YouTubeで見る「空飛ぶモンティ・パイソン」!伝説のコメディ革命を徹底解説
「空飛ぶモンティ・パイソン」の概要
『空飛ぶモンティ・パイソン』(原題: Monty Python’s Flying Circus)は、1969年から1974年にかけてイギリスBBCで制作・放送された、伝説的なコメディ番組です。
グレアム・チャップマン、ジョン・クリーズ、テリー・ギリアム、エリック・アイドル、テリー・ジョーンズ、マイケル・ペイリンの6人からなるコメディグループ「モンティ・パイソン」によって作られました。
この番組は、従来のコメディの常識を覆す、シュールでアナーキー、風刺的で、時には不条理なスケッチ(短いコント)を矢継ぎ早に展開するスタイルで、世界中に衝撃と多大な影響を与えました。
オチのないスケッチ、突然のアニメーション挿入、第四の壁の破壊など、実験的な手法がふんだんに用いられ、後のコメディ界の潮流を変えたと言われています。
「空飛ぶモンティ・パイソン」象徴的なオープニング
(※テリー・ギリアムによる独特のアニメーションと、「自由の鐘」をアレンジしたスーザの「リバティ・ベル行進曲」が象徴的なオープニング)
作品詳細(放送時期・特徴)
本作は、イギリスBBC Oneで1969年10月5日から1974年12月5日まで、全4シリーズ、合計45話が放送されました。
メンバーのほとんどがケンブリッジ大学またはオックスフォード大学出身のエリートであり、その高い知性を背景にした社会風刺、言葉遊び、歴史や文学のパロディなどが、単なるドタバタではない深みを与えています。
番組の大きな特徴の一つが、アメリカ出身のメンバーであるテリー・ギリアムが手掛けるシュールな切り絵アニメーションです。
これはスケッチ間のブリッジとして、またスケッチそのものとしても用いられ、番組の独特な世界観を構築する上で不可欠な要素となりました。
番組構成も独特で、明確なストーリーラインや、スケッチごとの明確な区切り(パンチラインによる終わり)を意図的に排除することが多く、意識の流れのような連鎖的な展開を見せます。
「死んだオウム」「スパムの多い料理店」「バカ歩き省」「スペイン宗教裁判」など、数多くの名作スケッチを生み出し、その多くが今日でも語り継がれています。
「モンティ・パイソン」のメンバー(キャスト)
(6名が脚本と出演を兼ねる)
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グレアム・チャップマン (Graham Chapman): 権威的な役(軍人、警官など)や、ストレートマン(常識人役)を演じることが多かった。後に映画『ライフ・オブ・ブライアン』で主役を演じる。
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ジョン・クリーズ (John Cleese): 長身で神経質そうなキャラクターが得意。官僚や怒りっぽい人物を多く演じた。「バカ歩き省」などが有名。
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テリー・ギリアム (Terry Gilliam): 唯一のアメリカ人メンバー。主にアニメーションを担当したが、奇怪なキャラクターでの出演も多い。
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エリック・アイドル (Eric Idle): 言葉遊びや音楽ネタが得意。ショービジネス界の人物や、皮肉屋のキャラクターを多く演じた。「ナッジナッジ(ちょんちょん)」などが有名。
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テリー・ジョーンズ (Terry Jones): 女性役(中年女性の甲高い声)を演じることが非常に多かった。また、素朴な労働者階級の役なども得意とした。
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マイケル・ペイリン (Michael Palin): 最も演技の幅が広く、人の良いキャラクターから怪しいセールスマンまで多彩に演じ分けた。「死んだオウム」「ランバージャック・ソング(木こりの歌)」などが有名。
メンバーの代表的なソロ活動・関連作品
モンティ・パイソンとしての映画作品に加え、各メンバーは個々にも輝かしいキャリアを持っています。
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グレアム・チャップマン:
- 映画『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』(アーサー王役)、映画『ライフ・オブ・ブライアン』(主演ブライアン役)
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ジョン・クリーズ:
- テレビドラマ『フォルティ・タワーズ (Fawlty Towers)』(脚本・主演)
- 映画『ワンダとダイヤと優しい奴ら (A Fish Called Wanda)』(脚本・出演)
- 映画『ハリー・ポッター』シリーズ(ほとんど首無しニック役)
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テリー・ギリアム:
- 映画監督として『未来世紀ブラジル (Brazil)』『12モンキーズ (12 Monkeys)』『バロン (The Adventures of Baron Munchausen)』
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エリック・アイドル:
- 映画『ライフ・オブ・ブライアン』(「Always Look on the Bright Side of Life」作詞作曲・歌唱)
- ミュージカル『スパマロット (Spamalot)』(脚本・作詞)
- パロディバンド「ラトルズ (The Rutles)」
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テリー・ジョーンズ:
- 映画『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』『ライフ・オブ・ブライアン』(共同監督)
- 歴史ドキュメンタリーのプレゼンター、児童文学作家
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マイケル・ペイリン:
- テレビ旅行ドキュメンタリーシリーズ(『80日間世界一周』『ポール・トゥ・ポール』など)
- 映画『未来世紀ブラジル (Brazil)』『ワンダとダイヤと優しい奴ら (A Fish Called Wanda)』出演
「空飛ぶモンティ・パイソン」の社会的評価と影響(まとめ)
『空飛ぶモンティ・パイソン』は、単なるコメディ番組の枠を超え、20世紀のポップカルチャー全体に計り知れない影響を与えた金字塔です。
その革新的なスタイルは、イギリスのみならずアメリカの『サタデー・ナイト・ライブ』をはじめとする世界中のコメディ番組やコメディアンに影響を与え、「パイソネスク (Pythonesque)」という形容詞(モンティ・パイソン風の)を生み出すほどでした。
彼らのユーモアは、権威への反抗、社会規範への疑問、そして言語そのものへの鋭い洞察に満ちており、単なるナンセンスにとどまらない知的な刺激を与え続けています。
番組終了後も、メンバーは映画『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』(1975)、『ライフ・オブ・ブライアン』(1979)、『人生狂騒曲』(1983)などを制作し、いずれもカルト的な人気を博しました。
その笑いは普遍的であり、放送から半世紀以上経った今でも、色褪せることなく世界中のファンを魅了し続けています。
「モンティ・パイソン」関連商品
伝説の笑いを手元に。
DVD / Blu-ray
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『空飛ぶモンティ・パイソン』の全シリーズを収録した日本語版コンプリートDVD-BOXやBlu-ray BOXが、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントなどから発売されています。
映画版
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『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』『ライフ・オブ・ブライアン』『人生狂騒曲』などの映画作品のDVD/Blu-ray。
書籍
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全スクリプト(脚本)を収録した書籍(『モンティ・パイソン大全』『空飛ぶモンティ・パイソン スクリプト集』など)や、メンバーによる自伝、研究本などが多数出版されています。
CD
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番組や映画のサウンドトラック、スケッチを収録したアルバムなどが多数リリースされています。