YouTubeで「ミュータントX」

「ミュータントX」の概要

「ミュータントX（原題：Mutant X）」は、2001年から2004年にかけて放送された、アメリカ合衆国とカナダ合作のSFアクション・テレビドラマシリーズです。

本作は、2000年の映画「X-MEN」の大ヒットを受け、マーベル・スタジオ（当時はマーベル・エンターテインメント）と関連製作会社によって企画・製作されました。

物語の背景には、政府や企業の極秘遺伝子工学実験「ジェノマックス社」の存在があります。

この実験の結果、意図せず超人的な能力を持って生まれた人々「ニューミュータント」が世に放たれました。

本作のあらすじは、これらのニューミュータントたちが、その能力ゆえに政府の秘密機関「GSA（遺伝子保安局）」や、同じミュータントでありながら悪の道に進んだ者たちから追われる中、彼らを守り、導くために結成された秘密チーム「ミュータントX」の戦いを描いています。

チームのリーダーである天才科学者アダム・ケインの指揮のもと、個性豊かな能力を持つメンバーたちが、毎週のように発生する事件や陰謀に立ち向かっていきます。

「X-MEN」のコンセプトをテレビドラマのフォーマットに落とし込み、スタイリッシュなアクションと魅力的なキャラクターで人気を博した作品です。

「ミュータントX」のオープニング

「ミュータントX」のオープニング映像は、近未来的なビジュアルとアップテンポなテクノミュージックが特徴的です。

各キャラクターのミュータント能力をダイナミックに紹介する内容は、これから始まるアクションへの期待感を高めます。

シーズン1のオープニングはこちらで視聴可能です。

「ミュータントX」の詳細

「ミュータントX」は、マーベルのアヴィ・アラドらが製作総指揮を務め、Firework Entertainment、マーベル・スタジオ、20世紀フォックス・テレビジョン（シンジケーション部門）などが製作に関わりました。

アメリカ国内では、特定のネットワーク局ではなく、シンジケーション（番組販売）という形で各地域のローカル局などで放送されました。

放送は2001年10月に開始され、シーズン1（全22話）、シーズン2（全22話）、シーズン3（全22話）の合計3シーズン、全66話が製作されました。

当初は映画「X-MEN」との関連性も示唆されていましたが、法的な問題（20世紀フォックスが持つX-MENの映画化権と、マーベルが持つテレビ化権の間の複雑な権利関係）により、ドラマ内では「X-MEN」や特定のキャラクター（プロフェッサーXなど）への言及は避けられ、独自のストーリーが展開されました。

しかし、本作の製作会社の一つであるFirework Entertainmentが倒産するという予期せぬ事態に見舞われます。

これにより、シーズン3の最終話が、非常に衝撃的かつ未解決なクリフハンガー（物語が最高潮に達したまま終わる）の状態で、シリーズは突然の打ち切りとなってしまいました。

「ミュータントX」の主なキャストと代表作品

「ミュータントX」のチームメンバーと、彼らを演じた魅力的なキャスト陣を紹介します。

アダム・ケイン (Adam Kane) – 演：ジョン・シーア (John Shea)

「ミュータントX」の創設者でありリーダー。

元々は「ジェノマックス社」の主任バイオジェネティシストでしたが、自らの研究が悪用されていることを知り、ニューミュータントたちを保護するために組織を設立しました。

彼自身はミュータントではありませんが、卓越した知能と戦略でチームを導きます。

• 代表作（ドラマ）：「新スーパーマン (Lois & Clark: The New Adventures of Superman)」（レックス・ルーサー 役）
• 代表作（ドラマ）：「ゴシップガール」（ハロルド・ウォルドーフ 役）
• 代表作（映画）：「ミッシング」（チャールズ・ホーマン 役）

シャリマー・フォックス (Shalimar Fox) – 演：ヴィクトリア・プラット (Victoria Pratt)

猫科のDNA（フェリン）を組み込まれたミュータント。

超人的な敏捷性、跳躍力、スピード、そして鋭い五感を持ちます。

情熱的で戦闘的な性格の持ち主で、チームの主力アタッカーです。

• 代表作（ドラマ）：「クレオパトラ2525 (Cleopatra 2525)」（サージ 役）
• 代表作（ドラマ）：「デイブレイク 〜連続する24時間〜 (Day Break)」
• 代表作（ドラマ）：「ハートランド物語 (Heartland)」

ブレナン・マルレイ (Brennan Mulwray) – 演：ヴィクター・ウェブスター (Victor Webster)

強力な電気を体内で生成し、手から放電することができるミュータント（エレメンタル・エレクトリカル）。

元々は腕利きの泥棒でしたが、アダムによってスカウトされました。

皮肉屋ですが根は優しく、チームのムードメーカー的存在です。

• 代表作（ドラマ）：「コンティニアム 真実の行方 (Continuum)」（カーロス・フォネグラ 役）
• 代表作（ドラマ）：「メルローズ・プレイス（2009年版）」
• 代表作（映画）：「サロゲート (Surrogates)」

エマ・デラウロ (Emma DeLauro) – 演：ローレン・リー・スミス (Lauren Lee Smith)

テレパス（精神感応）能力とエンパス（感情操作）能力を持つミュータント（サイオニック）。

他人の心を読むだけでなく、感情を読み取ったり、相手に特定の感情を抱かせたりすることができます。

穏やかで心優しい性格です。（シーズン1および2に登場）

• 代表作（ドラマ）：「CSI:科学捜査班」（ライリー・アダムス 役）
• 代表作（ドラマ）：「リスナー 心を読む青い瞳 (The Listener)」
• 代表作（映画）：「シェイプ・オブ・ウォーター (The Shape of Water)」（エレイン 役）

ジェシー・キルマーティン (Jesse Kilmartin) – 演：フォーブス・マーチ (Forbes March)

自らの身体の分子密度を自在に変化させることができるミュータント（モレキュラー）。

壁や物体をすり抜ける「フェージング（幽体化）」と、身体を鋼鉄のように硬化させる「デンシファイ」の能力を持ちます。

コンピューター技術にも長けています。

• 代表作（ドラマ）：「オール・マイ・チルドレン (All My Children)」
• 代表作（ドラマ）：「ワン・ライフ・トゥ・リヴ (One Life to Live)」

レクサ・ピアース (Lexa Pierce) – 演：カレン・クライシュ (Karen Cliche)

シーズン3から登場する新メンバー。

光を屈折させて透明化する能力、レーザー光線を放つ能力、光で幻影を作り出す能力などを持つミュータント（エレメンタル・ライト）。

謎めいた過去を持つクールな女性です。

• 代表作（ドラマ）：「アドベンチャー・インク (Adventure Inc.)」
• 代表作（ドラマ）：「フラッシュ・ゴードン (Flash Gordon)」

「ミュータントX」の評価と影響

「ミュータントX」は、映画「X-MEN」の成功の波に乗り、2000年代初頭の超能力ヒーロードラマとして一定の人気を獲得しました。

当時としては比較的高品質なVFX（視覚効果）と、マーベルらしい派手なアクション、魅力的なキャラクターたちの活躍が視聴者に受け入れられ、シンジケーション番組としては高い視聴率を記録しました。

特に、シャリマー役のヴィクトリア・プラットやブレナン役のヴィクター・ウェブスターは、本作で多くのファンを獲得しました。

しかし、前述の通り、製作会社の倒産という製作陣の意図しない理由により、物語はシーズン3で完全に未完のまま終了してしまいました。

シーズン3の最終話は、主要キャラクターの生死が不明なまま終わるという衝撃的なもので、視聴者に大きなショックとフラストレーションを残しました。

この「伝説的なクリフハンガー」は、海外ドラマファンの間では有名なエピソードの一つとなっており、「ミュータントX」を語る上で欠かせない要素となっています。

未完の作品でありながらも、2000年代のマーベル実写ドラマの一つとして、また「ダークエンジェル」などと並ぶ近未来アクションドラマとして、今なおカルト的な人気を持つ作品です。

「ミュータントX」関連商品

「ミュータントX」は、全シーズンのDVDがリリースされており、現在でもその物語（未完の結末を含む）を追うことが可能です。

• ミュータントX シーズン1 DVD-BOX

  シーズン1の全22話を収録。

  チーム結成の経緯や、各キャラクターの背景が描かれる導入シーズンです。

• ミュータントX シーズン2 DVD-BOX

  シーズン2の全22話を収録。

  エマがチームを去るなど、物語が大きく動くシーズンです。

• ミュータントX シーズン3 DVD-BOX

  シーズン3の全22話を収録。

  新メンバーのレクサが加わり、物語は核心に迫りますが、衝撃の最終話が収録されています。