西部劇の金字塔『ボナンザ』の面白うんちく!テレビ史を変えた「初のカラー西部劇」の秘密と人気を徹底解説

西部劇の金字塔『ボナンザ』の面白うんちく!テレビ史を変えた「初のカラー西部劇」の秘密と人気を徹底解説

『ボナンザ』の概要

『ボナンザ』(原題: Bonanza)は、1959年から1973年までの14シーズン、全431話が放送されたアメリカのテレビ西部劇です。

ネバダ州の広大なポンデローサ牧場を舞台に、カートライト一家(父ベンと3人の息子アダム、ホス、ジョー)が織りなす人間ドラマや冒険を描き、アメリカのテレビ史における最長寿西部劇の一つとして知られています。

「ボナンザ」とはスペイン語で「大当たり」や「(鉱脈の)富鉱帯」を意味し、まさにテレビ界の「大当たり」となった作品です。

日本でも1960年代に放送され、その有名なテーマ曲とともにお茶の間の絶大な人気を集めました。

『ボナンザ』の詳細うんちく

うんちく1: テレビ史を変えた「初のカラー放送」西部劇

『ボナンザ』がテレビ史において非常に重要な作品とされる最大の理由の一つは、これが「主要ネットワーク(NBC)で全シーズンがカラー放送された初の1時間西部劇」であった点です。

1959年当時、テレビ放送はまだ白黒が主流でした。

しかし、NBCの親会社であったRCAは、自社製のカラーテレビ受像機を普及させるためのキラーコンテンツとして、この『ボナンザ』に白羽の矢を立てました。

タホ湖の美しい風景や豪華な衣装を「総天然色」で見せるという戦略は見事に当たり、本作の人気爆発とともに、アメリカ家庭へのカラーテレビ普及が急速に進んだと言われています。

うんちく2: 驚異的な視聴率と「土曜の夜の死の枠」

『ボナンザ』は放送開始当初、視聴率が振るいませんでした。

しかし、放送枠が日曜の夜9時に移動すると人気が爆発。

1964年から1967年にかけての3シーズン(シーズン6〜8)で、3年連続全米年間視聴率第1位という前人未到の記録を達成しました。

あまりの人気に、他局が『ボナンザ』と同じ時間帯に放送した番組はことごとく低視聴率に終わったため、この放送枠は「(他局にとっての)死の枠(The Death Slot)」と恐れられました。

この人気は14シーズンにわたって続き、アメリカのプライムタイム西部劇としては『ガンスモーク』に次ぐ長寿番組となりました。

うんちく3: 誰もが知る「燃える地図」のオープニング

本作を象徴するのが、一度聴いたら忘れられない勇壮なテーマ曲です。

この曲は、西部劇音楽の巨匠デイヴィッド・ローズによって作曲されました(後に歌詞が付けられたバージョンも存在します)。

特に有名なのが、燃えながら広がっていくポンデローサ牧場の地図を背景に、カートライト一家の4人が馬に乗って登場するオープニング映像です。

この「燃える地図」のビジュアルは、テレビ史に残る名オープニングとして今も語り継がれています。

うんちく4: 実在したテーマパーク「ポンデローサ牧場」

物語の舞台である「ポンデローサ牧場」は架空の牧場ですが、その人気にあやかり、撮影ロケ地の一つであったネバダ州タホ湖の近郊に、「ポンデローサ・ランチ」というテーマパークが1967年にオープンしました。

園内にはカートライト家の牧場家屋や、ドラマに登場する西部の町並みが忠実に再現され、世界中からファンが訪れる人気観光地となりました。

このテーマパークは残念ながら2004年に閉鎖されましたが、『ボナンザ』がいかに絶大な文化的影響力を持っていたかを物語るエピソードです。

うんちく5: 日本の人気と豪華すぎる吹き替え声優陣

『ボナンザ』は日本でも1960年(昭和35年)から日本テレビ系列で放送され、大ヒットしました。

その人気を支えたのが、重厚な日本語吹き替えです。

特に印象的なのが、威厳ある父親ベン・カートライトの声。

初期の放送(第1期)では高塔正康が、そして後の放送(第2期)では、歌舞伎役者であり、後に八代目市川中車を襲名する市川荒五郎(当時)が担当し、その渋い声で日本のファンを魅了しました。

このように、当時のテレビ吹き替えには、舞台俳優や歌舞伎役者など、第一線の「声のプロ」が起用されていました。

参考動画

まとめ

『ボナンザ』は、単なる勧善懲悪の西部劇ではありません。

カラーテレビという新技術の普及を牽引したメディア戦略的な側面と、家族の絆や正義、人間ドラマを深く描いたストーリー性が融合し、14年もの長きにわたって愛され続けました。

「燃える地図」のオープニングと勇ましいテーマ曲は、テレビの黄金時代を象徴するアイコンとして、今もなお多くの人々の記憶に鮮明に残っています。

それはまさに、テレビ界における真の「ボナンザ(大当たり)」だったのです。

関連トピック

西部劇 (Western): アメリカの開拓時代(主に19世紀後半)を舞台にしたジャンルです。『ローハイド』『ガンスモーク』『大草原の小さな家』など、多くの名作テレビドラマが生まれました。

ローハイド (Rawhide): 『ボナンザ』と同時期に人気を博したテレビ西部劇。クリント・イーストウッドの出世作として有名です。

NTSC: アメリカや日本で採用されたカラーテレビの放送方式です。『ボナンザ』のカラー放送もこの方式で行われました。

ポンデローサ松 (Ponderosa Pine): 北米原産の松の一種で、牧場の名前「ポンデローサ」の由来となっています。

関連資料

『ボナンザ』DVD-BOX: 選りすぐりのエピソードが収録されたDVDが発売されています。

西部劇テーマ曲集(CD): 『ボナンザ』のテーマ曲はもちろん、『ローハイド』『荒野の七人』など、懐かしの西部劇テーマソングを集めたコンピレーションアルバムが多数あります。

アメリカのテレビ史に関する書籍: 『ボナンザ』がカラーテレビ普及に果たした役割など、当時の時代背景と共に解説されています。

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