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【徹底解説】映画『バタフィールド8』(BUtterfield 8) のあらすじから結末まで!エリザベス・テイラーが初オスカーに輝いた愛と堕落の物語

ヒューマンドラマ
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概要

ダニエル・マン監督による1960年(日本公開1961年)の映画『バタフィールド8』は、ジョン・オハラの同名ベストセラー小説を原作とした、愛と欲望が交錯するメロドラマの傑作です。
主演のエリザベス・テイラーは本作で奔放な高級コールガールを熱演し、見事第33回アカデミー賞で自身初となる主演女優賞を獲得しました。
物語の舞台は、華やかな雰囲気に包まれたニューヨークのマンハッタンです。
美貌と魅力を武器に男たちを渡り歩くヒロインのグロリアが、妻子ある富豪と運命的で破滅的な恋に落ちる姿が描かれます。
タイトルの「バタフィールド8」とは、当時のニューヨークのアッパー・イースト・サイドなどの高級住宅街を管轄していた電話局の局番(BU8)を意味しており、上流階級の虚飾に満ちた世界を象徴しています。
テイラーの圧倒的な美しさと、スリップ姿で画面を支配する官能的な演技は、当時の観客に強烈なインパクトを与えました。
本記事では、映画史に残る本作のあらすじや見どころ、そしてテイラー自身が本作を激しく嫌悪していたという有名な制作秘話に至るまで、徹底的に深掘りして解説していきます。

予告編

詳細(徹底解説)

あらすじと世界観

物語は、ニューヨークの高級アパートメントで、主人公のグロリア・ワンドラスが一人目覚めるシーンから幕を開けます。
彼女は昨晩、妻子ある裕福な実業家ウェストン・リゲットと関係を持ちましたが、彼が残した250ドルという「代金」を見て、自分が単なる娼婦として扱われたことに激しい屈辱を覚えます。
怒りに任せて彼女は、リゲットの妻エミリーの高級なミンクのコートを無断で持ち出し、アパートを後にするのでした。
グロリアは特定の職業に就かず、パトロンたちの援助で自由奔放に生きる高級コールガール(モデル)であり、その美貌で数々の男性を魅了してきました。
しかし、彼女の心の奥底には、愛されないことへの恐怖と、過去のトラウマによる深い孤独が隠されていました。
一方のリゲットもまた、妻の財力に依存する自らの境遇に嫌気がさしており、グロリアの野性的で純粋なエネルギーに強く惹かれていきます。
上流階級の偽善的な社会を背景に、傷ついた二つの魂が惹かれ合い、そして激しく衝突する様が、退廃的なニューヨークの空気感とともに描き出されます。

愛と破滅の展開(結末と考察)

グロリアはリゲットとの出会いを通じて、これまでのような自堕落な生活から抜け出し、真実の愛を見つけようと決意します。
彼女は良き友人である作曲家のスティーブに心を打ち明け、新しい人生を歩み始めようと前向きな姿勢を見せます。
リゲットもまた、妻との離婚を決意し、グロリアを本気で愛し抜こうと心に誓うのです。
しかし、ミンクのコートの件や、周囲の人々の嫉妬と誤解が絡み合い、二人の関係はすれ違いを重ねていきます。
物語の終盤、誤解から絶望に打ちひしがれたグロリアは、車を猛スピードで走らせ、悲劇的な交通事故を起こして命を落としてしまいます。
彼女の死を知ったリゲットは深い後悔に苛まれ、自らの虚飾に満ちた過去を捨て去るため、妻の元を去り一人で生きていくことを決意します。
結末が示すのは、当時の社会における「堕落した女性は罰を受けなければならない」という保守的な道徳観念であると同時に、グロリアという女性がいかに純粋に愛を求めていたかという悲しい逆説でもあります。

特筆すべき見どころ

本作の最大の見どころは、全盛期のエリザベス・テイラーが放つ、画面から溢れんばかりの美しさとカリスマ性です。
特に、白いスリップ姿でタバコをくわえたり、鏡に向かって口紅でメッセージを残したりするシーンは、映画史に残るアイコニックな名場面として知られています。
彼女は単なる「悪女」ではなく、傷つきやすく繊細な内面を持つ女性を、時にヒステリックに、時に哀愁を漂わせて見事に演じ切りました。
また、ヘレン・ローズがデザインを手がけた当時のニューヨークを彩る豪華な衣装やインテリア、都会的なジャズ調の音楽も、作品のメロドラマティックな雰囲気を大いに盛り上げています。
1960年代初頭のアメリカ社会が抱えていた、性に対するダブルスタンダード(男性の遊びは許容され、女性は非難される)を鋭く浮き彫りにしている点も、本作の重要な見どころの一つです。

制作秘話・トリビア

『バタフィールド8』を語る上で欠かせないのが、エリザベス・テイラー自身がこの作品を「最低の映画」と公言し、出演を激しく拒んでいたという事実です。
彼女はMGMスタジオとの契約消化のために、半ば強制的に本作に出演させられたという経緯があります。
さらに皮肉なことに、劇中でグロリアの親友スティーブを演じているエディ・フィッシャーは、当時のテイラーの実際の夫でした。
テイラーが親友のデビー・レイノルズからフィッシャーを「略奪婚」したスキャンダルの直後であったため、世間の注目は嫌が応にも本作に集まりました。
アカデミー賞授賞式の数ヶ月前、テイラーは次回作『クレオパトラ』の撮影中に重度の肺炎で死の淵を彷徨い、緊急の気管切開手術を受けて奇跡的に一命を取り留めました。
この劇的な生還が同情票を集め、彼女自身が嫌悪した本作で初のアカデミー主演女優賞を受賞することになったというエピソードは、ハリウッド最大の伝説として語り継がれています。

キャストとキャラクター紹介

  • グロリア・ワンドラス: エリザベス・テイラー (Elizabeth Taylor) / 吹替: 武藤礼子
    美しい容姿を武器に、ニューヨークの上流階級の男たちを相手にする高級コールガールです。
    幼少期のトラウマから自己肯定感が低く、自暴自棄な行動を繰り返していますが、心の底では真実の愛と平穏な生活を渇望しています。
  • ウェストン・リゲット: ローレンス・ハーヴェイ (Laurence Harvey) / 吹替: 広川太一郎
    妻の家族の財力によって社会的地位を得ている、裕福な実業家です。
    自らの境遇に空虚さを感じており、グロリアの奔放さに魅了され、やがて彼女を本気で愛するようになりますが、自身の傲慢さが悲劇を招いてしまいます。
  • スティーブ・カーペンター: エディ・フィッシャー (Eddie Fisher)
    グロリアの幼なじみであり、彼女を温かく見守る気の優しい作曲家です。
    グロリアにとって唯一心を許せる友人であり、彼女が人生をやり直すための支えとなろうと努力しますが、彼女の破滅的な運命を止めることはできませんでした。
  • エミリー・リゲット: ディナ・メリル (Dina Merrill) / 吹替: 寺島信子
    リゲットの貞淑で気品ある妻であり、資産家の令嬢です。
    夫の浮気を薄々感じながらも、上流社会の体面を保つために冷静に振る舞おうとしますが、グロリアの存在によってそのプライドは大きく揺さぶられます。

キャストの代表作品と経歴

主演のエリザベス・テイラーは、子役時代からハリウッドの第一線で活躍し、『ジャイアンツ』や『熱いトタン屋根の猫』などで数々の名演を残してきました。
本作で初のアカデミー主演女優賞を獲得した後、『バージニア・ウルフなんかこわくない』で2度目の同賞を受賞し、ハリウッドの黄金期を象徴する伝説の大女優としての地位を不動のものにしました。
ローレンス・ハーヴェイは、イギリス出身の知的で冷たみのある二枚目俳優として知られ、『年上の女』でアカデミー賞にノミネートされた実力派です。
本作でも、傲慢でありながらどこか哀愁を漂わせる複雑な男の心理を見事に体現しています。
エディ・フィッシャーは、1950年代に絶大な人気を誇ったポップス歌手であり、デビー・レイノルズやエリザベス・テイラーとの結婚・離婚スキャンダルで世間を騒がせたエンターテイナーとして有名です。

まとめ(社会的評価と影響)

映画『バタフィールド8』は、批評家からはメロドラマとしての古臭さや脚本の粗さを指摘されることもありましたが、興行的には大成功を収めました。
何よりも、エリザベス・テイラーの私生活のスキャンダルと、劇中のグロリアの奔放なキャラクターが重なり合ったことで、当時の観客に強烈な好奇心と熱狂を巻き起こしたのです。
テイラーのアカデミー賞受賞については「同情票だ」とする声も一部にありましたが、彼女が画面の中で放つ圧倒的なスターオーラと、怒りや哀しみを爆発させる迫真の演技は、賞賛に値する素晴らしいものでした。
本作は、女性のセクシュアリティの捉え方や、ハリウッドのスタジオ・システムのあり方を語る上で欠かせない歴史的な作品として、今なお多くの映画ファンや研究者から注目を集め続けています。

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    エリザベス・テイラーの美しいスリップ姿や、1960年代のニューヨークの華やかな街並みを高画質で堪能できるディスク版は、クラシック映画ファン必携のアイテムです。
  • 原作小説『バタフィールド8』(ジョン・オハラ著)
    1931年に実際に起きた「スター・フェイス・マーダー(スターの顔を持つ殺人事件)」と呼ばれるスキャンダルを基に書かれた原作は、当時の禁酒法時代の退廃を見事に描き出しており、映画版との違いを楽しむことができます。
  • オリジナル・サウンドトラック(作曲:ブロニスラウ・ケイパー)
    都会の孤独や情熱を見事に表現したジャズ調の劇伴音楽は、映画のドラマチックな世界観に浸りたい方におすすめの一枚です。
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