NIKITA / ニキータの深掘りうんちく。全ての始まりはフランス映画。マギーQ版TVシリーズとの違いまで徹底解説。
「NIKITA / ニキータ」シリーズの概要
「NIKITA / ニキータ」というタイトルを聞いて、どの作品を思い浮かべるでしょうか。
実は「ニキータ」は、1つの作品ではなく、1990年のフランス映画を原点とする一大フランチャイズです。
時代と共に設定や主人公像を変えながら、何度もリメイク・リブートされてきました。
共通しているのは、社会から抹殺された若い女性が、政府の秘密組織によって冷酷な暗殺者として育て上げられるというスリリングな設定です。
この記事では、「NIKITA / ニキータのうんちく」として、それぞれの作品の概要や特徴、制作秘話、そして作品間の知られざる繋がりを詳しく解説します。
作品別「ニキータ」の詳細と知られざるうんちく
全ての原点:1990年 リュック・ベッソンの『ニキータ』
「ニキータ」の物語は、フランスの巨匠リュック・ベッソン監督による1990年の映画『ニキータ(原題: Nikita)』から始まりました。
主演は、当時ベッソン監督のパートナーであったアンヌ・パリローです。
この作品のニキータは、薬物中毒で警官殺しを犯し、終身刑の代わりに政府の暗殺者となる道を選ばされます。
彼女の葛藤や、暗殺者としての「再教育」の過程、そして一般社会での「普通の恋」との間で揺れ動く姿が、スタイリッシュな映像美で描かれました。
この映画の大きなうんちくとして、ニキータを指導する「掃除屋」ヴィクトル(ジャン・レノ)が登場します。
このヴィクトルのキャラクター造形が、後のリュック・ベッソン監督作『レオン』の主人公レオンに多大な影響を与えたとされています。
一部のファンの間では、『レオン』は『ニキータ』のスピンオフ的な作品ではないかと考察されるほど、2つの作品には深いつながりが感じられます。
忘れられがちなハリウッド版リメイク『アサシン』
フランス映画『ニキータ』の成功を受けて、ハリウッドはすぐにリメイクに動きました。
1993年に公開されたのが、ブリジット・フォンダ主演の『アサシン(原題: Point of No Return)』です。
邦題こそ違いますが、これは『ニキータ』の忠実なハリウッド・リメイク版です。
ストーリーラインはほぼオリジナルを踏襲していますが、舞台をアメリカに移し、よりハリウッド的なアクションとエンターテイメント性が強調されました。
日本では「ニキータ」の名前で知られていないため、これがリメイクだと気づかない人も多い、まさに「うんちく」と言える作品です。
オリジナルの「掃除屋」ヴィクトルに相当する役は、ハーヴェイ・カイテルが演じました。
90年代を彩ったカナダ制作ドラマ『ニキータ1997』
映画の成功を受け、1997年にはカナダでテレビドラマシリーズ『La Femme Nikita(邦題: ニキータ)』が制作されました。
主演はペータ・ウィルソンです。
このドラマ版は、オリジナル映画の「その後」ではなく、設定を再構築したリブート作品です。
秘密組織は「セクション・ワン」と呼ばれ、ニキータと彼女の教官であるマイケルの複雑で禁断の関係性が、5シーズンにわたってじっくりと描かれました。
映画版よりもダークでシリアスなトーン、そして陰謀が渦巻く組織内部の人間ドラマが人気を博しました。
この作品の成功が、「強い女性スパイ」というジャンルをテレビドラマの世界で確立させたと言えます。
2010年版『NIKITA / ニキータ』の革新性
そして2010年、アメリカのCWネットワークで制作されたのが、マギー・Q主演の『NIKITA / ニキータ』です。
日本で近年「ニキータ」と言えば、この作品を指すことが多いかもしれません。
この2010年版の最大の「うんちく」であり特徴は、物語のスタート地点が全く異なることです。
これまでの作品が「ニキータが組織にリクルートされる」ところから始まったのに対し、マギー・Q版は「ニキータがすでに組織(ディヴィジョン)から脱走し、組織への復讐を誓っている」時点から始まります。
つまり、最初から組織のすべてを知る最強の敵として登場するのです。
また、主人公ニキータにアジア系のマギー・Qを起用したことも大きな話題となりました。
彼女の卓越したアクションスキルにより、これまでの「ニキータ」像とは一線を画す、スピーディーでアクロバティックな戦闘シーンが満載の作品となっています。
組織内部に潜入する新たなキャラクター、アレックスの存在も、物語に二重スパイのような緊張感をもたらしました。
参考動画
まとめ
「NIKITA / ニキータ」という一つの名前には、フランス映画の芸術性、90年代ドラマのダークなロマンス、そして2010年代ドラマのスタイリッシュなアクションと、全く異なる魅力が詰まっています。
リュック・ベッソンが生み出した「社会から疎外された女性が最強の武器となる」という基本コンセプトがいかに強力であったかが、これらのリメイクの多さから伺えます。
あなたが最も惹かれるのは、どの「ニキータ」でしょうか。
それぞれの作品を見比べて、設定やキャラクター造形の違いを探してみるのも、このフランチャイズの深い楽しみ方の一つです。
「ニキータ」は、時代を反映しながら進化し続ける、最強のヒロイン像の象徴と言えるでしょう。
関連トピック
レオン (Léon: The Professional): リュック・ベッソン監督作品。
前述の通り、映画『ニキータ』に登場した「掃除屋」ヴィクトルが原型とされるキャラクター、レオンの物語。
孤独な殺し屋と少女の交流を描いた傑作です。
エイリアス (Alias): J・J・エイブラムス製作総指揮のテレビドラマ。
主人公シドニー・ブリスコウが二重スパイとして活躍する姿は、「ニキータ」と並ぶ女性スパイアクションの金字塔とされています。
キリング・イヴ (Killing Eve): 美しき暗殺者ヴィラネルと、彼女を追うMI6捜査官イヴの攻防を描いた近年のヒットドラマ。
「ニキータ」が切り開いた「魅力的な女性暗殺者」というテーマを、より現代的かつシニカルに描いています。
関連資料
ニキータ (1990) Blu-ray/DVD: 全ての原点であるリュック・ベッソン監督のオリジナル版。
スタイリッシュな映像とアンヌ・パリローの魅力が詰まっています。
NIKITA / ニキータ (2010) コンプリート・シリーズ: マギー・Q主演のTVシリーズ全4シーズンを収録したボックスセット。
脱走したニキータと組織の壮絶な戦いをイッキ見できます。
アサシン (1993) DVD: ブリジット・フォンダ主演のハリウッド・リメイク版。
オリジナルと見比べることで、ハリウッド的な解釈の違いが分かり、うんちくが深まります。

