【最高傑作】ドラマ『超人ハルク』が描いた究極の悲恋!シーズン2第1話「サメの海・嵐の夜(Married)」あらすじと解説
「サメの海・嵐の夜(Married)」の概要
1978年に放送されたドラマ『超人ハルク』シーズン2の第1話(日本ではスペシャル版や2部作として放送)「サメの海・嵐の夜(原題:Married)」は、シリーズ全82話の中で最も評価が高く、最も涙を誘うエピソードとして知られています。
このエピソードでは、逃亡生活を続ける主人公デビッド・バナーが、ハワイの地で精神科医のキャロリン・フィールズ博士と出会い、つかの間の愛と結婚生活を手に入れる姿が描かれます。
ゲスト出演したマリエット・ハートレイが、死期が迫る女性の切なさと強さを見事に演じ、SFドラマとしては異例の「エミー賞 主演女優賞」を受賞した伝説的な作品です。
本記事では、アクションだけではない、人間ドラマとしての『超人ハルク』の真髄が詰まった本作のあらすじと魅力を徹底解説します。
「サメの海・嵐の夜」の詳細
ハワイへの旅と運命の出会い
デビッド・バナーは、怒りをコントロールする新たな治療法「催眠療法」の権威であるキャロリン・フィールズ博士を訪ねてハワイへ向かいます。
しかし、彼女自身もまた、不治の病に侵されており、余命数週間という過酷な運命を背負っていました。
彼女は自分の病状の進行を遅らせるために自己催眠を行っていましたが、発作が起きると体が硬直してしまうのです。
デビッドは彼女の治療を手伝う中で、自分の秘密(ハルクへの変身)を打ち明けます。
互いの「怪物」との戦い
二人は互いに抱える「怪物」(デビッドのハルク、キャロリンの不治の病)を理解し合い、急速に惹かれ合っていきます。
キャロリンの催眠療法により、デビッドは精神世界の中でハルクと対峙します。荒野で暴れるハルクを檻に閉じ込めようとするデビッドの姿が描かれ、この治療法に希望を見出します。
一方、デビッドもまた、自分の変身能力(代謝の異常な速さ)をヒントに、キャロリンの病気の進行を食い止めようと研究に没頭します。
結婚、そして嵐の夜の悲劇
限られた時間の中で、二人は結婚を決意します。
美しいハワイの夕日、海辺での結婚式、そしてささやかな新婚生活。
デビッドにとって、妻を失った事故以来、初めて訪れた心からの安らぎの時でした。
しかし、巨大なハリケーンが島を直撃した夜、悲劇が訪れます。
暴風雨の中、デビッドはハルクに変身し、キャロリンを守ろうと奮闘します。
ハルクの怪力は倒木や暴風には勝てますが、彼女の体内で進行する病気には勝てませんでした。
嵐が去った後、キャロリンは愛するデビッド(変身が解けた状態)の腕の中で静かに息を引き取ります。
作品の特筆すべき点
マリエット・ハートレイの名演
死への恐怖と愛への渇望を繊細に演じた彼女の演技は絶賛され、アクションドラマのゲスト枠でありながら、プライムタイム・エミー賞(ドラマ部門主演女優賞)を受賞するという快挙を成し遂げました。
「孤独」の強調
結婚という究極の社会的つながりを得た直後に、それを再び失うデビッドの喪失感は計り知れません。ラストシーンで流れる「The Lonely Man Theme」は、いつにも増して悲痛に響きます。
ハルクの無力さ
「どれだけ力が強くても、愛する人の病気を治すことはできない」というテーマは、このドラマが持つリアリティと哀愁を象徴しています。
「サメの海・嵐の夜」の参考動画
まとめ
「サメの海・嵐の夜」は、単なるヒーローもののエピソードではなく、普遍的な愛と喪失を描いた極上のラブストーリーです。
ビル・ビクスビーとマリエット・ハートレイの完璧なケミストリーは、視聴者に「もしハルクにならなければ、デビッドはどれほど幸せだっただろうか」と想像させ、胸を締め付けます。
このエピソードは、超人的な力を持つことの虚しさと、それでも生き続けなければならない人間の強さを私たちに問いかけています。
シリーズ未見の方でも、このエピソードだけは一つの映画として鑑賞する価値が十分にあります。
関連トピック
プロメテウス(The Prometheus)(シーズン4の傑作エピソード。デビッドが変身途中で固まってしまう衝撃作)
ケネス・ジョンソン(本作の脚本・監督を務めたシリーズの生みの親)
マリエット・ハートレイ(キャロリン役。ビル・ビクスビーとは実生活でも親友となった)
The Lonely Man Theme(ジョー・ハーネル作曲のエンディングテーマ。孤独な男の悲哀を表現したピアノ曲)
関連資料
DVD「超人ハルク シーズン2」(本エピソードを収録した映像ソフト)
書籍「The Incredible Hulk: A History and Celebration」(エピソードごとの詳細な解説が含まれたファンブック)

