YouTubeで「タイムトンネル 第1話『過去との出会い』」
「タイムトンネル 第1話『過去との出会い』」の概要
「タイムトンネル(原題:The Time Tunnel)」は、1966年から1967年にかけてアメリカABCネットワークで放送された、SFテレビドラマの金字塔です。
製作総指揮は「原子力潜水艦シービュー号」「宇宙家族ロビンソン」などで知られる、SFドラマの巨匠アーウィン・アレンが務めました。
ご紹介する第1話「過去との出会い(原題:Rendezvous with Yesterday)」は、この壮大な物語の始まりを描いた、非常に重要なエピソードです。
米国では1966年9月9日に放送され、日本では1967年4月1日(土曜日)にNHK総合テレビジョンで放送が開始され、多くの日本の少年少女たちをSFの世界へと誘いました。
物語のあらすじは、アリゾナの砂漠の地下深くに極秘裏に建設された、時間航行(タイムトラベル)を可能にする巨大装置「タイムトンネル」のプロジェクトが舞台です。
莫大な国家予算を消費しながらも具体的な成果を出せずにいたプロジェクトは、視察に訪れた上院議員から予算の全面カットを通告される寸前にまで追い込まれていました。
この危機的状況を打破し、タイムトンネルの実用性を証明するため、若き科学者トニー・ニューマン博士は、制止を振り切って無謀にも自ら実験台となり、制御不能なトンネルへと飛び込んでしまいます。
彼が転送された先は、1912年4月14日、まさにその数時間後に氷山と衝突し沈没する運命にある豪華客船「タイタニック号」の船上でした。
基地のコントロールルームは、タイタニック号の乗客名簿にトニーが(偽名で)載っていることを確認し、彼が歴史的大惨事に巻き込まれようとしていることを知ります。
トニーを救出すべく、プロジェクトの責任者であるダグ・フィリップス博士も後を追い、同じくタイタニック号へと転送されます。
船上で合流した二人は、船長に迫り来る沈没の危機を必死に訴えますが、もちろん信じてもらえるはずもありません。
刻一刻と運命の時が迫る中、基地のスタッフ(アン・マグレガー博士ら)は二人を現代に引き戻そうと懸命の努力を続けますが、装置は制御不能に陥ります。
二人はタイタニック号の沈没と運命を共にすることなく、基地の必死の操作によって辛うじてタイタニック号からは脱出(転送)させられますが、それは現代への帰還ではなく、また別の時代への始まりに過ぎませんでした。
ここから、二人の時空を放浪する果てしない旅が始まったのです。
「タイムトンネル」のオープニング
本作のオープニングは、SFドラマ史上屈指のアイコニックな映像として知られています。
後に「スター・ウォーズ」や「スーパーマン」のテーマ曲を手掛けることになる巨匠ジョン・ウィリアムズ(当時はジョニー・ウィリアムズ名義)による、一度聴いたら忘れられない緊迫感あふれるテーマ曲。
そして、カラフルな渦巻き模様のトンネル(当時の最先端の視覚効果)の中を、二人の主人公が回転しながら落ちていく映像は、視聴者に強烈なインパクトを与えました。
日本での放送時には、矢島正明氏による「過去と未来をさまよう二人。彼らの行く手には、何が待ち受けているのだろうか…」というナレーションも、作品のミステリアスな魅力を高めました。
こちらでその有名なオープニングテーマを視聴できます。
「タイムトンネル 第1話『過去との出会い』」のクリップ
「タイムトンネル 第1話」の詳細
「タイムトンネル」は、アーウィン・アレンが製作した4大SFテレビドラマ(他は「原子力潜水艦シービュー号」「宇宙家族ロビンソン」「巨人の惑星」)の一つです。
第1話「過去との出会い」は、アーウィン・アレン自身が監督を務め、シリーズ全体の方向性を決定づけました。
このエピソードの特筆すべき点は、タイタニック号が氷山に衝突し沈没するシーンの多くが、1953年に公開された20世紀フォックスの映画「タイタニック」のフッテージ(既存のフィルム映像)を巧みに流用している点です。
これにより、テレビドラマの予算では到底不可能と思われたスペクタクルなシーンを実現しました。
この「過去の映画のフィルムを流用し、主人公たちをその歴史的事件のまっただ中に放り込む」という手法は、本作の最大の特徴となり、以後も「アラモの砦」「真珠湾攻撃」「クラカタウ火山の噴火」など、様々な歴史的事件が描かれることになりました。
主なキャストと代表作品
「タイムトンネル」の成功は、魅力的なキャスト陣の存在なくしては語れません。
アンソニー・“トニー”・ニューマン博士 – 演:ジェームズ・ダーレン (James Darren)
情熱的で行動的な若き科学者。
自らタイムトンネルに飛び込み、時空放浪の原因を作ります。
演じたジェームズ・ダーレンは、俳優だけでなく歌手としても人気を博しました。
- 代表作(映画):「ナバロンの要塞 (The Guns of Navarone)」
- 代表作(映画):「ギジェット・ゴーズ・ハワイアン (Gidget Goes Hawaiian)」
- 代表作(ドラマ):「スタートレック:ディープ・スペース・ナイン」(ホログラムの歌手ヴィック・フォンテーン 役)
ダグラス・“ダグ”・フィリップス博士 – 演:ロバート・コルバート (Robert Colbert)
冷静沈着なプロジェクトのリーダー。
トニーを救出すべく後を追い、共に時空を放浪します。
演じたロバート・コルバートは、テレビドラマを中心に活躍したベテラン俳優です。
- 代表作(ドラマ):「マーベリック (Maverick)」
- 代表作(ドラマ):「ザ・ヤング・アンド・ザ・レストレス (The Young and the Restless)」
アン・マグレガー博士 – 演:リー・メリウェザー (Lee Meriwether)
タイムトンネル基地の女性科学者。
トニーとダグの現在位置を特定し、現代から二人を懸命にサポートします。
演じたリー・メリウェザーは、1955年の「ミス・アメリカ」に選ばれた経歴を持つ女優です。
- 代表作(映画):「バットマン (1966年の映画)」(キャットウーマン 役)
- 代表作(ドラマ):「バーナビー・ジョーンズ (Barnaby Jones)」
ヘイウッド・カーク中将 – 演:ウィット・ビッセル (Whit Bissell)
プロジェクトの最高責任者である軍人。
厳格ながらも、二人の帰還を信じて基地の指揮を執ります。
- 代表作(映画):「大アマゾンの半魚人 (Creature from the Black Lagoon)」
- 代表作(映画):「ソイレント・グリーン (Soylent Green)」
「タイムトンネル」の評価と影響
「タイムトンネル」は、全30話(1シーズン)で放送が終了したにもかかわらず、SFドラマ史に不朽の名を残しました。
特に日本ではNHKで放送されたことにより、当時の少年少女たちに絶大な人気を博し、その後の日本のSF作品やクリエイターにも大きな影響を与えたと言われています。
第1話で「タイタニック号の沈没」という、誰もが知る歴史的悲劇を舞台に選んだことは、視聴者に強烈なインパクトを与えました。
歴史上の出来事にタイムトラベラーが遭遇し、それを変えようと試みる(しかし結果として歴史は変わらない、あるいは変えてはいけない)というフォーマットは、本作によって確立されたと言っても過言ではありません。
歴史とSFを融合させたその斬新なアイデアは、放送から半世紀以上が経過した現在でも、色褪せることのない魅力を放っています。
関連商品
「タイムトンネル」は、現在、全30話を収録したDVD-BOXが発売されており、第1話「過去との出会い(タイタニック号の最後)」も高画質で視聴することが可能です。
懐かしの日本語吹替版も収録されており、当時の興奮をそのままに追体験できます。
- タイム・トンネル DVD COLLECTOR’S BOX Vol.1(第1話〜第15話収録)
- タイム・トンネル DVD COLLECTOR’S BOX Vol.2(第16話〜第30話収録)

