【心理戦の名作】『スパイ大作戦』第2シーズン第22話「スリラー作戦」を解説!迷信深い殺し屋をどう欺くか?
「スリラー作戦」の概要
『スパイ大作戦(Mission: Impossible)』第2シーズン第22話(日本放送順などにより話数が前後する場合があります)「スリラー作戦」は、完璧な証拠隠滅を行うプロの殺し屋組織を壊滅させるエピソードです。
ターゲットであるバート・ゴードンは、決して尻尾を出さない慎重な人物ですが、彼には「極度の迷信深さ」という致命的な弱点がありました。
IMFチームはこの一点を突き、最新の科学トリックと心理誘導を組み合わせて、彼を自滅へと追い込みます。
リーダーのジム・フェルプスと紅一点のシナモン・カーターが「殺しを依頼する夫婦」を演じる潜入劇が見どころで、冷酷な犯罪者が自らの恐怖心によって崩れ落ちていく様は、まさにカタルシス満点です。
エピソードの詳細:完全犯罪 vs 迷信
エピソード基本情報
- 原題: The Killing
- 邦題: スリラー作戦
- 米国放送: 1968年2月25日(第2シーズン 第22話)
- ターゲット: バート・ゴードン(証拠を残さない完全犯罪を行う殺人請負組織のボス)
あらすじ:科学で「呪い」を作り出す
バート・ゴードンは、依頼を受けて人間を消し去る「殺人請負業」を営んでいます。彼の組織は、死体を特殊な方法で処理するため、警察は死体はおろか殺人の証拠さえ掴めずにいました。
IMFの使命は、ゴードンを罠にかけ、彼の犯行の決定的な証拠を入手し、組織を壊滅させることです。
今回の作戦の鍵となるのは、ゴードンが異常なほど「迷信深い」という点です。
彼は黒猫や鏡、数字の不吉さを本気で恐れており、フェルプスたちはその恐怖心を増幅させる「幽霊騒動」を演出します。
1. 夫婦役での潜入
ジム・フェルプスとシナモン・カーターは、不仲な夫婦に変装してゴードンに接触します。シナモンは「夫(フェルプス)を殺してほしい」とゴードンに依頼するフリをして、彼の懐に入り込みます。
2. ポルターガイスト現象の演出
バーニーとウィリーの技術班は、ゴードンの周囲で不可解な現象を起こします。
何もないところから音がしたり、物が勝手に動いたりといった「超常現象」を人工的に作り出し、ゴードンの精神を削っていきます。
3. ローランの変装と恐怖のクライマックス
変装の名人ローラン・ハンド(マーティン・ランドー)も、ゴードンのパラノイア(被害妄想)を極限まで高める役割を果たします。
迷信に囚われたゴードンは、正常な判断ができなくなり、自ら墓穴を掘るような行動に出ます。IMFが仕掛けた「恐怖の幻影」に怯え、ついに彼は自らの口で犯行を裏付ける発言をしてしまうのです。
見どころ:科学とオカルトの融合
このエピソードの面白さは、「科学的なスパイ道具を使って、非科学的なオカルト現象を捏造する」という逆説的な面白さにあります。
視聴者にはタネ明かしがされていますが、ターゲットのゴードンにとっては逃れられない悪夢であり、そのギャップが痛快です。
また、いつもは冷静なフェルプスが、妻に命を狙われる(という設定の)夫を演じる際の、少しコミカルで緊迫感のある演技も必見です。
参考動画
まとめ
「スリラー作戦」は、銃撃戦やカーチェイスだけがスパイの武器ではないことを教えてくれるエピソードです。
人間の最大の敵は「自らの恐怖心」であり、IMFはその恐怖をコントロールすることで、指一本触れずに強敵を倒すことができるのです。
この回は、第2シーズンの充実ぶりを象徴する一本であり、脚本の巧みさとキャストの演技力が完璧に噛み合っています。
もしあなたが「幽霊なんていない」と思っていても、IMFの手にかかれば、信じざるを得なくなるかもしれません。
関連トピック
ウィリアム・ウィンダム – ターゲットのバート・ゴードンを演じた性格俳優。知的な役から悪役まで幅広くこなし、『新スタートレック』など数多くの名作ドラマに出演している。
ジム・フェルプスとシナモン – 今回のような「夫婦役」や「恋人役」での潜入はシリーズの定番であり、二人の大人の色気と演技の相性の良さが堪能できる。
マクガフィン – ヒッチコック映画用語だが、本エピソードにおける「迷信」は、物語を動かすための重要な装置として機能している。
関連資料
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書籍『スパイ大作戦 コンプリート・ガイド』 – 各エピソードの脚本家や演出意図などが詳細に記されており、本作の裏設定を知るのに最適。


