PR

【完全保存版】スパイ大作戦の歴代テープレコーダー徹底解説!「なお、このテープは自動的に消滅する」の秘密と名機たち

うんちく
この記事は約8分で読めます。

【完全保存版】スパイ大作戦の歴代テープレコーダー徹底解説!「なお、このテープは自動的に消滅する」の秘密と名機たち

「スパイ大作戦」の概要

1960年代後半から70年代にかけて世界中を熱狂させ、日本でも絶大な人気を誇ったアメリカのテレビドラマ『スパイ大作戦(原題:Mission: Impossible)』。

この作品を象徴するものといえば、ラロ・シフリン作曲の軽快なテーマ曲、導火線に火がつくオープニング、そして何と言っても冒頭の「指令伝達シーン」でしょう。

「おはよう、フェルプス君」という呼びかけから始まり、極秘任務の詳細が語られた後、「なお、このテープは自動的に消滅する」という決まり文句と共に煙を上げて消え去るテープ。

この一連のシークエンスは、スパイアクションというジャンルにおける様式美を確立しました。

本記事では、この指令シーンで使われた歴代のテープレコーダーや再生機器にスポットを当て、実際に撮影で使用された機種の特定や、時代ごとに変化していった演出の秘密、そして現代の『ミッション:インポッシブル』シリーズへと受け継がれるガジェットの進化について、マニアックな視点も交えながら徹底的に解説します。

当時の子供たちが憧れ、大人たちが胸を躍らせた「消えるテープ」の魅力を再発見し、スパイ大作戦の世界をより深く楽しむためのガイドとしてお役立てください。

「スパイ大作戦」のテープレコーダー詳細

伝説の幕開け:「おはよう、フェルプス君」の衝撃

『スパイ大作戦』の各エピソードは、基本的にIMF(Impossible Missions Force)のリーダーが、どこか人目につかない場所で当局からの指令を受け取るシーンから始まります。

リーダーが指定された場所(電話ボックス、フォトブース、駐車場など)に行き、隠されたテープレコーダーや再生機を見つけ出すところから物語は動き出します。

そして再生ボタンを押すと流れてくるのが、あのお馴染みのナレーションです。

日本語吹き替え版では、大平透氏の深みのある声で「おはよう、フェルプス君(初期はブリッグス君)」と語りかけられ、ターゲットの悪事や任務の目的が説明されます。

そして最後は必ず、「例によって、君、もしくは君のメンバーが捕えられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。成功を祈る」という非情かつクールな言葉で締めくくられます。

この緊迫感あふれる導入部は、視聴者を一気にスパイの世界へと引き込む強力なフックとなっていました。

初期シーズンの主役:小型オープンリール・テープレコーダー

番組開始当初の1960年代、まだカセットテープが普及しきる前の時代において、スパイガジェットの主役は「小型オープンリール・テープレコーダー」でした。

手のひらに乗るようなサイズでありながら、リールが回転して音声を再生するそのメカニカルな動きは、当時の最先端技術の象徴でした。

劇中で最も頻繁に使用され、ファンの間で「スパイ大作戦のテープレコーダー」として特定されている代表的な機種には、以下のようなものがあります。

1. Craig 212

おそらくシリーズを通して最も有名な機種の一つです。

アメリカのCraig社が販売していましたが、製造は日本のサンヨー(三洋電機)が行っていたとも言われています。

コンパクトなボディに3インチのリールを搭載し、シンプルながらも美しいデザインが特徴です。

ジム・フェルプスがこのレコーダーのスイッチを入れ、リールが回り出すシーンは、多くのファンの脳裏に焼き付いています。

2. Concord F-20

こちらも頻繁に登場した機種です。

Concord社もまた、日本のメーカーが製造したOEM製品を多く扱っていました。

Craig 212と似た形状ですが、操作ボタンの配置やマイクのデザインなどに若干の違いがあります。

これらのレコーダーは、当時のビジネスマンが会議の録音やメモ用に使用するための高級文具でもありました。

テープだけじゃない!多彩な指令メディアの変遷

『スパイ大作戦』の面白いところは、指令の伝達方法がマンネリ化しないよう、毎回工夫が凝らされていた点です。

基本はテープレコーダーですが、時には驚くようなメディアが使われることもありました。

レコード(LP・シングル盤)

あるエピソードでは、アンティークショップやレコード店で指定されたレコードをかけると、そこから指令が流れてくるという演出がありました。

レコードプレイヤーの針が溝をトレースする映像と共に指令が流れ、聞き終わるとレコード盤自体が化学反応で溶けたり、煙を吹いたりするのです。

映写機とスライド

視覚的な情報が重要な任務の場合、小型の映写機やスライドビューワーが使われることもありました。

壁に映し出されたターゲットの顔写真と共に音声が流れ、最後にはフィルムが燃え尽きるという演出です。

カセットテープと8トラック

時代が下り1970年代に入ると、より一般的になったカセットテープや、自動車のカーステレオなどで使われた8トラックテープも登場するようになりました。

特に第4シーズン以降や、後の『新スパイ大作戦』では、カセットテープ型の指令が主流になっていきました。

しかし、映像的なインパクトとしては、リールが回るオープンリールの方を好むファンが多いのも事実です。

「なお、このテープは自動的に消滅する」の演出トリック

このドラマ最大の見せ場の一つであるテープの消滅シーン。

「5秒後に消滅する」と言われた後、実際にプシューっという音と共に白煙が上がり、テープがダメになる演出は、どのように撮影されていたのでしょうか。

実はこれ、非常にアナログな方法で行われていました。

多くのシーンでは、特殊効果担当のスタッフが画面の外からチューブを使って煙を送り込んだり、実際に化学薬品を使って発煙させたりしていました。

また、テープのリール部分に発火性の素材を仕込み、物理的に燃やしたり溶かしたりすることもありました。

時には煙の量が多すぎて、役者がむせ返ってしまったり、小道具のレコーダーが本当に壊れてしまったりというNGハプニングもあったそうです。

しかし、この「物理的に消滅する」というリアリティこそが、CG全盛の現代にはない独特の緊張感を生み出していました。

80年代『新スパイ大作戦』と映画版への継承

1988年に制作された続編『新スパイ大作戦』では、技術の進歩に合わせて指令メディアも進化しました。

ここでは、小型のディスクプレイヤーのような独自デバイスが登場します。

指紋認証機能が付いており、フェルプスが指を置くと再生が始まり、聞き終わるとディスクが内部で溶解するというハイテクな描写が見られました。

そして、トム・クルーズ主演の映画『ミッション:インポッシブル』シリーズでは、この伝統へのオマージュと破壊が繰り返されています。

第1作目の飛行機内での映画鑑賞システムを使った指令、公衆電話、サングラス型ディスプレイ、さらにはレコード店での合言葉など、オリジナルの精神を受け継ぎつつ、現代的なアレンジが加えられています。

特に映画版第1作で、公衆電話からの指令の後、電話機自体ではなく「最後の煙」だけを演出として残したシーンは、往年のファンをニヤリとさせる演出でした。

まとめ:色褪せないアナログガジェットのロマン

『スパイ大作戦』のテープレコーダーは、単なる小道具の枠を超え、作品のアイデンティティそのものと言える存在です。

スマホ一つで何でもできる現代において、わざわざ物理的なテープを回し、それが煙を上げて壊れるという手間のかかるプロセスは、非効率的でありながらも、圧倒的にドラマチックです。

Craig 212をはじめとする当時の録音機材は、現在でもオークションサイトなどで高値で取引されており、コスプレやコレクションアイテムとして根強い人気を誇ります。

もし機会があれば、かつての名作ドラマを見返し、冒頭の数分間に込められたスタッフの創意工夫と、回転するリールの美しさに注目してみてください。

そこには、スパイたちの冷徹なプロフェッショナリズムと、アナログ機器特有の温かみが同居する、不思議な魅力が詰まっています。

「スパイ大作戦」の参考動画

まとめ

『スパイ大作戦』におけるテープレコーダーと指令消滅の演出は、テレビドラマ史上最も記憶に残るオープニングの一つとして、今なお多くの人々に愛されています。

それは単なる「任務説明」という事務的なシーンを、視聴者が固唾を飲んで見守るエンターテインメントへと昇華させた画期的な発明でした。

初期の小型オープンリールから始まり、レコード、カセット、そして近年のデジタルデバイスへと形を変えながらも、「当局は一切関知しない」「自動的に消滅する」という精神は、スパイフィクションの金字塔として受け継がれています。

この記事を通じて、当時の技術力や演出の工夫に思いを馳せ、改めて作品の奥深さを感じていただければ幸いです。

私たちの日常では、メッセージが自動的に消滅することはまずありませんが、情報の取り扱いには、IMFのエージェント並みに慎重でありたいものです。

関連トピック

ミッション:インポッシブル(トム・クルーズ主演の大ヒット映画シリーズ。テレビ版の設定をベースにしつつ、独自のアクション大作へと進化を遂げた。)

ジム・フェルプス(IMFの2代目リーダーであり、シリーズの顔。冷静沈着な判断力と変装の名人としてチームを率いた。ピーター・グレイブスが演じ、映画版第1作ではジョン・ヴォイトが演じた。)

IMF (Impossible Missions Force)(実行不可能な任務を遂行するために組織された秘密機関。各分野のスペシャリストが集められ、チームプレイで難事件を解決する。)

スパイガジェット(変装用マスク、小型カメラ、特殊通信機など、スパイ活動に欠かせない秘密道具の総称。現実の技術進歩を予見していたものも多い。)

ダン・ブリッグス(第1シーズンのリーダー。スティーヴン・ヒルが演じた。彼もまた独特の存在感を放っていたが、フェルプスに交代した経緯などもファンの語り草となっている。)

関連資料

スパイ大作戦 コンプリート・シリーズ DVD-BOX(全シーズンを網羅した決定版BOX。当時の吹き替え音声も収録されており、ファン必携のアイテム。)

「ミッション:インポッシブル」オリジナル・サウンドトラック(ラロ・シフリンによる不朽の名テーマ曲を収録。聴くだけで緊張感と高揚感が蘇る。)

スパイ・ガジェットの歴史(スパイ映画やドラマに登場した小道具を解説した書籍やムック本。当時の技術背景を知る上で貴重な資料となる。)

タイトルとURLをコピーしました