YouTubeで「ドールハウス (Dollhouse) 2009」
「ドールハウス (Dollhouse)」の概要
「ドールハウス(Dollhouse)」は、2009年から2010年にかけてアメリカのFOXネットワークで放送されたSFアクション・スリラードラマです。
本作の企画・制作総指揮は、「バフィー 〜恋する十字架〜」や「ファイヤーフライ 宇宙大戦争」、後に映画「アベンジャーズ」の監督を務めることになるジョス・ウェドンが手掛けました。
物語の舞台は、ロサンゼルスに存在する秘密のハイテク地下組織、通称「ドールハウス」です。
この組織は、莫大な費用を支払う裕福なクライアントのあらゆる要望に応えるため、「アクティブ」または「ドール」と呼ばれる人間を提供します。
ドールたちは、自らの意思で過去の記憶や人格をすべて消去する契約を結んだ人々です。
彼らは普段、無垢で子供のような「ブランク(白紙)」の状態で生活していますが、任務(エンゲージメント)の依頼が入ると、天才的なプログラマーによってクライアントが望む完璧な人格、記憶、スキルを脳にインストール(刷り込み)されます。
ある時は敏腕の交渉人、ある時は理想の恋人、またある時は危険な暗殺者として、ドールたちは様々な任務を遂行します。
本作のあらすじは、主人公である「エコー」(エライザ・ドゥシュク)という女性ドールを中心に展開します。
エコーは、任務を終えて人格を消去されるたびに、わずかな記憶の断片や自我の感覚を蓄積していくという特異な現象を見せ始めます。
彼女は自分が「キャロライン・ファレル」という名前であった過去の断片を追い求め、次第にドールハウスというシステムの倫理的な問題性や、組織の背後に隠された巨大な陰謀に気づき始めます。
テクノロジーによるアイデンティティの操作、人間の尊厳、記憶と自我の関係性といった深いテーマを、スリリングなアクションと陰謀渦巻くストーリーで描いた意欲作です。
「ドールハウス (Dollhouse)」の予告編
「ドールハウス」シーズン1の公式予告編(トレーラー)はこちらで視聴可能です。
作品の持つミステリアスでアクション満載な雰囲気を感じ取ることができます。
「ドールハウス (Dollhouse)」の詳細
「ドールハウス」は、ジョス・ウェドン率いる制作会社Mutant Enemy Productionsと20世紀フォックステレビジョンによって制作されました。
アメリカでは2009年2月13日にシーズン1の放送が開始されました。
シーズン1は全13話(うち1話「Epitaph One」は局の判断で放送されず、DVD/Blu-rayにのみ収録)、続くシーズン2も全13話が制作され、2009年9月から2010年1月にかけて放送されました。
残念ながら、放送当初から視聴率の低迷に苦しみ、シーズン2の途中で打ち切りが決定し、全2シーズン(計26話)をもってシリーズは完結しました。
制作総指揮のジョス・ウェドンは、本作でも「バフィー」や「ファイヤーフライ」と同様に、強力な女性主人公を据え、倫理的なジレンマを探求する独自の作風を展開しています。
脚本チームにはティム・マイナーやジェド・ウェドン(ジョスの弟)など、ウェドン作品常連のスタッフが参加しました。
各エピソードは、エコーが様々な人格を演じる1話完結型のミッションと、ドールハウスの謎やFBI捜査官による追跡といったシリーズ全体を貫く縦軸のストーリーが並行して描かれる構成となっています。
「ドールハウス (Dollhouse)」の主なキャストと代表作品
「ドールハウス」の複雑な世界観を支えた、魅力的なキャスト陣とその代表作を紹介します。
エコー / キャロライン・ファレル – 演:エライザ・ドゥシュク (Eliza Dushku)
本作の主人公。
ドールハウスで最も人気のあるアクティブ(ドール)であり、任務のたびに人格を上書きされますが、次第に自我の断片を保持し始め、システムそのものに疑問を抱きます。
エライザ・ドゥシュクは本作で主演とプロデューサーを兼任しました。
- 代表作(ドラマ):「トゥルー・コーリング」(トゥルー・デイビーズ 役)
- 代表作(ドラマ):「バフィー 〜恋する十字架〜」(フェイス 役)
- 代表作(映画):「トゥルーライズ」(アーノルド・シュワルツェネッガーの娘ダナ 役)
- 代表作(映画):「クライモリ」(ジェシー・バーリンゲーム 役)
ボイド・ラングトン – 演:ハリー・レニックス (Harry Lennix)
エコーの「ハンドラー」(監視役・保護者役)を務めるドールハウスの警備主任。
元警官であり、エコーに対して父親のような感情を抱いています。
ドールハウスのシステムには複雑な思いを抱えています。
- 代表作(映画):「マトリックス リローデッド / レボリューションズ」(ロック司令官 役)
- 代表作(映画):「マン・オブ・スティール」(スワンウィック将軍 役)
- 代表作(ドラマ):「THE BLACKLIST/ブラックリスト」(ハロルド・クーパー 役)
トファー・ブリンク – 演:フラン・クランツ (Fran Kranz)
ドールハウスの頭脳である天才プログラマー。
ドールたちに人格をインストールする技術を開発した張本人で、倫理観よりも科学的好奇心を優先する傾向があります。
陽気な性格ですが、自身の技術がもたらす結果に葛藤します。
- 代表作(映画):「キャビン」(マーティ 役)
- 代表作(映画):「ヴィレッジ」(クリストフ・クレイン 役)
- 代表作(映画):「ドニー・ダーコ」(カメオ出演)
ポール・バラード – 演:ターモー・ペニケット (Tahmoh Penikett)
ドールハウスの存在を追う、執念深いFBI捜査官。
都市伝説とされるドールハウスの捜査に没頭するあまり、FBI内では孤立しています。
特に、ドールハウスに入る前のエコー(キャロライン)の行方を追っています。
- 代表作(ドラマ):「GALACTICA/ギャラクティカ(バトルスター・ギャラクティカ)」(カール・“ヘロ”・アガソン 役)
- 代表作(ドラマ):「スーパーナチュラル」(ガドイール 役)
アデル・デウィット – 演:オリヴィア・ウィリアムズ (Olivia Williams)
ロサンゼルス支部のドールハウスを統括する冷徹で有能な所長。
ドールハウスの活動は「必要悪」であり、ドールたちを「助けている」という信念を持っています。
上層部の意向と現場のドールたちの間で揺れ動きます。
- 代表作(映画):「シックス・センス」(ブルース・ウィリスの妻アナ 役)
- 代表作(映画):「ゴーストライター」(ルース・ラング 役)
- 代表作(ドラマ):「ザ・クラウン」(カミラ・パーカー・ボウルズ 役)
シエラ / プリヤ・ツェタン – 演:ディーチェン・ラックマン (Dichen Lachman)
エコーと同じくドールハウスのアクティブ(ドール)。
彼女もまた自我の兆候を見せ始め、特に同じドールのビクターとブランクの状態で惹かれ合います。
- 代表作(ドラマ):「オルタード・カーボン」(レイリーン・カワハラ 役)
- 代表作(ドラマ):「エージェント・オブ・シールド」(ジャーイン 役)
「ドールハウス (Dollhouse)」の評価と影響
「ドールハウス」は、放送当時、複雑な設定と倫理的なテーマ性から評価が賛否両論に分かれ、視聴率は低迷しました。
その結果、シーズン2での打ち切りという結果に至りました。
しかし、ジョス・ウェドン作品特有のウィットに富んだ会話、魅力的なキャラクター造形、そして「アイデンティティとは何か」という哲学的な問いかけは、多くの熱狂的なファン(カルト・ファン)を生み出しました。
特に大きな影響を与えたのが、シーズン1の最終話として制作されたものの、テレビ未放送となったエピソード「Epitaph One(エピタフ・ワン)」です。
このエピソードは、ドールハウスの技術が暴走し、文明が崩壊した未来(2019年)を描いており、シーズン2全体の方向性を決定づける重要な役割を果たしました。
この未来編の存在により、単なるSFアクションから、テクノロジーの悪用がもたらす終末的な未来を描く壮大な物語へと昇華されました。
シーズン2は、この「エピタフ・ワン」で示された未来に向かって突き進む形でストーリーが展開し、打ち切りが決定した後も、見事な形で物語を完結させました。
放送終了後も、その野心的なテーマと予測不可能なストーリーテリングは再評価され続け、現代のAIやアイデンティティに関する議論を先取りしていた作品として、SFドラマファンの間で語り継がれています。
「ドールハウス (Dollhouse)」関連商品
本作の全エピソードを視聴するためには、DVDやBlu-rayのコンプリートBOXが最適です。
特にテレビ未放送となったエピソード「Epitaph One」は必見です。
- ドールハウス シーズン1 DVDコレクターズBOX
シーズン1全13話(未放送エピソード「Epitaph One」を含む)を収録。
メイキング映像や未公開シーン集、キャストやスタッフによる音声解説などの特典映像も豊富に収録されています。
- ドールハウス シーズン2 DVDコレクターズBOX
シーズン2全13話を収録。
シーズン1の未放送エピソードの続編となる「Epitaph Two: Return(エピタフ・ツー:リターン)」で物語は完結します。
こちらも豊富な特典映像が魅力です。
- ドールハウス コンプリート ブルーレイBOX
シーズン1とシーズン2の全26話を高画質で収録したBlu-rayのコンプリートボックスもリリースされています。
「ドールハウス」のすべてを網羅したいファンにおすすめです。

