YouTubeで「サムソンとデリラ」を見る前に知っておきたい情報まとめ

サムソンとデリラ

「サムソンとデリラ」とは？ – あらすじと概要

『サムソンとデリラ』（原題: Samson and Delilah）は、1949年に公開されたアメリカ合衆国のテクニカラー大作映画です。

監督は『十戒』などで知られるスペクタクル映画の巨匠セシル・B・デミルが務めました。

旧約聖書の「士師記」に記されている、神から与えられた怪力の持ち主サムソンと、彼を誘惑し破滅へと導くペリシテ人の美女デリラの物語を、壮大なスケールとロマンス、裏切りを交えて描いた作品です。

主演はヴィクター・マチュアとヘディ・ラマーが務めました。

本作はその豪華絢爛な美術と衣装が高く評価され、アカデミー賞で美術賞（カラー）と衣装デザイン賞（カラー）を受賞しました。

物語は、ペリシテ人によって支配され、苦しめられている古代イスラエルのダン族の村から始まります。

ダン族の男サムソン（ヴィクター・マチュア）は、神から授かった超人的な怪力の持ち主でした。

彼は素手でライオンを倒すほどの力を持っていましたが、情熱的で女にだらしないという弱点も抱えていました。

サムソンはペリシテ人の女性セマダールに恋をし、結婚を申し込みます。

しかし、セマダールの姉であり、サムソンに以前から横恋慕していた美女デリラ（ヘディ・ラマー）は、この結婚を快く思いませんでした。

結婚式の祝宴の場で、デリラはサムソンを侮辱し、騒動を引き起こします。

この混乱の中でサムソンは激怒して大暴れし、結果としてセマダールとその父は命を落としてしまいます。

ペリシテ人への復讐の鬼となったサムソンは、ロバの顎の骨一つでペリシテ人の軍隊1000人を打ち負かすなど、その怪力を振るって敵を恐怖に陥れます。

一方、サムソンへの愛と憎しみに揺れ動くデリラは、ペリシテの支配者であるガザの太守（ジョージ・サンダース）の寵愛を受ける身となります。

太守は、サムソンを捕らえるため、デリラに協力を命じます。

デリラはサムソンのもとを訪れ、色香と偽りの愛で彼を誘惑します。

サムソンは何度も彼女の誘いをはねつけますが、ついにデリラの執拗な問いに屈し、自身の怪力の秘密が「一度も剃ったことのない髪の毛」にあることを告白してしまいます。

サムソンが眠り込んだ隙に、デリラは彼の髪を切り落とします。

力を失ったサムソンは、待ち構えていたペリシテ兵に捕らえられ、両目を焼かれ、奴隷としてガザの牢獄で石臼を引かされる屈辱的な見世物にされます。

すべてを失ったサムソンですが、彼の髪は再び伸び始めていました。

ペリシテの神殿で、勝利を祝うペリシテ人たちの前に引き出されたサムソンは、嘲笑の中で最後の力を振り絞り、神に祈りを捧げます。

そして、神殿を支える二本の中央の柱に手をかけ、それを押し倒します。

神殿は轟音と共に崩れ落ち、サムソンはデリラを含む全てのペリシテ人たちを道連れにして最期を遂げます。

このクライマックスの神殿倒壊シーンは、当時の特撮技術の粋を集めた圧巻のスペクタクルであり、映画史に残る名場面の一つです。

本作の主要なキャストは以下の通りです。

主要キャストの他の代表的な出演作品を紹介します。

ヘディ・ラマー:
- 『カスバの恋』（1938年）
- 『美人劇場』（1941年）
- 『ブーム・タウン』（1940年）
ヴィクター・マチュア:
- 『荒野の決闘』（1946年）
- 『聖衣』（1953年）
- 『ディミトリアスと闘士』（1954年）
ジョージ・サンダース:
- 『イヴの総て』（1950年）
- 『レベッカ』（1940年）
- 『ジャングル・ブック』（1967年・声の出演シア・カーン役）

セシル・B・デミル監督による『サムソンとデリラ』は、1949年の公開当時、世界中で記録的な大ヒットとなりました。

パラマウント社にとって、それまでの最大のヒット作であった『風と共に去りぬ』に匹敵するほどの興行収入を上げ、聖書映画ブーム、スペクタクル史劇ブームを再燃させました。

本作の成功は、何よりもデミル監督の手腕によるものです。

彼は旧約聖書の短いエピソードを、豪華絢爛なテクニカラー映像、数千人のエキストラを動員した壮大なセット、そして愛と裏切りが渦巻く情熱的な人間ドラマとして見事に描き出しました。

特に、サムソンの怪力を示すライオンとの格闘シーンや、クライマックスの神殿倒壊シーンは、観客の度肝を抜くスペクタクルとして語り継がれています。

また、「世界で最も美しい女性」と称されたヘディ・ラマーが演じる、妖艶で複雑な心を持つ悪女デリラと、筋骨隆々のヴィクター・マチュアが演じる野性的で純朴な英雄サムソンという、対照的な二人のキャスティングも絶妙でした。

アカデミー賞では美術賞と衣装デザイン賞を受賞しており、その視覚的な美しさと豪華さは、現代の目で見てもなお圧倒的です。

本作は、後の『十戒』や『ベン・ハー』といった1950年代の歴史スペクタクル大作への道筋を作った、ハリウッド黄金時代の記念碑的な作品として高く評価されています。

映画史に残る名作として、様々な形で商品化されています。

【Blu-ray/DVD】:

高画質化されたBlu-rayやDVDが各国で販売されています。

特にテクニカラーの鮮やかな色彩を復元したバージョンが人気です。
【書籍】:

原作である「旧約聖書」（士師記第13章～第16章）が最も基本的な関連書籍です。

また、監督セシル・B・デミルの伝記や、ハリウッド黄金時代の映画史を扱った書籍などで、本作の製作背景が詳しく紹介されています。
【サウンドトラック】:

ヴィクター・ヤングによる荘厳でドラマティックな映画音楽は、サウンドトラックCDとしても発売されています。