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【徹底解説】映画『アルゴ探検隊の大冒険(1963年)』が特撮映画の金字塔と呼ばれる理由!あらすじ・骸骨剣士の秘密からキャストまで総まとめ

アクション・冒険
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【徹底解説】映画『アルゴ探検隊の大冒険(1963年)』が特撮映画の金字塔と呼ばれる理由!あらすじ・骸骨剣士の秘密からキャストまで総まとめ

概要

1963年に公開された映画『アルゴ探検隊の大冒険(1963年)』(原題: Jason and the Argonauts)は、ギリシャ神話をベースにしたファンタジー・アドベンチャーの最高傑作として、今なお世界中で語り継がれる伝説的な作品です。
本作を語る上で絶対に外せないのが、監督のドン・チャフィ以上に作品の魂を形作った、特撮(ストップモーション・アニメーション)の巨匠レイ・ハリーハウゼンの存在です。
彼が独自の工夫で発展させた「ダイナメーション(実写映像とコマ撮りアニメーションを違和感なく合成する技術)」は、本作において文字通り頂点を極めました。
物語は、若き勇者ジェイソン(イアソン)が亡き父の王位を奪還するため、ギリシャ中の英雄たちを集めて巨大船「アルゴ号」に乗り込み、魔法の力が宿る「黄金の羊の毛皮(金羊毛)」を求めて未知の海へと旅立つという、王道の冒険活劇となっています。
主人公たちの行く手には、青銅の巨人タロス、空飛ぶ怪鳥ハーピー、七つの頭を持つヒドラ、そして映画史に燦然と輝く「骸骨剣士(スケルトン)」たちなど、魅力と脅威に満ちたクリーチャーが次々と立ちはだかります。
音楽は『サイコ』や『タクシードライバー』などで知られるハリウッドの名作曲家バーナード・ハーマンが担当し、弦楽器をあえて排し、金管楽器と打楽器を中心とした力強いスコアで、神話の壮大なスケール感を見事に演出しました。
CGが全く存在しなかった時代に、人間の果てしない想像力と手作業による執念で作られた本作は、スティーヴン・スピルバーグやジョージ・ルーカス、ピーター・ジャクソンなど、現代のエンターテインメント界を牽引する数多の巨匠たちに多大な影響を与えました。
本記事では、この不朽の名作がなぜ半世紀以上経った今でも色褪せないのか、その魅力と見どころを徹底的に解説します。

予告編

詳細(徹底解説)

あらすじと世界観:神々の遊戯と人間の勇気

物語の舞台は、神々と人間がまだ密接に関わり合っていた古代ギリシャの世界です。
テッサリアの王位を簒奪さんだつしたペリアスは、予言によって「片足がサンダルの男に王位を奪われる」と告げられ、恐怖を抱いていました。
その予言の男こそ、成長した正当な王位継承者であるジェイソンでした。
ジェイソンはペリアスの正体を知らぬまま、国を平和に導く宝「黄金の羊の毛皮」を探す冒険に出ることを宣言し、ペリアスは彼が旅の途中で命を落とすことを企んでこれを援助します。
ジェイソンはギリシャ全土から、ヘラクレスをはじめとする類まれな能力を持つ英雄たちを召集し、「アルゴ号」と名付けられた船で出航します。
本作の世界観の面白さは、天上界(オリンポス)の神々、特にゼウスとヘラが、まるでチェス盤の駒を動かすように人間たちの運命を弄り、時には助け、時には試練を与えている点にあります。
神々の絶対的な力に翻弄されながらも、自らの知恵と勇気、そして仲間との絆で運命を切り拓いていくジェイソンたちの姿は、古代神話の力強さを現代に伝えてくれます。

ストーリー展開と立ちはだかる驚異のクリーチャーたち

アルゴ号の航海は、まさにレイ・ハリーハウゼンのイマジネーションの博覧会です。
まず一行が遭遇するのが、神々の宝物庫を番する青銅の巨人「タロス」です。
ヘラクレスが禁を破って宝に触れたことで目覚めるタロスのシークエンスは、金属のきしむような重低音と、無機質で巨大な彫像がゆっくりと動き出す圧倒的な絶望感で、観客の度肝を抜きます。
次に訪れる盲目の予言者フィニアスの島では、彼を苦しめる邪悪な怪鳥「ハーピー」との戦いが描かれます。
コウモリの翼と老婆の顔を持つハーピーの不気味な造形と、空中を飛び回る複雑なアニメーションは、当時の技術の限界を超えた素晴らしい仕上がりです。
そして、海の難所「衝突する岩(シンプレガデス)」を海の神トリトンの助けを借りて乗り越えた一行は、ついに目的地のコルキスへと辿り着きます。
そこで待っているのは、金羊毛を守る巨大な多頭蛇「ヒドラ」との死闘です。
七つの首がそれぞれ独立してうごめくヒドラの滑らかな動きは、ストップモーション・アニメーションの極致と言える不気味さと美しさを放っています。

特筆すべき見どころ:映画史に残る「骸骨剣士」との死闘

本作を特撮映画の金字塔たらしめている最大の見どころが、クライマックスで描かれる「7人の骸骨剣士(スケルトン)」との大立ち回りです。
ヒドラの歯を地面に蒔くことで大地から骸骨が生まれ出るという不気味な誕生シーンから、ジェイソンたち3人の人間と7体の骸骨が入り乱れて戦う剣戟けんげきアクションは、映画史に残る伝説のシークエンスとなっています。
このシーンの凄まじさは、実写の俳優の動きと、コマ撮りされた骸骨の動きが、完璧なタイミングでシンクロしている点にあります。
剣と盾がぶつかり合うタイミング、骸骨が俳優の動きに合わせてステップを踏む様は、まさに神業です。
驚くべきことに、わずか4分半ほどのこの戦闘シーンのアニメーションを撮影するために、ハリーハウゼンは1日13コマ(約0.5秒分)しか撮影できず、完成までに実に4ヶ月半もの歳月を費やしました。
CGのように後から計算で合わせるのではなく、すべてハリーハウゼンの頭の中の計算と手作業によって生み出されたこのシーンは、作り手の魂が宿った芸術品として、今なお多くの映画人の尊敬を集めています。

制作秘話・トリビア:神話のアレンジと裏話

ギリシャ神話の「アルゴナウタイ(アルゴ船の英雄たち)」の物語は、本来非常に長く、陰惨なエピソードも多数含まれています。
例えば、神話における王女メディアは、ジェイソンのために実の弟をバラバラにして海に捨てるなど、狂気と復讐に満ちた女性として描かれますが、本作のメディア(ナンシー・コヴァック)は、神秘的で心優しいヒロインとして美しくアレンジされています。
また、大英雄ヘラクレスが旅の序盤で親友ヒュラスを探すためにアルゴ号を離脱してしまう展開は神話通りですが、映画的な見せ場を作るため、タロスの島でのトラブルメーカーとしての役割が強調されています。
さらにトリビアとして、主役のジェイソンを演じたトッド・アームストロングの声は、実はイギリス人俳優ティム・ターナーによって全編吹き替えられています。
当時のハリウッド映画では、アメリカ人俳優の訛りが古代ギリシャの雰囲気に合わないと判断されたための処置でしたが、アームストロングの端正なルックスと相まって、違和感のないヒーロー像が完成しています。

キャストとキャラクター紹介

ジェイソン:トッド・アームストロング

  • テッサリアの正当な王位継承者であり、アルゴ探検隊のリーダー。
    神々に頼り切るのではなく、自らの力と仲間の協力を信じて前進する、非常に人間味あふれるリーダーです。
    彼の高潔な精神が、一癖も二癖もある英雄たちを一つにまとめ上げます。

メディア:ナンシー・コヴァック

  • コルキスの王女であり、ヘラ神に仕える神官。
    ジェイソンと恋に落ち、彼に金羊毛の在り処とヒドラの倒し方を教えます。
    オリエンタルな衣装とエキゾチックな美貌が、神秘的な神話の世界に華を添えています。

アカストス:ゲイリー・レイモンド

  • 現在のテッサリア王ペリアスの息子。
    ジェイソンの命を狙うため、身分を隠してアルゴ号に乗り込みますが、次第に一行の足を引っ張る裏切り者としての本性を現します。

ゼウス:ナイアル・マクギニス

  • オリンポスの最高神。
    人間たちをゲームの駒のように扱いながらも、ジェイソンの勇気を試すように見守る、威厳とユーモアを併せ持った神です。

ヘラ:オナー・ブラックマン

  • ゼウスの妻であり、結婚と母性を司る女神。
    ジェイソンの守護神として彼に恩義を感じており、ゼウスの目を盗んでは彼に助言を与えます(ただし助けられる回数は5回までという制限付き)。
    高貴で美しい女神を見事に演じています。

ヘラクレス:ナイジェル・グリーン

  • ギリシャ神話最強の英雄。
    本作では怪力無双の豪傑というだけでなく、やや強欲で人間臭い一面を持つ中年男性として描かれており、親しみやすいキャラクターになっています。

キャストの代表作品と経歴

女神ヘラを演じたオナー・ブラックマンは、本作の翌年、映画『007/ゴールドフィンガー』(1964年)で伝説のボンドガール「プッシー・ガロア」を演じ、世界的な大スターとなりました。
彼女の持つ知的で強い女性のイメージは、ヘラ役にも存分に生かされています。
ヘラクレス役のナイジェル・グリーンは、『ズール戦争』(1964年)や『国際諜報局』(1965年)など、イギリス映画界で数多くの渋い脇役を務めた名優です。
本作での「人間臭いヘラクレス」像は、従来の筋肉隆々なだけのヘラクレス像とは一線を画す名演と評価されています。

まとめ(社会的評価と影響)

映画『アルゴ探検隊の大冒険(1963年)』は、レイ・ハリーハウゼンの長いキャリアの中でも「最高傑作」と称賛される作品です。
公開当時は、ストップモーション・アニメーションを「子供向けのもの」と軽視する風潮もあり、アカデミー賞などで正当な評価を受けることはありませんでした。
しかし、1992年にハリーハウゼンがアカデミー名誉賞を受賞した際、プレゼンターを務めたトム・ハンクスが「この映画は、私の映画人生に最も大きな影響を与えた」と語ったように、本作の映像マジックに魅了されて映画界を志したクリエイターは数知れません。
CG全盛の現代において観ても、クリーチャーたちの重量感、質感、そして何より「命を吹き込まれた」ような魂の震えは、決して色褪せることがありません。
特撮映画の歴史を学ぶ上で、そして純粋な冒険ファンタジーの最高峰を味わう上で、永遠に語り継がれるべきマスターピースです。

作品関連商品

  • Blu-ray / DVD:『アルゴ探検隊の大冒険 [Blu-ray]』。
    デジタルリマスターされた高画質版では、ハリーハウゼンが細部までこだわったクリーチャーの造形や、特撮の合成の巧みさを鮮明に確認することができます。
  • 関連書籍:『レイ・ハリーハウゼン大全』。
    本作のスケルトンやタロスのデザイン画、コマ撮りの撮影風景など、貴重な資料が多数収録されており、ファン必携の一冊です。
  • オリジナル・サウンドトラック:バーナード・ハーマンによる壮大なオーケストラスコア。
    映像なしで聴いても、その迫力と劇的な展開に心が躍る名盤です。
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