『スパイ大作戦』最大の危機!もしもフェルプス君が指令を忘れたら?作戦は崩壊、IMFは解散の「what if」考察
IMF史上、最も「あり得ない」危機
「おはよう、フェルプス君」。
往年の名作ドラマ『スパイ大作戦』は、この象徴的なセリフから始まります。
リーダーのジム・フェルプスが、指定された場所で秘密のテープレコーダーから流れる指令を聞く。
そして、そのテープは「なお、このテープは自動的に消滅する」の言葉と共に煙を上げて消滅します。
この一連の流れは、IMF(Impossible Missions Force)の作戦遂行における絶対的な起点です。
しかし、もしも、あの超人的に冷静沈着なリーダー、ジム・フェルプスが、テープが消滅した直後に「あれ、今なんて言ってたっけ?」と指令の内容を忘れてしまったら。
それは、IMF史上、最も「あり得ない」にして最大の危機的状況の始まりを意味します。
このユーモラスな「what if」シナリオを考察します。
詳細:指令忘却が招く最悪のシナリオ
悪夢の始まり:「えーっと、誰だっけ?」
いつものように、とあるアパートの一室(あるいは公衆電話、写真館など)で指令を受け取るフェルプス。
「おはよう、フェルプス君。今回の君の使命は、東側某国の独裁者X将軍が極秘に開発した化学兵器Yの設計図を奪取し、同時に将軍の失脚を謀ることにある」。
いつものように難解な指令が早口で語られます。
「…当局は一切関知しない。なお、このテープは自動的に消滅する」。
プシューッ。いつものようにテープから煙が立ち上ります。
フェルプスはいつものように冷静な表情でそれを見届けます。
そして、いつものようにアパートに戻り、作戦会議のためにメンバーのファイルを「選ぼうとした」瞬間、ふと手が止まります。
「さて、今回のターゲットは…東側の…誰だったか?」。
「化学兵器…だった気もするし、南米の金塊だった気もする…」。
テープはすでに消滅。確認する手段は一切ありません。
フェルプスの額に、いつもの変装用マスクの下ではない、本物の冷や汗が流れます。
困惑するIMFチーム
なにも知らないIMFの精鋭たちが、アジトに集結します。
変装の名人ローラン・ハンド、電子機器の天才バーニー・コリアー、怪力自慢のウィリー・アーミテージ、そして紅一点のシナモン・カーター。
フェルプスは、曖昧な記憶の断片をかき集め、なんとか作戦概要を説明しようと試みます。
「諸君、今回の任務は…非常に、危険だ」。
バーニー:「(いつものことだ)それで、リーダー。侵入経路と電子ロックの仕様は?」。
フェルプス:「(冷や汗)ああ、それなんだが…今回の敵は、その…かなり厳重だ。だから、バーニー、君は…万能の機材を用意してくれ」。
ローラン:「私の役は?独裁者か、その側近の愛人あたりかしら?」。
フェルプス:「そう!たぶんそんな感じだ!相手は…おそらく、女好きだ。頼んだよ」。
ウィリー:「(力こぶを作りながら)俺はどこで壁を壊せばいいんだ?」。
フェルプス:「ウィリー、君は…その…壁というより、何か重いものを運ぶかもしれない。準備しておいてくれ」。
メンバーたちは「(今日のリーダーは、何か我々を試しているのか…?やけに指示が抽象的だ…)」と困惑しながらも、プロフェッショナルとして準備を始めるしかありません。
憶測で進む「不可能」な作戦
指令の内容が「東側の誰か」というレベルの記憶しかないため、作戦計画は完全に「憶測」で進みます。
「確か…『青い鷲』とか言っていた気がする」。
その一言で、バーニーは「青い鷲」という名の暗号通信を傍受する機械を徹夜で作り、ローランは「青い鷲」という名のナイトクラブの踊り子に変装する準備をします。
しかし、正解は「青い鷲作戦」という名の設計図のコードネームでした。
現場では、当然ながら何もかもが噛み合いません。
バーニー:「リーダー、こんな場所に暗号通信室はありません。ただの鳥小屋です」。
ローラン:「私、ナイトクラブのオーディションに受かってしまいましたわ」。
ウィリー:「この金庫、重いだけで中身は空っぽだぞ!」。
フェルプス:「(もうダメだ)諸君、作戦Bに変更だ!」。
(※作戦Bなど最初から存在しない)
暴発する「自動消滅」のデメリット
この「what if」シナリオが浮き彫りにするのは、「指令テープの自動消滅」というシステムが、いかにフェルプス個人の記憶力という一点に依存した、恐ろしくリスキーな仕組みであるか、という事実です。
当局は「関知しない」どころか、作戦の前提すら共有されていない状態になります。
フェルプスが「忘れる」ということは、IMFという組織の機能停止、ミッションの完全な失敗、そして最悪の場合は、曖昧な情報で動いたメンバーが敵地で捕らえられ、組織が壊滅することを意味します。
参考動画(指令の声)
まとめ:リーダーの記憶力こそがIMFの生命線
もちろん、これはコメディとしての「what if」であり、実際のジム・フェルプスは超一流のリーダーであり、一度聞いた指令を寸分違わず記憶し、分析し、完璧な作戦を立案できる天才です。
しかし、このユーモラスな考察は、逆説的にフェルプスというリーダーがいかに「作戦の全てを記憶し、分析・立案する」という重責をたった一人で背負っていたかを強調しています。
指令テープが自動消滅するのは、作戦の機密性を守るためですが、それは同時に「バックアップ」や「再確認」を一切許さないという諸刃の剣でした。
我々も日常生活において、重要なパスワードや約束事を「頭の中だけ」に記憶しておくことの危険性を、この仮説から学ぶことができるかもしれません。
フェルプス君、くれぐれもメモだけは取っておいて(そしてすぐに消滅させて)ほしいものです。
関連トピック
ジム・フェルプス (Jim Phelps): テレビ版『スパイ大作戦』の2代目リーダー(演:ピーター・グレイブス)。冷静沈着な判断力と卓越した記憶力を持つが、もし忘れたらIMFは即解散の危機に瀕する。
指令テープと自動消滅: 『スパイ大作戦』の象徴的なガジェット。機密保持には最適だが、バックアップが存在しないため、聞き逃しや「うっかり忘れ」が絶対に許されないシステム。
IMF (Impossible Missions Force): 「不可能作戦部隊」。リーダーが指令を忘れるという、組織運営上最も「不可能」な事態が発生すると、その名の通り作戦遂行が不可能になる。
映画『ミッション:インポッシブル』: トム・クルーズ主演の映画版。テレビ版とは異なり、初代リーダーのジム・フェルプス(演:ジョン・ヴォイト)がまさかの裏切り者として登場し、往年のファンに衝撃を与えた。
関連資料
『スパイ大作戦』コンプリート DVD-BOX: 本来のジム・フェルプスがいかに優秀で、記憶力抜群のリーダーであるかを再確認するために必須の資料。彼の完璧な作戦立案と、曖昧な指示を出す彼とのギャップを楽しめます。
(ガジェット)オープンリール式テープレコーダー: 指令が録音されていた、今となっては非常に懐かしいレトロガジェット。この実物を見ると、確かにバックアップは難しそうだと納得できます。

