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【幻の傑作サスペンス】ドラマ『コロネット・ブルー』徹底解説!記憶喪失の男を襲う謎と未完のラスト

サスペンス・ミステリー
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【幻の傑作サスペンス】ドラマ『コロネット・ブルー』徹底解説!記憶喪失の男を襲う謎と未完のラスト

ドラマ『コロネット・ブルー』の概要

1967年にアメリカで放送され、日本でもそのスタイリッシュな映像と謎が謎を呼ぶ展開でカルト的な人気を誇るテレビドラマ『コロネット・ブルー(原題:Coronet Blue)』。

「自分は誰なのか?」「なぜ命を狙われるのか?」という記憶喪失サスペンスの原点とも言える本作は、主演のフランク・コンバースの端正なルックスと、レニー・ウェルチが歌う哀愁漂う主題歌と共に、多くの視聴者の心に強烈な印象を残しました。

しかし、このドラマは物語の核心である謎が解明されないまま打ち切られた「未完の傑作」としても有名です。

本記事では、『コロネット・ブルー』がなぜ伝説となったのか、そのあらすじや魅力、そして制作の裏側に隠された数奇な運命と、後に明かされた「謎の答え」について徹底解説します。

『コロネット・ブルー』の詳細解説

物語の始まり:水底からの生還と謎の言葉

物語は、ニューヨークの港から一人の男(フランク・コンバース)が引き上げられるところから始まります。

彼は記憶を完全に失っていましたが、うわごとのようにただ一言、「コロネット・ブルー」という言葉を口にします。

病院で意識を取り戻した彼は、自分の過去を探ろうとしますが、その「コロネット・ブルー」という言葉を口にした途端、正体不明の暗殺者集団(グレイ・ビートルズ)に命を狙われ始めます。

彼は「マイケル・オールデン」という仮の名を名乗り、自分を殺そうとする組織から逃げながら、失われた記憶と「コロネット・ブルー」の意味を求めて孤独な旅に出ます。

この「追われながら真実を探す」というプロットは、名作『逃亡者』や、後の『ボーン・アイデンティティー』にも通じるサスペンスの王道であり、視聴者を一気に引き込みました。

スタイリッシュな演出と都会的な孤独

本作の魅力は、ミステリー要素だけではありません。

1960年代後半のニューヨークを中心としたロケーション撮影、ジャズを基調とした洗練されたBGM、そして何よりも主演フランク・コンバースのクールで憂いを帯びた演技が、ドラマ全体に都会的な孤独感と哀愁を与えています。

特に、レニー・ウェルチが歌う主題歌「Coronet Blue」は、ビルボードチャートにもランクインするほどのヒットとなり、ドラマのスタイリッシュな世界観を決定づけました。

孤独な逃亡劇でありながら、どこか青春ドラマのような瑞々しさも感じさせる点が、若者層からの支持を集めた要因でした。

伝説となった理由:打ち切りと「幻の結末」

『コロネット・ブルー』が伝説化している最大の理由は、その放送経緯と結末にあります。

実はこの作品、全13話が撮影された後、一度はお蔵入りになっていました。その後、夏の番組改編期の穴埋め番組として放送されたところ、予想外の高視聴率を獲得し、熱狂的なファンを生んだのです。

しかし、放送時にはすでに撮影から時間が経過しており、主演のフランク・コンバースも別の契約を結んでいたため、続編の制作が不可能となってしまいました。

その結果、主人公の正体も、「コロネット・ブルー」の意味も明かされないまま、ドラマは唐突に終了してしまいます。

日本での放送時も、「この続きはどうなるんだ!?」という問い合わせが殺到し、その消化不良感が逆に作品を忘れられないものにしました。

後に明かされた真実:コロネット・ブルーとは何だったのか?

ドラマ本編では明かされませんでしたが、クリエイターのラリー・コーエンは後に、当初予定していた結末について語っています。

「コロネット・ブルー」とは、実は極秘のスパイ組織(または作戦コード)の名前でした。

主人公マイケル・オールデンは、実はスパイではなく、その組織に所属していたが裏切って情報を持ち出そうとした人物、あるいは二重スパイであったという設定が用意されていたと言われています(諸説あり)。

また、彼が実はロシア人であり、アメリカ社会に溶け込む訓練を受けていたが、記憶喪失により自分が何者かわからずアメリカ人として振る舞っていた、という衝撃的なアイデアもあったようです。

いずれにせよ、主人公が決して「正義のヒーロー」ではなかったかもしれないという暗い影が、この作品の奥深さを物語っています。

『コロネット・ブルー』参考動画

『コロネット・ブルー』のまとめ

『コロネット・ブルー』は、1960年代のアメリカTVドラマが生んだ「美しき徒花(あだばな)」です。

記憶喪失、謎の組織、孤独な逃亡という要素を、都会的なセンスで映像化した本作は、たとえ結末が描かれなかったとしても、その過程のスリルとロマンだけで十分に視聴者を魅了する力を持っています。

「謎は謎のままの方が美しい」と言われることもありますが、このドラマほどその言葉が似合う作品はありません。

もし機会があれば、フランク・コンバースの苦悩に満ちた表情と、名曲「Coronet Blue」の調べに酔いしれてみてはいかがでしょうか。

関連トピック

フランク・コンバース:本作の主演俳優。イェール大学出身の知性派で、その端正なルックスで一躍スターとなりましたが、本作の不運な打ち切りに翻弄されました。

ラリー・コーエン:本作のクリエイター。『インベーダー』などのSF作品やB級映画の巨匠として知られ、奇抜なアイデアと社会風刺を得意としました。

逃亡者(The Fugitive):1963年のドラマ。無実の罪で追われる男を描き、本作と比較されることが多い逃亡サスペンスの金字塔。

レニー・ウェルチ:主題歌を歌った歌手。彼の歌声なくして『コロネット・ブルー』の世界観は成立しなかったと言われるほど重要です。

関連資料

サウンドトラック:レニー・ウェルチの主題歌はオールディーズの名曲として現在でもコンピレーションアルバムなどで聴くことができます。

海外ドラマの専門書:60年代サスペンスドラマを特集したムック本などで、本作の詳細なエピソードガイドや制作秘話が紹介されていることがあります。

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