『秘密指令S』の面白うんちく!「S」の謎、豪華すぎる日本版声優陣、そして伝説のスピンオフを徹底解説

『秘密指令S』の面白うんちく!「S」の謎、豪華すぎる日本版声優陣、そして伝説のスピンオフを徹底解説

『秘密指令S』の概要

『秘密指令S』(原題: Department S)は、1969年から1970年にかけてイギリス(ITC)で制作・放送されたテレビドラマシリーズです。

インターポール(国際刑事警察機構)の一部門でありながら、通常の警察組織では解明不可能な怪事件や謎めいた事件を専門に扱う謎のチーム「デパートメントS」の活躍を描いた物語です。

論理的なアメリカ人、紅一点のイギリス人コンピューター専門家、そしてキザな流行作家という異色のトリオが事件を解決していくスタイルが人気を博しました。

日本では1970年に日本テレビ系列で放送され、そのスタイリッシュな作風と個性的なキャラクターでカルト的な人気を獲得しました。

『秘密指令S』の詳細うんちく

うんちく1: タイトルの「S」は、結局なんの略?

本作最大のうんちくであり、最も有名な謎が、原題である『Department S』の「S」が何を意味するのか、ということです。

劇中では「S」が何の略であるかについて、ついに最後まで明確に説明されることはありませんでした。

「Special(特別)」「Secret(秘密)」「Super(超越)」など、視聴者の間では様々な憶測が飛び交いましたが、制作陣はあえてその答えをぼかし続けました。

この「謎めいた組織名」自体が、番組のミステリアスな雰囲気を高める重要な要素となっていたのです。

うんちく2: 主役を食った男、ジェイソン・キング

『秘密指令S』のチームは3人で構成されていました。

  • スチュワート・サリバン: 元FBI捜査官で、チームの実質的リーダー。冷静沈着なアメリカ人。(演:ジョエル・ファビアニ)

  • アンナベル・ハースト: コンピューターと情報分析の専門家であるイギリス人女性。(演:ローズマリー・ニコルズ)

  • ジェイソン・キング: ベストセラー推理作家。捜査には協力的だが、常に女性と酒を追いかけるキザなプレイボーイ。(演:ピーター・ウィンガード)

当初の想定では、真面目なサリバンが主人公格でした。

しかし、放送が始まると、ペイズリー柄の派手なスーツを着こなし、大げさな口ひげを生やし、常に皮肉とユーモアを忘れないジェイソン・キングのキャラクター人気が爆発します。

その強烈な個性は主役の二人を完全に食ってしまい、番組のアイコン的存在となりました。

うんちく3: 伝説のスピンオフ『作家探偵ジェイソン・キング』

ジェイソン・キングの人気はあまりにも絶大だったため、『秘密指令S』の放送終了後、即座に彼を単独主人公にしたスピンオフ作品『作家探偵ジェイソン・キング』(原題: Jason King)が制作されました。

これはテレビドラマ史上でも珍しい、脇役が主役を食って独立した代表的な例として知られています。

『秘密指令S』よりもさらにジェイソンの華やかな(そして破天荒な)私生活と冒険に焦点が当てられ、こちらも人気を博しました。

うんちく4: 豪華すぎる!日本版の「レジェンド声優陣」

日本での放送時、その人気を決定づけたのが、今では考えられないほど豪華な吹き替え声優陣です。

  • ジェイソン・キング(ピーター・ウィンガード):
    久松保夫(『プリズナーNo.6』のNo.2、『荒野の用心棒』のクリント・イーストウッドなど、威厳ある声で知られる名優)

  • スチュワート・サリバン(ジョエル・ファビアニ):
    広川太一郎(『宇宙戦艦ヤマト』の古代守、トニー・カーティスやロバート・レッドフォードの吹き替えで知られる伝説の声優)

  • カーティス・セレステ卿(デニス・アラバ・ピータース):
    小林清志(『ルパン三世』の次元大介役で全国的に有名な、日本を代表する声優)

主役級の広川太一郎と、悪役やナレーターで右に出る者のいない久松保夫、そして次元大介の小林清志が一堂に会するという、まさに「声のドリームチーム」でした。

さらに、次回予告のナレーションは、後に『トリビアの泉』の「〜へぇ」の声でおなじみとなる中江真司が担当していました。

うんちく5: 『電撃スパイ作戦』との微妙な関係

本作は、同時期に同じITC(イギリスの制作会社)が制作し、日本でも人気だった『電撃スパイ作戦』(原題: The Champions)としばしば混同されます。

『電撃スパイ作戦』は超能力を持つ3人のエージェントが活躍する物語であり、『秘密指令S』とは全く別の作品です。

しかし、どちらも「男女混合チーム」「ミステリアスな組織」「スリリングな音楽」といった共通点が多く、当時の英国スパイブームを象徴する兄弟のような作品としてファンに記憶されています。

参考動画

まとめ

『秘密指令S』は、そのスタイリッシュな映像とジャジーで緊迫感あふれるテーマ曲、そして何よりも「ジェイソン・キング」という不世出の強烈なキャラクターによって、多くのファンを魅了しました。

タイトルの「S」の謎は、組織の秘密性を高めるための意図的な演出であり、それこそが本作最大の「うんちく」と言えるでしょう。

そして、日本では広川太一郎、久松保夫、小林清志というレジェンド声優たちによる吹き替えが、作品に唯一無二の魅力を与えていたのです。

関連トピック

作家探偵ジェイソン・キング: 『秘密指令S』からスピンオフした作品。ジェイソン・キングのファンはこちらも必見です。

ITC (Incorporated Television Company): 『サンダーバード』『謎の円盤UFO』『プリズナーNo.6』『電撃スパイ作戦』など、数々の名作ドラマを制作したイギリスの制作会社です。

ピーター・ウィンガード: ジェイソン・キングを演じた俳優。この役で国際的なスターとなりました。

スパイブーム: 1960年代から70年代にかけて、『007』シリーズや『スパイ大作戦』などに代表されるスパイ作品が世界的に流行しました。

関連資料

『秘密指令S』DVD: 日本でもコンプリートDVD-BOXが発売されており、伝説の吹き替え版(一部)と字幕版で視聴することが可能です。

『作家探偵ジェイソン・キング』DVD: スピンオフ作品もDVD化されています。

ITC作品関連の書籍: 『サンダーバード』などと並び、ITC作品群の一つとして紹介されているムック本などで、当時の制作背景を知ることができます。

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