YouTubeで見る「バットマン(1960s)」!ポップでキャンプな伝説のTVシリーズを徹底解説
「バットマン」1960s TVシリーズの概要
『バットマン』(原題: Batman)は、1960年代にアメリカで制作・放送され、世界的なポップカルチャー現象となったテレビドラマシリーズです。
DCコミックスの人気ヒーロー、バットマンを主人公とし、大富豪ブルース・ウェイン(=バットマン)とその若き相棒ディック・グレイソン(=ロビン)が、架空の都市ゴッサム・シティを脅かす奇抜な悪党たち(ジョーカー、ペンギン、リドラー、キャットウーマンなど)と戦う姿を描いています。
本作は、原作コミックのシリアスさとは一線を画し、意図的に「キャンプ(Camp)」と呼ばれる、大げさでキッチュ(悪趣味すれすれの派手さ)、そして自己パロディ的なスタイルを採用したのが最大の特徴です。
明るい色彩、斜めになったカメラアングル(ダッチアングル)、殴打シーンでの「POW!」「BAM!」といったオノマトペ(擬音)のテロップ挿入など、コミックブックの表現をそのまま実写化したような演出で、子供から大人まで幅広い視聴者を魅了しました。
「バットマン」60年代版 伝説のオープニングテーマ
(※ニール・ヘフティ作曲による、サーフロック調で非常に有名なテーマ曲「Batman Theme」)
作品詳細(放送時期・特徴的なスタイル)
本作は、ウィリアム・ドジャーによって企画・制作され、アメリカのABCネットワークで1966年1月12日から1968年3月14日まで、全3シーズン、合計120話が放送されました。
制作はグリーンウェイ・プロダクションズと20世紀フォックス・テレビジョン。
放送形式も特徴的で、週に2回(主に水曜と木曜)放送され、水曜日のエピソードがクリフハンガーで終わり、木曜日に解決編が放送されるという連続活劇スタイルを取り入れていました。
バットマンとロビンが乗る「バットモービル」(ジョージ・バリスがリンカーン・フューチュラを改造)のデザインも非常に人気を博しました。
また、豪華なゲストスターが悪役(スペシャル・ゲスト・ヴィラン)として多数出演したことも大きな話題となりました。
シーザー・ロメロ(ジョーカー)、バージェス・メレディス(ペンギン)、フランク・ゴーシン(リドラー)、ジュリー・ニューマー(キャットウーマン)らの怪演は、番組の人気を支える重要な要素でした。
第3シーズンからは、イヴォンヌ・クレイグ演じるバットガール(バーバラ・ゴードン)が新たなレギュラーとして加わりました。
「バットマン」1960s版の主要キャスト
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ブルース・ウェイン / バットマン (Bruce Wayne / Batman): アダム・ウェスト (Adam West)
ゴッサム・シティの大富豪にして、犯罪と戦うヒーロー。真面目で時にユーモラス。
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ディック・グレイソン / ロビン (Dick Grayson / Robin): バート・ウォード (Burt Ward)
バットマンの若き相棒。「ホーリー〇〇、バットマン!」(”Holy [something], Batman!”)という驚きのセリフが口癖。
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アルフレッド・ペニーワース (Alfred Pennyworth): アラン・ネイピア (Alan Napier)
ウェイン家の忠実な執事。バットマンの活動をサポートする。
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ジェームズ・ゴードン市警本部長 (Commissioner James Gordon): ニール・ハミルトン (Neil Hamilton)
ゴッサム市警の本部長。バットマンに絶大な信頼を寄せる。
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マイルズ・オハラ署長 (Chief Miles O’Hara): スタッフォード・レップ (Stafford Repp)
ゴードン本部長の部下。アイルランド系のステレオタイプ的なキャラクター。
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バーバラ・ゴードン / バットガール (Barbara Gordon / Batgirl): イヴォンヌ・クレイグ (Yvonne Craig) [シーズン3]
ゴードン本部長の娘。図書館司書であり、もう一つの顔を持つヒロイン。
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ナレーター: ウィリアム・ドジャー (William Dozier) [声のみ]
大げさな口調で状況を説明するナレーター。
主な悪役
- ジョーカー (The Joker): シーザー・ロメロ (Cesar Romero)
- ペンギン (The Penguin): バージェス・メレディス (Burgess Meredith)
- リドラー (The Riddler): フランク・ゴーシン (Frank Gorshin) / ジョン・アスティン (John Astin)
- キャットウーマン (Catwoman): ジュリー・ニューマー (Julie Newmar) [シーズン1-2] / アーサ・キット (Eartha Kitt) [シーズン3] / リー・メリーウェザー (Lee Meriwether) [1966年劇場版]
キャストの他の代表作品名
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アダム・ウェスト:
- 『ファミリー・ガイ (Family Guy)』(アニメ、本人役/市長役の声優)
- 『バットマン オリジナル・ムービー (Batman: The Movie)』(1966年劇場版)
- 『アトランティス 7つの海底都市 (The Outer Limits)』などのテレビドラマゲスト出演
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バート・ウォード:
- 『バットマン オリジナル・ムービー (Batman: The Movie)』(1966年劇場版)
- 近年のDCコミックス関連のクロスオーバーイベント(Crisis on Infinite Earths)にカメオ出演
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シーザー・ロメロ (ジョーカー役):
- 『オーシャンと十一人の仲間 (Ocean’s 11)』(1960年版映画)
- 『八十日間世界一周 (Around the World in 80 Days)』(1956年版映画)
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バージェス・メレディス (ペンギン役):
- 『ロッキー (Rocky)』シリーズ(映画、ミッキー・ゴールドミル役)
- 『トワイライト・ゾーン (The Twilight Zone)』(テレビドラマ「時間さえあれば (Time Enough at Last)」)
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ジュリー・ニューマー (キャットウーマン役):
- 『掠奪された七人の花嫁 (Seven Brides for Seven Brothers)』(映画)
- ブロードウェイでの舞台活動(トニー賞受賞)
「バットマン」1960s版の社会的評価と影響(まとめ)
1960年代の『バットマン』テレビシリーズは、その独特なキャンプ・スタイルによって、「バットマニア (Batmania)」と呼ばれる社会現象を巻き起こしました。
当時のアメリカのポップアート運動とも呼応し、カラフルでキッチュな世界観は、ベトナム戦争などで揺れる社会の中で、一種の現実逃避的なエンターテイメントとして広く受け入れられました。
アダム・ウェスト演じる真面目腐ったバットマンと、バート・ウォード演じる熱血漢ロビンのコンビは、お茶の間の人気者となりました。
しかし、その極端にコミカルな作風は、後のシリアスなバットマン像(ティム・バートン版映画など)が登場するまで、「バットマン=子供向けのコメディ」というイメージを長らく定着させることにもなりました。
賛否両論はあるものの、その唯一無二のスタイルとポップカルチャーへの影響力は計り知れず、現在でもカルト的な人気を誇る、テレビ史に残るユニークな作品です。
「バットマン」1960s版 関連商品
あのポップなゴッサム・シティを再び!
DVD / Blu-ray
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『バットマン』テレビシリーズ(1966-1968)の全シーズンを収録したコンプリートDVD-BOXやBlu-ray BOXが、ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメントから発売されています。
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1966年公開の劇場版『バットマン オリジナル・ムービー』のDVD/Blu-rayもリリースされています。
模型 / フィギュア
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番組に登場した「バットモービル」のダイキャストモデルやプラモデルは、非常に多くのメーカーから様々なスケールで発売されており、定番の人気商品です。
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アダム・ウェスト版バットマンやバート・ウォード版ロビン、悪役たちのフィギュア(マテル社、メズコ社など)も多数発売されています。
書籍
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番組のメイキングやエピソードガイド、写真集などが、主に洋書で出版されています。