YouTubeで「それ行けスマート」
「それ行けスマート」の概要
「それ行けスマート」(原題:Get Smart)は、1965年から1970年にかけてアメリカで放送された、30分のテレビドラマシリーズです。
映画監督のメル・ブルックスと脚本家のバック・ヘンリーが原案を手掛けた、スパイ・パロディ・コメディの金字塔として知られています。
当時の「007」シリーズや「0011ナポレオン・ソロ」といったスパイブームの真っ只中で、それらの作品のシリアスな要素を徹底的に風刺し、お茶の間に笑いを届けました。
「それ行けスマート」のオープニング動画
「それ行けスマート」の詳細
物語の舞台は、アメリカの秘密諜報機関「コントロール(CONTROL)」です。
主人公は、コントロールきっての(自称)敏腕エージェントである、エージェント86ことマクスウェル・スマート。
彼はいつも真剣そのものですが、致命的なまでにドジで間抜けなトラブルメーカーです。
そんなスマートの優秀な相棒が、美しく知的なエージェント99号です。
多くの事件は、実際には99号の機転と能力によって解決されますが、手柄はいつもスマートのものになってしまいます。
彼らは、世界征服を企む国際秘密結社「ケイオス(KAOS)」の陰謀を阻止するため、日々奮闘します。
このドラマを象徴するのが、奇妙奇天烈なスパイグッズの数々です。
特に有名なのが、スマートが愛用する「靴電話(シュー・フォン)」で、かかとがダイヤル(後にプッシュホン式)になった革靴型の通信機は、本作の代名詞となりました。
ほかにも、秘密会談のために用意されるものの、全く声が聞き取れなくなる「コーン・オブ・サイレンス(沈黙の円錐)」など、パロディ精神にあふれた小道具が満載でした。
日本でも1966年からNETテレビ(現:テレビ朝日)系で放送が開始され、その後、東京12チャンネル(現:テレビ東京)系でも放送されるなど、海外ドラマとして人気を博しました。
「それ行けスマート」の主なキャスト(登場人物・声優/俳優)
本作の日本語吹き替え版は、NETテレビ版と東京12チャンネル版の2つのバージョンが存在し、それぞれで声優が異なります。
- マクスウェル・スマート(エージェント86):ドン・アダムス(演)
- 日本語吹き替え(NET版):藤村有弘
- 日本語吹き替え(東京12チャンネル版):小松政夫
- エージェント99:バーバラ・フェルドン(演)
- 日本語吹き替え(NET版):久里千春
- 日本語吹き替え(東京12チャンネル版):小原乃梨子
- チーフ(部長):エドワード・プラット(演)
- 日本語吹き替え(NET版):塩見竜介
キャストの主な出演作品
ドン・アダムス(マクスウェル・スマート役)の代表作品
- 『GO!GO!ガジェット』(ガジェット警部の声)
- 『それ行け二人はパートナー』(テレビドラマ)
- 『0086笑いの番号』(映画)
バーバラ・フェルドン(エージェント99役)の代表作品
- 『ニューヨーク泥棒結社』(映画)
- 『輝け!ミス・ヤング・アメリカ』(映画)
- 『恐怖の週末』(テレビ映画)
エドワード・プラット(チーフ役)の代表作品
- 『北北西に進路を取れ』(映画)
- 『大西洋の翼』(映画)
- 『サンフランシスコ大空港』(テレビドラマ)
藤村有弘(スマート役・NET版)の代表作品
- 『ひょっこりひょうたん島』(ドン・ガバチョの声)
- 『君も出世ができる』(映画・俳優)
- 『ルパン三世 念力珍作戦』(映画・俳優)
小松政夫(スマート役・東京12ch版)の代表作品
- 『アルフ』(ウィリー・タナー役の声優)
- 『前略おふくろ様』(テレビドラマ・俳優)
- 『必殺仕置屋稼業』(テレビドラマ・俳優)
久里千春(99号役・NET版)の代表作品
- 『あばれはっちゃく』シリーズ(桜間和子役・女優)
- 『少年ジャックと魔法使い』(アニメ映画・声優)
- 『ひょっこりひょうたん島』(声優)
小原乃梨子(99号役・東京12ch版)の代表作品
- 『ドラえもん (1979年版)』(野比のび太役の声優)
- 『ヤッターマン』(ドロンジョ役の声優)
- 『未来少年コナン』(コナン役の声優)
塩見竜介(チーフ役・NET版)の代表作品
- 『シャイアン』(テレビドラマ・吹き替え)
- 『スタートレック 宇宙大作戦』(吹き替え)
- 『荒野の用心棒』(映画・吹き替え)
「それ行けスマート」の評価と影響
「それ行けスマート」は、1960年代の冷戦下におけるスパイブームを背景に、そのジャンルを徹底的にパロディ化したことで絶大な人気と高い評価を獲得しました。
メル・ブルックスとバック・ヘンリーが生み出した脚本は、シリアスなスパイ活劇の体裁を取りながら、主人公スマートの極端なドジさや間抜けな会話、そして非実用的なスパイグッズといった要素で、ジャンルの「お約束」をことごとく裏切るものでした。
ジェームズ・ボンドのような完璧なヒーロー像とは対極にあるマクスウェル・スマートというキャラクターは、有能な99号との対比によって、より一層その滑稽さが際立ちました。
「すいませんね、チーフ(Sorry about that, Chief.)」や「これだけ違った(Missed it by that much.)」といったスマートのキャッチフレーズは流行語となり、特に「靴電話」は、当時の最先端技術の象徴であったスパイ道具を笑いの対象に変え、ポップカルチャーのアイコンとなりました。
本作の成功は、その後のコメディ作品に多大な影響を与えました。
1980年には映画『0086笑いの番号』、1989年にはテレビ映画『それ行けスマート/世界一の無責任スパイ』、そして2008年にはスティーヴ・カレルとアン・ハサウェイ主演によるリメイク映画『ゲット スマート』が製作されるなど、時代を超えて愛され続ける不朽のコメディシリーズとなっています。
「それ行けスマート」の関連商品
「それ行けスマート」は、その人気から関連商品も多数存在します。
DVD / Blu-ray
- オリジナルのテレビドラマシリーズは、海外版(北米版や香港版など)でコンプリートDVD-BOXやシーズンごとのDVDがリリースされています。
(※日本国内での正規版コンプリートBOXの流通は限定的です) - 2008年のリメイク映画『ゲット スマート』は、日本国内でもDVDおよびBlu-rayが広く販売されています。
映画
- 『0086笑いの番号』(1980年) – ドン・アダムス主演の劇場版。
- 『ゲット スマート』(2008年) – スティーヴ・カレル主演のリメイク版。