ドラマ「フリンジ」のうんちく徹底解説!J.J.エイブラムスが仕掛けた「向こう側」の世界と、監視人の恐るべき伏線
「フリンジ」の概要
「フリンジ」(原題: FRINGE)は、2008年から2013年にかけてアメリカのFOXで放送された、SFミステリードラマの金字塔です。
製作総指揮は、『LOST』や映画『スター・ウォーズ』シリーズで知られるJ・J・エイブラムスが務めました。
物語の概要は、FBI捜査官オリビア・ダナムが、刑務所から釈放された天才的だが常軌を逸した科学者ウォルター・ビショップ博士と、その息子のピーター・ビショップと共に、「パターン(The Pattern)」と呼ばれる一連の不可解な怪奇事件(フリンジ・サイエンス=非主流科学)を捜査するところから始まります。
当初は一話完結型の怪奇事件簿のように見えますが、物語はやがて「二つの世界の戦争」という、壮大なスケールの神話(ミソロジー)へと発展していきます。
「フリンジ」の詳細
「ポストX-ファイル」として生まれた、J.J.エイブラムスの壮大な「神話」
「フリンジ」は、放送開始当初から「ポストX-ファイル」(1990年代に大ヒットした超常現象ドラマ)として大きな期待を寄せられていました。
このドラマの最大の「うんちく」は、製作総指揮のJ・J・エイブラムスが、単なるオカルトやSFではなく、緻密な「神話(ミソロジー)」を構築した点にあります。
シーズン1では、一見バラバラに見えた「パターン」と呼ばれる怪奇事件が、すべて繋がっていることが徐々に明かされていきます。
そして、そのすべての事件の裏には、ウォルター・ビショップ博士が過去に犯した、ある禁忌(タブー)が関わっていました。
『LOST』で視聴者を熱狂させたJ・J・エイブラムス流の「謎が謎を呼ぶ」展開は本作でも健在で、視聴者は毎週のように提示される新たな謎に夢中になりました。
「向こう側」の世界の徹底した作り込み(うんちく)
「フリンジ」の物語を決定的にしたのが、シーズン1の終盤で明かされる「パラレルワールド(並行世界)」、通称「向こう側(The Other Side)」の存在です。
そこは、私たちが住む世界(こちら側)と非常によく似ていますが、歴史の分岐点が異なるもう一つの世界でした。
この「向こう側」の作り込みは非常に精巧でした。
例えば、「向こう側」では9.11同時多発テロが発生しなかったため、ニューヨークには世界貿易センター(WTC)のツインタワーが今も建っています。
また、「こちら側」の人物に対応する「向こう側」の人物(ドッペルゲンガー)も存在し、主人公オリビアの「向こう側」の姿(通称:ボリビア、Fauxlivia)や、ウォルター博士の「向こう側」の姿(通称:ウォルターネイト)が登場し、物語は二つの世界を股にかける壮大なものへと変貌しました。
すべてを見通す「監視人(オブザーバー)」と謎の暗号
「フリンジ」のファンにとって最も有名な「うんちく」が、「監視人(The Observer)」の存在です。
彼らは、スキンヘッドに黒いスーツ、フェドラ帽という異様な姿で、常にタバスコをかけた激辛料理を食べています。
実は彼ら、シーズン1の第1話から、事件現場や群衆の中など、ほぼ全てのエピソードのどこかのシーンに一瞬だけ映り込むという形でカメオ出演していました。
当初は単なる遊び心かと思われていましたが、物語が進むにつれ、彼らが時空を超えて歴史を「監視」する未来人であり、ウォルターの過去の行動に深く関わっていたことが判明します。
この「監視人」は、後のシーズンで物語の最大の脅威として登場することになり、シーズン1からの壮大な伏線として機能していました。
また、各エピソードのアイキャッチ(CM前後)に一瞬表示されるリンゴの芯、カエル、人間の手といった謎の記号群は「グリフ・コード」と呼ばれ、次の展開を暗示する暗号になっていたことも、ファンを考察に夢中にさせた「うんちく」の一つです。
「フリンジ」の参考動画
「フリンジ」のまとめ
「フリンジ」は、単なるSFミステリードラマの枠を超え、「科学の暴走」と「贖罪」、そして「家族愛」(特にウォルターとピーターという父子の愛)という重厚なテーマを描き切った作品です。
シーズンを追うごとに壮大さを増すストーリー、緻密に張り巡かされた伏線(特に「監視人」)、そしてウォルター・ビショップ博士というテレビ史に残る強烈なキャラクター。
これらが融合した「フリンジ」は、J・J・エイブラムスが作り上げた最高傑作の一つとして、今なお多くの海外ドラマファンに語り継がれる「うんちく」の宝庫なのです。
関連トピック
ウォルター・ビショップ博士: 本作の真の主人公とも言える天才科学者。演じたジョン・ノーブルの怪演は絶賛されました。甘いものが大好きで、特にレッド・ヴァインズ(赤いリコリス菓子)が有名。
J・J・エイブラムス: 製作総指揮。『LOST』『エイリアス』など、謎解きドラマの第一人者。
パラレルワールド (向こう側): 本作の核となる設定。歴史が異なるもう一つの地球。
監視人 (The Observers): スキンヘッドの謎の集団。シーズン1から全話にカメオ出演していたという壮大な伏線で知られます。
グリフ・コード: 各エピソードに隠された暗号。
関連資料
『FRINGE/フリンジ』 (DVD / Blu-ray コンプリート・シリーズ): シーズン1からファイナル・シーズン(シーズン5)まで全100話を収録。
『Fringe: September’s Notebook』 (書籍・洋書): ドラマの謎を解き明かす鍵となる「監視人」セプテンバーの視点で書かれた公式ガイドブック。
『X-ファイル』 (テレビドラマ): 「フリンジ」が「ポストX-ファイル」と呼ばれた、超常現象ドラマの金字塔。比較してみるのも一興です。