダーリンは責任感から仕事を優先し、休暇の延期をサマンサに告げます。良き妻であるサマンサは渋々ながらも納得しますが、それを聞いて黙っていられないのがサマンサの母、エンドラです。「仕事ばかりで家庭を顧みない男なんて!」と激怒したエンドラは、いつものようにダーリンへの嫌がらせとも取れる魔法を思いつきます。
魔法で分裂!「真面目なダーリン」と「陽気なダーリン」
「仕事をするダーリンと、休暇を楽しむダーリン、両方いればいいのよ」
エンドラが呪文を唱えると、ダーリンは文字通り2人の人間に分裂してしまいます。
一人は、仕事のことしか考えないガリ勉風の「シリアス・ダーリン」。
もう一人は、快楽主義で遊びのことしか頭にない「ハッピー・ダーリン」です。
ここから、ディック・ヨークによる見事な「一人二役」の演じ分けが始まります。
「シリアス・ダーリン」は会社へ向かい、上司のラリー・テイトやクライアントのスターン氏も驚くほどの猛烈なスピードで仕事をこなします。休憩も食事もとらず、ひたすら数字と戦略に没頭する姿は、まさにロボットのよう。
一方、「ハッピー・ダーリン」は自宅に残り、サマンサに向かって「さあ、マイアミへ行こう!仕事なんて忘れて遊び明かそう!」と甘い言葉を囁き続けます。彼は非常に魅力的でロマンチックですが、責任感のかけらもなく、将来のことも一切考えません。
サマンサの困惑と「人間らしさ」への気づき
最初は「遊び好きなダーリン」と休暇に行けるなら悪くないかも、と考えたサマンサですが、すぐに違和感を覚え始めます。「ハッピー・ダーリン」は確かに楽しいけれど、どこか薄っぺらで、困難を共に乗り越えるパートナーとしての信頼感がありません。逆に会社にいる「シリアス・ダーリン」を覗きに行くと、彼はサマンサのことなど一切目に入らず、仕事の鬼と化しています。
サマンサは悟ります。人間とは、真面目な部分と不真面目な部分、責任感と遊び心、その両方が複雑に混ざり合って初めて「その人」なのだと。極端に純化されたどちらか一方だけでは、彼女の愛する夫「ダーリン・スティーブンス」ではないのです。
大混乱の結末と愛の再確認
事態はさらに悪化します。「ハッピー・ダーリン」が勝手に会社へ電話をかけたり、プールで泳げないのに飛び込もうとしたりと大暴走。サマンサはエンドラを呼び出し、魔法を解くよう懇願します。
「どちらか好きな方を選びなさいよ」と迫るエンドラに対し、サマンサは「両方合わさってこそのダーリンなの!」と反論。最終的にエンドラは折れ、2人のダーリンを再び融合させます。
元に戻ったダーリンは、自分が分裂していた記憶はありませんが、猛烈な疲労感に襲われます。しかし、サマンサにとっては、仕事に悩みながらも家族を大切に思う、いつもの「不完全なダーリン」こそが最高だと再確認するハッピーエンドで幕を閉じます。
「ダーリンが二人?」の参考動画
まとめ
「ダーリンが二人?」は、単なるドタバタコメディの枠を超え、「人間の魅力とは何か」という哲学的な問いを含んだ傑作エピソードです。
真面目すぎては息が詰まる、遊びすぎては生活が成り立たない。そのバランスの中で葛藤するダーリンの姿は、現代の私たちにも通じる普遍的なテーマです。そして何より、表情、声色、姿勢を瞬時に使い分け、全くの別人格を演じきったディック・ヨークの演技力には脱帽するほかありません。彼のコミカルな演技を楽しみたいなら、まず間違いなくおすすめできる一本です。
関連トピック
ディック・ヨーク(Dick York):初代ダーリン役。このエピソードで見せる柔軟な身体表現と表情筋の動きは、彼のキャリアの中でも屈指の名演と評される。
スプリット・スクリーン(画面分割):60年代当時、同一人物を同じ画面に2人登場させるために使われた特撮技術。当時は非常に手間のかかる高度な合成だった。
ワーク・ライフ・バランス:1960年代の高度経済成長期のアメリカにおける企業戦士(モーレツ社員)への風刺が含まれている。
関連資料
奥さまは魔女 コンプリート・ボックス [DVD]
奥さまは魔女 シーズン2 [DVD]
