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【徹底解説】日本未公開の最低映画?『Saving Christmas (セービング・クリスマス)』のあらすじから最悪の評価、キャストまで総まとめ

コメディー
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概要

アメリカのホリデーシーズンに向けて2014年に公開されたものの、映画史に残る「歴史的大失敗作」として世界中で悪名を轟かせたのが『Saving Christmas(セービング・クリスマス)』です。
(※日本では劇場未公開のため、主に輸入盤やインターネット上のレビューを通じてカルト的な知名度を誇っています。)
本作は、1980年代の大ヒットシットコム『愉快なシーバー家』でアイドル的な人気を博し、現在は熱心なキリスト教福音派の伝道師として活動する俳優カーク・キャメロンが主演および製作総指揮を務めた宗教コメディ映画です。
商業主義にまみれて本来の宗教的な意味を見失ってしまった(と勘違いされがちな)現代のクリスマスに対して、「クリスマスツリーもサンタクロースもプレゼントも、すべてキリスト教に由来する素晴らしいものだから、もっと盛大に祝おう!」という独自のメッセージを説教臭く展開します。
しかし、その強引すぎる解釈や極端なメッセージ性、そして映画としての圧倒的なクオリティの低さが災いし、批評家からも一般観客からも、さらには本来ターゲット層であるはずのキリスト教徒からも大バッシングを浴びる結果となりました。
映画レビューサイト「Rotten Tomatoes」では驚異の支持率0%を長らく記録し、IMDbの「史上最低の映画ランキング(Bottom 100)」でぶっちぎりの1位の座に君臨し続けたという、ある意味で奇跡的な一本です。
本記事では、なぜ本作がゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)で最低作品賞を含む4冠に輝いてしまったのか、そのトンデモなストーリー展開や、ネット民との間に勃発した「評価戦争」の裏側まで、余すところなく徹底的に解説していきます。

オープニング

詳細(徹底解説)

あらすじと強引すぎる独自解釈

物語の舞台は、カーク・キャメロン演じる主人公「カーク」の妹が主催する、盛大なクリスマスパーティーの会場です。
家の中が華やかな装飾やご馳走、そしてプレゼントの山で溢れかえる中、カークの義理の弟であるクリスチャンだけは浮かない顔をして家の外に停めた車の中に引きこもっていました。
クリスチャンは、「現代のクリスマスは商業主義に毒されており、異教徒の祭りが起源のクリスマスツリーやサンタクロースばかりが持て囃され、本来の主役であるイエス・キリストが蔑ろにされている」と不満を抱いていたのです。
そんな彼を説得し、パーティーの輪に連れ戻すために車に乗り込んできたカークは、おもむろに「クリスマスの真の歴史」を語り始めます。
ここから映画の大部分は、カークの長々とした説教と、それを補足する安っぽい再現ドラマによって構成されていくことになります。
カークが展開する理論は、「クリスマスツリーはイエスがはりつけにされた十字架とエデンの園の生命の樹を象徴している」という強引な結びつけから始まります。
さらに、「サンタクロースの起源である聖ニコラウスは、ただの気のいいお爺さんではなく、キリスト教の教義を捻じ曲げる異端者を容赦なくぶん殴った武闘派の英雄である」という極端なエピソードが、無駄にスタイリッシュなスローモーションのアクションシーンと共に描かれます。
そして極めつけは、「物質主義に走って大量のプレゼントを買い求めたり、豪華な食事を貪ることは罪ではなく、神が物質(肉体)となってこの世に現れたことを祝福する正しい行為である」という、多くのキリスト教徒さえも首を傾げるような衝撃的な結論へと至るのです。

特筆すべき見どころ(迷シーン)

本作における最大の見どころ(あるいは最大のツッコミどころ)は、物語のラストに待ち受けている唐突なダンスシーンです。
カークの強引な説得によって見事に「クリスマスの真意」を理解し、すっかりご機嫌になったクリスチャンはパーティー会場へと戻り、家族全員と喜びを分かち合います。
すると突如としてヒップホップのビートが鳴り響き、出演者全員がカメラ目線でブレイクダンスやロボットダンスを踊り狂うという、それまでの宗教的なテーマをすべて吹き飛ばすかのようなシュールなエンディングが約5分間も延々と続くのです。
映画の尺がそもそも約80分と極端に短いにもかかわらず、本筋とは無関係な長時間のダンスシーンや、コーヒーを注ぐだけの無意味なスローモーション映像で露骨に時間を稼いでいる点は、多くの批評家から「映画としての体を成していない」と激しく非難されました。
また、主人公のカークがカメラに向かって直接語りかけてくる(第四の壁を破る)演出が多用されており、まるで新興宗教のプロパガンダビデオを映画館で見せられているような、強烈な違和感と居心地の悪さを観客に与え続けます。

制作秘話とネット民との「評価戦争」

『Saving Christmas』を語る上で絶対に外せないのが、映画の公開直後に巻き起こったインターネット上での前代未聞の大騒動です。
公開直後から、Rotten Tomatoesなどの大手レビューサイトでは、本作に対する酷評の嵐が吹き荒れました。
これに危機感を覚えた主演のカーク・キャメロンは、自身のFacebookアカウントを通じて「映画を貶めようとするアンチ(ヘイター)たちが評価を下げている。みんな、Rotten Tomatoesに行って最高評価の星をつけて、彼らに愛の力を見せつけてやろう!」とファンに向けて直接呼びかけました。
しかし、この露骨な評価操作の呼びかけは、海外掲示板のRedditや4chanなどのネットユーザーたちの反骨心を強烈に煽る結果(いわゆるストライサンド効果)となってしまいます。
激怒したネット民たちは一斉に反撃を開始し、Rotten Tomatoesだけでなく世界最大の映画データベース「IMDb」にも大挙して突撃し、本作に最低点である「1点」を大量に投下し続けました。
その結果、本作の評価は瞬く間に暴落し、一時はIMDbが選ぶ「史上最低の映画ランキング(Bottom 100)」で見事ぶっちぎりの第1位に輝くという、カークにとっては最悪の形で歴史に名を刻む大惨事となってしまったのです。

キャストとキャラクター紹介

  • カーク: 演 – カーク・キャメロン

    キリスト教の教義に対する独自の解釈を猛スピードでまくし立て、クリスマスに否定的な義理の弟を論破しようとする主人公です。

    演じているカーク・キャメロン本人そのものと言っていい役柄であり、常に自信満々でドヤ顔を浮かべながら、時にはカメラ目線で観客に向かって直接説教を始めるという、非常にクセの強いキャラクターとなっています。

  • クリスチャン: 演 – ダレン・ドーン

    クリスマスが商業主義に染まっていることに強い疑問を感じ、パーティーの輪から外れて車の中に閉じこもるカークの義理の弟です。

    観客の代弁者としての立ち位置かと思いきや、カークのトンデモ理論をあっさりと受け入れてしまい、最後はノリノリでヒップホップダンスを踊り出すという情緒不安定な役回りを、本作の監督でもあるダレン・ドーン自らが演じています。

  • ブリジット: 演 – ブリジット・キャメロン

    カークの実の妹であり、クリスチャンの妻として、盛大なクリスマスパーティーを主催する明るく陽気な女性です。

    演じているブリジット・キャメロンは、カーク・キャメロンの現実の妹であり、映画内でも現実と同じ兄妹関係をそのまま演じるという、まるでホームビデオのような身内ノリのキャスティングになっています。

キャストの代表作品と経歴

主人公を演じ、本作の製作総指揮も務めたカーク・キャメロンは、1985年から放送された大ヒットファミリードラマ『愉快なシーバー家(Growing Pains)』の長男マイク役で、全米のティーンエイジャーを熱狂させるトップアイドルとして一世を風靡しました。
しかし、ドラマ出演中に熱心な福音派キリスト教徒に改宗してからは、自身の信仰にそぐわないという理由でドラマの台本に頻繁に口出しをするようになり、共演者やスタッフとの間に深い溝を作ったことでも知られています。
その後はハリウッドのメインストリームから完全に身を引き、キリスト教系の信仰映画(フェイス・ベースド・フィルム)の制作と出演に専念する独自のキャリアを歩み始めました。
彼が主演した『Left Behind(レフト・ビハインド)』シリーズや、夫婦の危機を信仰で乗り越えるドラマ『Fireproof(ファイアー・プルーフ 消防士の贈り物)』などは、一部の保守的なキリスト教層からは熱狂的な支持を集め、商業的にも局地的な大成功を収めています。
本作のメガホンを取り、義弟クリスチャン役も嬉々として演じたダレン・ドーンは、もともとはBlink-182やデフトーンズなど、有名ロックバンドのミュージックビデオを数多く手掛けてきた気鋭の映像作家でした。
彼もまた後に熱心なキリスト教徒へと転身し、カーク・キャメロンとタッグを組んで数々の宗教系ドキュメンタリーや映画を制作していますが、本作での自分よがりで稚拙な演出の数々は、彼の映像作家としてのキャリアにおいても最大の汚点として語り継がれています。

まとめ(社会的評価と影響)

『Saving Christmas』は、映画としての体を成していない薄っぺらな脚本、観客を置いてけぼりにする説教臭すぎる演出、そして何より「クリスマスにはどんどん物を買って、ひたすらご馳走を食べまくるべきだ」という、キリスト教本来の謙虚さとは真逆ともとれる独自の解釈が致命傷となり、あらゆる層から見放されました。
毎年恒例の最低映画の祭典である第35回ゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)においては、「最低作品賞」「最低主演男優賞(カーク・キャメロン)」「最低脚本賞」、そして「最低スクリーンコンボ賞(カーク・キャメロンと彼の巨大なエゴ)」という、不名誉極まりない主要4部門を堂々と制覇しています。
キリスト教系の映画は、特定の信仰層から手堅い支持を得やすいため、批評家の評価が低くても一般観客の評価(Audience Score)は高くなる傾向がよく見られます。
しかし本作に関しては、あまりにも身勝手な聖書の解釈に対して、牧師や熱心な信者たちからも「物質主義を正当化するための言い訳にすぎない」「キリスト教に対する重大な誤解を招く」といった辛辣な批判が相次ぎました。
自身の主演作を守ろうとしたSNSでの不用意な煽り発言がネット民の逆鱗に触れ、結果的に「史上最低の映画」としての烙印をインターネットの歴史に深く刻み込んでしまった本作。
ある意味では、SNS時代における「炎上マーケティングの悲惨な失敗例」や「自己愛と信仰の暴走が生んだ喜劇」として、映画史だけでなくネットカルチャーの観点からも後世に語り継ぐべき貴重な反面教師的作品と言えるでしょう。

作品関連商品

本作は日本での劇場公開はもちろん、国内向けのローカライズ(日本語字幕や吹替)も一切行われていないため、関連商品を入手するハードルはやや高めとなっています。

  • DVD / Blu-ray(輸入盤): 日本のAmazonなどの通販サイトで、北米版のDVDやBlu-rayを購入することが可能です。

    日本語字幕は収録されていませんが、英語のリスニング教材として、あるいは「噂に名高い史上最低の映画を自分の目で確かめたい」という勇気ある映画ファンのための究極のゲテモノ・コレクターズアイテムとして、一部でカルト的な需要を保っています。

  • 『愉快なシーバー家』DVDコンプリート・ボックス: カーク・キャメロンの本来の魅力と、ハリウッドのトップアイドルとして輝いていた全盛期の姿を堪能したい方には、彼を一躍スターダムに押し上げた大ヒットシットコムのDVDボックスが強く推奨されます。

    本作での独善的な姿から一時避難し、古き良きアメリカン・コメディの温かさに触れることで、心の中の「クリスマス・スピリット」を平穏に保つことができるはずです。

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