【伝説の幕開け】『ヤング・スーパーマン』第1話「クラーク・ケントの秘密」徹底解説!運命の出会いと衝撃の隕石雨
第1話「クラーク・ケントの秘密(Pilot)」の概要
2001年10月16日、アメリカで放送が開始され、その後10年にわたって続く壮大なサーガの原点となった『ヤング・スーパーマン(原題:Smallville)』。その記念すべき第1話「クラーク・ケントの秘密(Pilot)」は、単なるヒーロードラマの初回という枠を超え、スーパーマンの起源(オリジン)を現代的に、そして青春ドラマとして再構築した傑作です。
物語は1989年、カンザス州スモールビルに降り注いだ「隕石雨」の惨劇から始まります。それは一人の英雄を連れてくると同時に、多くの悲劇と「モンスター(隕石感染者)」を生み出しました。
本記事では、若き日のクラーク・ケントと、後の宿敵レックス・ルーサーがどのように出会い、なぜ友情を育むことになったのか、そしてクラークが自身の出生の秘密を知るまでの劇的な展開を、詳細なあらすじとトリビアを交えて徹底解説します。
詳細:すべての運命が交錯する「始まりの物語」
プロローグ:1989年の隕石雨
物語の幕開けは衝撃的です。平和な田舎町スモールビルに、無数の隕石が降り注ぎます。
町は壊滅状態となり、多くの住民が犠牲になりました。その中には、幼いラナ・ラングの両親も含まれていました。
一方、ジョナサンとマーサのケント夫妻は、隕石と共に墜落してきた小型宇宙船を発見します。中には一人の男の子の赤ん坊がいました。子供に恵まれなかった二人は、これも運命と受け入れ、彼を「クラーク」と名付けて育てることを決意します。
この冒頭の数分間で、「クラークの到着」と「ラナの悲劇(両親の死)」が同時に描かれ、クラークの存在がラナにとって(間接的に)不幸の原因であるという、切ない運命の糸が絡み合います。
12年後:悩める高校生クラーク
時は流れ、クラークは高校生に成長しています。演じるトム・ウェリングの、彫刻のように美しいルックスと、素朴で不器用な演技が光ります。
彼は超人的な力やスピードを持っていますが、父親の言いつけを守り、その力を隠して農場を手伝っています。
隣に住む初恋の相手ラナ・ラングに近づきたいけれど、彼女が身につけている「隕石で作ったネックレス(クリプトナイト)」のせいで、近づくと力が抜け、体調が悪くなってしまうため、遠くから見つめることしかできません。この設定は、「恋の病」と「弱点」をリンクさせた見事な演出です。
運命の出会い:レックス・ルーサーを救え
このエピソードのハイライトは、クラークとレックスの出会いです。
父親の経営する肥料工場の視察に来ていた若き富豪レックス・ルーサーは、ポルシェで橋を走行中、脇見運転でクラークをはねてしまい、車ごと川へ転落します。
普通なら即死の事故ですが、クラークは無傷でした。それどころか、彼は川に飛び込み、水圧でひしゃげた車の屋根を素手で引き剥がし、レックスに人工呼吸を行って命を救います。
「君が助けてくれたのか?」と驚愕するレックスに対し、クラークは「車が落ちる前に飛び退いたんだ」と嘘をつきます。しかし、潰れた車の屋根を見たレックスの心には、「この少年は普通ではない」という疑念と、命の恩人に対する感謝、そして強烈な好奇心が芽生えます。
後に世界を二分して戦うことになる二人が、最初は「命の恩人と親友」としてスタートするという、皮肉かつドラマチックな展開です。
今週の敵:復讐に燃える「スケアクロウ」
第1話のヴィラン(敵)は、1989年の隕石雨の際、トウモロコシ畑で案山子(スケアクロウ)として磔にされるイジメを受けていた少年、ジェレミー・クリークです。
隕石の影響で昏睡状態となり、歳を取らないまま特殊能力(電気を操る力)を得て目覚めた彼は、かつて自分をいじめたフットボール部員たちへの復讐を開始します。
スモールビル高校には、毎年新入生を一人選んで「スケアクロウ」として畑に吊るすという悪しき伝統がありました。今年のターゲットにされたのは、なんとクラークでした。
ラナのネックレス(クリプトナイト)を首にかけられ、力を失って磔にされたクラークを救ったのは、意外にもレックスでした。
その後、力を取り戻したクラークは、復讐に燃えるジェレミーを止め、スプリンクラーの水を利用して彼を感電させ、暴走を食い止めます。
エピローグ:出生の秘密と父の告白
事件の後、クラークは父ジョナサンに詰め寄ります。「僕は本当は何者なんだ?」
観念したジョナサンは、納屋の地下室に隠していた宇宙船をクラークに見せます。「お前は宇宙から来たんだ」。
衝撃の事実に動揺するクラークですが、最後はラナと墓地で静かに語り合います。ラナは両親の墓前で「自分の人生を変えてしまった隕石も、何か意味があるのかも」と呟きます。
自宅の納屋に戻ったクラークが望遠鏡で夜空を見上げ、ラナを見守るシーンで第1話は幕を閉じます。
制作トリビア
- 撮影地: カンザス州という設定ですが、撮影のほとんどはカナダのバンクーバーで行われました。
- 視覚効果: 冒頭の隕石雨のシーンは、当時のテレビドラマとしては破格の予算がつぎ込まれ、映画並みのクオリティで制作されました。
- キャスティング: トム・ウェリングは当初、スーパーマン役のオーディションを断っていました。「タイツを着たくなかったから」です。しかし、「飛ぶシーンもタイツもない青春ドラマだ」と説得され、出演を決めました。
参考動画
まとめ
『ヤング・スーパーマン』第1話は、これまでの「完璧超人スーパーマン」のイメージを覆し、「自分の力に悩み、恋に臆病な少年」としてのクラーク・ケントを見事に描き出しました。
また、レックス・ルーサーを単なる悪役ではなく、「父親に愛されない孤独な青年」として描いたことで、物語に深みを与えています。
全てはこのエピソードから始まりました。10シーズン、217話にも及ぶ長い旅路の出発点として、これ以上ない完璧なパイロット版と言えるでしょう。まだ見ていない方は、ぜひこの伝説の始まりを目撃してください。
関連トピック
クリプトナイト(隕石)
スーパーマンの故郷クリプトン星の破片。緑色のものはクラークの体力を奪い、苦痛を与えます。ドラマ内では、人間を突然変異させ、特殊能力を与える「モンスター製造機」としての役割も果たしており、毎回の事件の原因となります。
No Tights, No Flights(タイツなし、飛行なし)
本作の制作における絶対的なルール。クラークが人間として成長する過程を描くため、空を飛ぶことと、コスチュームを着ることは最終回まで封印されました。
ルーサー・コープ(LuthorCorp)
レックスの父ライオネル・ルーサーが経営する巨大企業。スモールビルに工場を持ち、町の経済を支配していますが、裏では隕石を使った怪しい実験を行っています。
関連資料
DVD『ヤング・スーパーマン シーズン1』
第1話を含む全21話を収録。初期の初々しいキャストたちの姿や、メイキング映像などの特典も楽しめます。
DCコミックス『スーパーマン:アースワン』
若き日のクラーク・ケントを現代的な視点で描いたグラフィックノベル。ドラマ版とは設定が異なりますが、共通する「悩み」や「成長」のテーマを感じることができます。

