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嘘つきはバルカンの始まり?『アンドリアの悲劇』が暴く衝撃の真実と、名優ジェフリー・コムズ演じるシュランの初登場

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嘘つきはバルカンの始まり?『アンドリアの悲劇』が暴く衝撃の真実と、名優ジェフリー・コムズ演じるシュランの初登場

エピソード「アンドリアの悲劇(The Andorian Incident)」の概要

『スタートレック:エンタープライズ』シーズン1第7話「アンドリアの悲劇(原題:The Andorian Incident)」は、シリーズの方向性を決定づけた極めて重要なエピソードです。

この回では、スタートレック・シリーズの古くからの人気種族である「アンドリア人」がエンタープライズ版としてリファインされて初登場します。さらに、それまで「論理的で平和的な指導者」として描かれていたバルカン人が、実は隠蔽工作やスパイ行為を行っていたという衝撃の事実が明らかになります。
単なるアクション回にとどまらず、地球人が銀河の調停役として目覚めていく過程や、人気キャラクター「シュラン」の登場など、見どころ満載のこのエピソードを深掘り解説します。

詳細:シュラン登場と崩れ去るバルカン神話

1. 聖地P’Jem(P’ジェム)での人質事件

物語は、アーチャー船長、副長トゥポル、トリップの3人が、バルカン人の聖なる僧院がある小惑星「P’Jem(P’ジェム)」を親善訪問するところから始まります。
静寂に包まれているはずの僧院に到着した一行ですが、出迎えた僧侶たちの態度はどこか不自然で、極度の緊張が漂っていました。それもそのはず、僧院はすでに「アンドリア帝国防衛軍」のコマンド部隊によって制圧されていたのです。

アーチャーたちは武器を取り上げられ、人質となってしまいます。アンドリア人のリーダー、シュランは激昂し、「バルカン人はこの僧院に長距離センサーを隠し、我々を監視している」と主張します。トゥポルは「バルカン人は嘘をつかない。ここは瞑想の場だ」と反論しますが、シュランは聞く耳を持ちません。

2. 名優ジェフリー・コムズ演じる「シュラン」の鮮烈なデビュー

このエピソードを語る上で欠かせないのが、アンドリア人の指揮官シュランの存在です。演じているのは、『スタートレック:ディープ・スペース・ナイン(DS9)』でウェイユンやブラントを演じた、伝説的怪優ジェフリー・コムズです。

青い肌に白い髪、そして感情に合わせて動く2本の触覚。彼は一見すると粗暴なテロリストに見えますが、その行動原理は「同胞を守る」という強い愛国心に基づいています。
アーチャーとの殴り合いや尋問シーンにおける緊張感と、時折見せる知性。シュランというキャラクターが持つ複雑な魅力は、この初登場時からすでに完成されており、後に彼がアーチャーの「好敵手」であり「盟友」となっていく未来を予感させます。

3. 明かされたバルカンの「嘘」と衝撃の結末

アーチャーたちは隙を見て反撃に出ますが、そこで発見したのはシュランの主張通り、僧院の地下に隠された巨大な「長距離センサー配列」でした。
平和と論理を説く僧侶たちは、実はスパイだったのです。

この事実は、バルカン人を尊敬していたアーチャーだけでなく、副長トゥポルにも深いショックを与えます。「嘘をつかない」はずの同胞が、条約を破って隣国を監視していたという事実は、彼女のアイデンティティを揺るがす出来事でした。
最終的にアーチャーは、この証拠データをあえてシュランに渡すという決断を下します。
「これで証明できるな」
敵であるはずのアンドリア人に真実を渡し、同盟国であるバルカン人の不正を暴く。この公平な判断こそが、後にアンドリア人が人間を信頼するきっかけとなり、将来の「惑星連邦」設立への第一歩となるのです。

4. シリーズにおける重要性:22世紀のリアル

『エンタープライズ』放送当時、ファンの間では「この時代のバルカン人は嫌な奴すぎる」という批判がありました。しかし、このエピソードによってその理由が明確になります。
22世紀のバルカン政府は、実際には腐敗し、軍国主義的な側面を持っていたのです(これは後のシーズン4で解決される伏線となります)。

「アンドリアの悲劇」は、完璧だと思われていたバルカン人の不完全さを露呈させ、そこに未熟だが正義感の強い「地球人」が介入することで、銀河のバランスが変わっていく様子を描いた、歴史的な転換点となる名作です。

参考動画

まとめ

「アンドリアの悲劇」は、単なる善悪の対立ではなく、それぞれの正義がぶつかり合う重厚な政治ドラマです。
特にラストシーン、去り際のシュランがアーチャーに言った「借りは返すぞ(pink-skin)」というセリフは、シリーズ屈指の名場面です。このエピソードなくして、エンタープライズの、そしてスタートレックの歴史は語れません。
もしあなたが「エンタープライズは地味だ」と思っているなら、ぜひこの第7話まで見てください。ここから物語は一気に加速していきます。

関連トピック

シュラン(Shran):アンドリア帝国防衛軍の司令官。疑り深いが義理堅い性格で、アーチャーとは奇妙な友情関係を築く人気キャラクター。

アンドリア人(Andorian):青い肌と触覚が特徴の好戦的な種族。創設メンバーとして惑星連邦設立に大きく関わる。

ジェフリー・コムズ:スタートレックシリーズで複数の異星人を演じ分ける「カメレオン俳優」。シュラン役はその中でも代表的な役柄。

P’Jem(P’ジェム):バルカンとアンドリアの緩衝地帯近くにある小惑星。この事件により僧院は後に破壊されることになる。

関連資料

Blu-ray『スタートレック:エンタープライズ』シーズン1:鮮明な画質でアンドリア人のメイクや地下施設のセットを楽しめます。

配信(Netflix/Hulu等):エピソードリストから第7話を選択して視聴可能。

スタートレック・オフィシャルガイド:各エピソードの制作秘話や設定資料が掲載されたムック本。

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