【抱腹絶倒】馬がヒット曲を生み出した!?『ミスター・エド』屈指の神回「エドは作曲家」を徹底解説
『ミスター・エド』神回「エドは作曲家」の概要
「馬が喋る」だけでも十分奇跡的ですが、もしその馬に「音楽的才能」があったらどうなるでしょうか?
1961年から放送された名作コメディ『ミスター・エド』の中でも、シーズン2第24話「エドは作曲家(原題:Ed the Songwriter)」は、エドの多才ぶりとウィルバーの苦労が頂点に達する傑作エピソードです。
ある日、エドが口ずさんだメロディがまさかの大傑作で、それをウィルバーが音楽業界に持ち込んだことから、前代未聞の「ゴーストライターならぬホース(馬)ライター騒動」が勃発します。
自分の才能を世間に認めてほしいエドと、馬が作曲したなんて口が裂けても言えないウィルバー。
二人の利害対立が生むシュールな笑いと、音楽業界を巻き込んだ大騒動は、シットコムの黄金パターンとして今なお高く評価されています。
本記事では、このエピソードのあらすじ、見どころ、そして劇中で披露されるエドの歌声について詳しく解説します。
「エドは作曲家」の詳細あらすじ
物語の発端:納屋から聞こえるヒットソング
物語は、ウィルバーが納屋で仕事をしていると、エドがご機嫌で鼻歌(ハミング)を歌っているところから始まります。
最初はうるさがるウィルバーでしたが、よく聴いてみるとそのメロディは非常にキャッチーで独創的でした。
「これはいい曲かもしれない」と直感したウィルバーは、エドに頼んでメロディを繰り返してもらい、それを楽譜に書き留めます。
エドは「俺の才能にやっと気づいたか」とばかりに得意満面。曲のタイトルは、エドの感性を反映した『かわいい牝馬(Pretty Little Filly)』に決まりました。
ウィルバーの嘘と音楽業界の反応
ウィルバーはこの曲をデモテープに録音し、大手音楽出版社のプロデューサー、ポール・フェントン(演:ジャック・アルバートソン)の元へ持ち込みます。
フェントンは曲を聴いた瞬間、「これは大ヒット間違いなしだ!」と絶賛。すぐに契約したいと申し出ます。
しかし、ここで最大の問題が発生します。「作曲者は誰だ?」と聞かれたウィルバーは、まさか「私の飼っている馬です」とは言えず、とっさに「私です」と嘘をついてしまうのです。
この瞬間から、ウィルバーは「天才作曲家」としての偽りの名声と、真の作者であるエドからのプレッシャーの板挟みになります。
エドの怒りと権利主張
帰宅したウィルバーから「君の曲が売れたよ!」と報告を受けたエドは喜びますが、契約書の名義がウィルバーになっていることを知ると激怒します。
「俺の曲だぞ! 俺の名前を出せ! 印税をよこせ!」と詰め寄るエド。
ウィルバーは「馬が作曲家として登録できるわけないだろう! 精神病院に入れられてしまう!」と必死に説得しますが、プライドの高いエドは納得しません。
エドはハンガーストライキ(絶食)ならぬ「おしゃべりストライキ」を宣言し、ウィルバーを困らせます。
さらに、エドは自ら受話器を取って音楽出版社に電話をかけようとするなど、その行動はエスカレートしていきます。
クライマックス:レコーディングスタジオでの奇跡?
騒動の末、ついに曲のレコーディングが行われることになります。
歌うのは当時のティーンアイドル風の人気歌手。
スタジオにこっそりついてきたエドは、歌手のアレンジや歌い方が気に入らず、ブースの外からいなないて文句を言います。
プロデューサーたちは「なんだこの馬は?」と不審がりますが、ウィルバーは冷や汗をかきながらごまかします。
最終的に、この曲はヒットチャートを駆け上がり、ウィルバーの懐には大金が入りますが、エドへの「報酬」として大量のニンジンや新しい馬具を買わされる羽目になり、ウィルバーの苦労は報われたのか報われていないのか分からないまま幕を閉じます。
「才能ある馬を持つのも楽じゃない」というオチが秀逸なエピソードです。
「エドは作曲家」参考動画
「エドは作曲家」のまとめ
「エドは作曲家」は、エドの人間臭さ(馬臭さ?)が全開になったエピソードです。
承認欲求、金銭欲、そして芸術家としてのプライドを持つエドの姿は、もはや完全に人間そのもの。
それを演じる馬(バンブー・ハーベスター)の表情豊かな演技と、アラン・ヤングの困り顔のリアクション芸は、まさに名人芸の域に達しています。
また、プロデューサー役でゲスト出演したジャック・アルバートソン(後に『チャーリーとチョコレート工場』のおじいちゃん役で有名になる名優)の存在感も見逃せません。
「もしペットが自分より才能があったら?」というIFを極上のコメディに仕立て上げた本作は、笑いながらも少し考えさせられる名作です。
関連トピック
ジャック・アルバートソン:音楽プロデューサー役でゲスト出演。トニー賞、アカデミー賞、エミー賞の「演劇界の三冠」を達成した数少ない名優の一人。
ゴーストライター:本来は「幽霊作家」の意味だが、本作では文字通り「誰にも言えない真の作者」として描かれる。
著作権:現代の法律でも「動物が作った作品(猿が撮った写真など)」に著作権は認められないとされており、ウィルバーの判断は法的には正しかった?という議論も面白い。
関連資料
DVD『Mister Ed: Season 2』:本エピソードを収録。日本語吹き替え版があれば、エドの「歌声」も堪能できる。
サントラ盤:当時、番組の人気を受けてエドが歌うノベルティ・ソングのレコードなどが実際に発売されていたこともあります。

