YouTubeで見る「マイアミ・バイス」!80年代を定義した伝説の刑事ドラマを徹底解説
「マイアミ・バイス」の概要(MTV Cops)
『マイアミ・バイス』(原題: Miami Vice)は、1980年代にアメリカで制作・放送され、世界的に大ヒットした刑事ドラマシリーズです。
フロリダ州マイアミを舞台に、マイアミ・デイド警察の潜入捜査官であるジェームズ・”ソニー”・クロケットと、ニューヨーク市警から派遣されたリカルド・”リコ”・タブスのコンビが、麻薬密売、殺人、武器密輸といった凶悪犯罪に立ち向かう姿を描いています。
本作は、従来の刑事ドラマの常識を打ち破る、MTV(ミュージック・テレビジョン)の影響を強く受けたスタイリッシュな映像表現、最新のポップミュージックの積極的な使用、そしてアルマーニなどに代表されるデザイナーズブランドのファッションを前面に押し出したことで、当時の若者文化に絶大な影響を与えました。
単なるアクションドラマではなく、80年代の空気感そのものをフィルムに焼き付けたような、画期的な作品として記憶されています。
「マイアミ・バイス」革新的なオープニングテーマ
(※ヤン・ハマー作曲による、グラミー賞も受賞した革新的なシンセサイザー・テーマ曲)
作品詳細(放送時期・特徴的なスタイル)
本作は、映画監督としても知られるマイケル・マンが製作総指揮を務め、アメリカのNBCネットワークで1984年9月16日から1990年1月25日まで(最終話の初回放送は1989年5月)、全5シーズン、合計111話が放送されました。
企画当初のコンセプトは「MTV Cops」であり、その言葉通り、ミュージックビデオのような映像感覚が全編に貫かれています。
暗い路地裏や埃っぽいオフィスといった従来の刑事ドラマのイメージとは対照的に、マイアミの美しい風景(青い海、アール・デコ建築、ネオンサイン)を背景に、パステルカラーを基調とした色彩設計がなされました。
登場人物たちのファッションも、リネンジャケットにTシャツ、素足にローファーといった、当時の最先端のイタリアン・ファッションが取り入れられ、大きな話題となりました。
音楽面でも画期的で、ヤン・ハマーによるシンセサイザー主体の劇伴音楽に加え、フィル・コリンズ、グレン・フライ、ティナ・ターナー、ブライアン・アダムスなど、当代の人気アーティストのヒット曲が惜しみなく使用され、サウンドトラック盤も大ヒットしました。
また、ブルース・ウィリス、リーアム・ニーソン、ジュリア・ロバーツ、マイルス・デイヴィスなど、後に大物となる俳優やミュージシャンがゲスト出演したことでも知られています。
「マイアミ・バイス」の主要キャスト
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ジェームズ・”ソニー”・クロケット (Det. James “Sonny” Crockett): ドン・ジョンソン (Don Johnson)
マイアミ・デイド警察の潜入捜査官。ヨットハウスに住み、ワニ(エルヴィス)を飼っている。フェラーリ・デイトナ・スパイダー(後にテスタロッサ)を愛車とする。
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リカルド・”リコ”・タブス (Det. Ricardo “Rico” Tubbs): フィリップ・マイケル・トーマス (Philip Michael Thomas)
ニューヨーク市警の刑事だったが、兄を殺した麻薬密売人を追ってマイアミに来訪し、クロケットの相棒となる。
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マーティン・カスティージョ警部補 (Lt. Martin Castillo): エドワード・ジェームズ・オルモス (Edward James Olmos)
クロケットとタブスの上司。寡黙で厳格だが、部下を守るために体を張る。元DEA(麻薬取締局)のエージェント。
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ジーナ・ナバール・カラブリーゼ (Det. Gina Navarro Calabrese): ソンドラ・サンティアゴ (Saundra Santiago)
チームの女性刑事。クロケットと恋愛関係にあった時期もある。
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トルーディ・ジョプリン (Det. Trudy Joplin): オリヴィア・ブラウン (Olivia Brown)
チームのもう一人の女性刑事。ジーナの相棒。
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スタンリー・”スタン”・スワイテク (Det. Stanley “Stan” Switek): マイケル・タルボット (Michael Talbott)
チームのメンバー。盗聴や監視活動を担当。
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ローレンス・”ラリー”・ジート (Det. Lawrence “Larry” Zito): ジョン・ディール (John Diehl) [シーズン1-3]
スタンスワイテクの相棒。
キャストの他の代表作品名
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ドン・ジョンソン:
- 『刑事ナッシュ・ブリッジス (Nash Bridges)』(テレビドラマ、主演)
- 『ジャンゴ 繋がれざる者 (Django Unchained)』(映画)
- 『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密 (Knives Out)』(映画)
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フィリップ・マイケル・トーマス:
- 『炎の男 (Book of Numbers)』(映画)
- ゲーム『グランド・セフト・オート・バイスシティ (Grand Theft Auto: Vice City)』(声の出演)
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エドワード・ジェームズ・オルモス:
- 『ブレードランナー (Blade Runner)』(映画、ガフ役)
- 『宇宙空母ギャラクティカ (Battlestar Galactica)』(2004年版テレビドラマ、ウィリアム・アダマ司令官役)
- 『スタンド・アンド・デリバー (Stand and Deliver)』(映画、アカデミー主演男優賞ノミネート)
「マイアミ・バイス」の社会的評価と影響(まとめ)
『マイアミ・バイス』は、1980年代のポップカルチャーを定義づけた作品の一つとして、テレビドラマの歴史に大きな影響を与えました。
その斬新な映像スタイルと音楽の融合は、「MTV世代」と呼ばれる当時の若者たちの感性に強く訴えかけ、熱狂的な支持を集めました。
ファッション界にも大きな影響を与え、「バイス・ルック」と呼ばれるスタイルが流行しました。
刑事ドラマとしても、潜入捜査の危険性や、正義と悪の境界線の曖昧さ、そして時には報われない結末など、従来の勧善懲悪ものとは一線を画すシリアスでビターな側面も持ち合わせていました。
エミー賞を複数回受賞するなど批評的にも高く評価され、特にエドワード・ジェームズ・オルモスはカスティージョ警部補役でエミー賞助演男優賞を受賞しました。
その影響力は現代にも及び、多くの映画やドラマでオマージュが捧げられています。2006年にはマイケル・マン自身の監督により、コリン・ファレルとジェイミー・フォックス主演で劇場用映画としてリメイクされました。
「マイアミ・バイス」関連商品
80年代の熱気を再び。
DVD / Blu-ray
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『マイアミ・バイス』の全シーズンを収録したコンプリートDVD-BOXやBlu-ray BOXが、NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパンから発売されています。
サウンドトラックCD
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ヤン・ハマーのテーマ曲や、劇中で使用されたグレン・フライの「ユー・ビロング・トゥ・ザ・シティ」、フィル・コリンズの「夜の囁き」などを収録したサウンドトラック・アルバム(Vol.1~Vol.3など)が大ヒットし、現在でも入手可能です。
映画版
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2006年のマイケル・マン監督による映画版『マイアミ・バイス』のDVD/Blu-ray。
書籍
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番組ガイドブックや、制作に関する書籍(主に洋書)が出版されています。