【新スタートレック】ターシャ・ヤーの悲劇と栄光!シーズン1で散った女性保安主任の真実

SF

【新スタートレック】ターシャ・ヤーの悲劇と栄光!シーズン1で散った女性保安主任の真実

「新スタートレック」におけるターシャ・ヤーの概要

『新スタートレック(TNG)』の記念すべきシーズン1において、U.S.S.エンタープライズDの初代保安主任兼戦術士官を務めたのが、ターシャ・ヤー大尉(演:デニス・クロスビー)です。

ショートカットの金髪と凛々しい立ち振る舞いが特徴的な彼女は、無政府状態の荒廃したコロニーで育った過酷な過去を持ち、それゆえに「秩序」と「宇宙艦隊」に強い憧れと忠誠心を抱いていました。

彼女はメインキャラクターでありながら、放送開始からわずか1年足らずで殉職するという、当時のテレビドラマの常識を覆す衝撃的な結末を迎えたことで知られています。しかし、その死後も彼女の存在はデータやピカードの中に生き続け、さらには並行世界や娘の存在を通して物語に何度も関わり続けた伝説的なキャラクターです。

詳細:無意味な死から、英雄としての復活へ

ターシャ・ヤーというキャラクターを語る上で、彼女の「死」と、その後の「復活」のドラマは避けて通れません。

1. 地獄からの生還者:トルカナ4号星の過去

ターシャは、地球の連邦政府が崩壊し、ギャングが支配する無法地帯となった植民星「トルカナ4号星」の出身です。

彼女は幼い頃からレイプギャング(強姦団)から逃げ回り、生きるために戦うことを余儀なくされました。妹のイシラを残して15歳で脱出した彼女にとって、宇宙艦隊は単なる職場ではなく、自分を地獄から救い出してくれた「救世主」であり、ピカード艦長は父親のような存在でした。
このトラウマと強さが同居する彼女のキャラクターは、平和な時代を描くTNG初期において異彩を放っていました。

2. テレビ史に残る衝撃:エピソード「悪魔の皮」での死

シーズン1第23話「悪魔の皮(Skin of Evil)」での彼女の死は、あまりにも唐突で無慈悲なものでした。

救助任務中に遭遇した黒い粘液状の生命体「アルマス」によって、彼女は挑発的な攻撃を受け、あっけなく命を落とします。
英雄的な自己犠牲ではなく、理不尽な暴力による「無意味な死」として描かれたことは、宇宙探査の現実的な危険性を視聴者に突きつけました。

この降板劇の背景には、演じるデニス・クロスビーが「ブリッジでただ立っているだけの役」に不満を感じ、契約解除を求めたという事情がありましたが、皮肉にもこの死がTNGに緊張感を与え、ウォーフが保安主任へ昇格するきっかけとなりました。

3. 「亡霊戦艦エンタープライズC」での英雄的復活

シーズン3の名作エピソード「亡霊戦艦エンタープライズC(Yesterday’s Enterprise)」において、歴史改変により生じた並行世界(パラレルワールド)のターシャが登場します。

この世界では彼女は死んでおらず、戦時下のエンタープライズで勇敢に戦っていました。
「自分は本来死ぬ運命だった」と知った彼女は、元の歴史を取り戻すために、過去へ戻るエンタープライズCに移乗することを志願します。
「無意味な死」ではなく「意義のある死」を選んだこのエピソードは、彼女のキャラクターへの最高の手向けとなり、ファンから絶大な支持を受けました。

4. アンドロイド・データとの特別な絆

ターシャとデータ少佐の関係は特別です。シーズン1第3話「未知からの誘惑」において、ウイルスの影響で理性を失ったターシャは、データと肉体関係を持ちました。

正気に戻った後は「なかったこと」にされましたが、データにとって彼女は初めて「親密さ」を教えてくれた特別な人間でした。
彼女の葬儀で、データが「彼女がいなくて寂しい」という感情の芽生えに戸惑うシーンや、後に彼女のホログラムを大切に保管していたことが判明するシーン(「人の測定」)は、アンドロイドの人間性の成長を描く上で重要な要素となりました。

「ターシャ・ヤー」参考動画

まとめ

ターシャ・ヤーは、出演期間こそ短かったものの、『新スタートレック』の歴史に消えない爪痕を残しました。

彼女の死は、エンタープライズのクルーたちに「喪失」を教え、その後の彼女の娘(ロミュラン人のセラ)の登場という形で、物語に予期せぬ波紋を広げ続けました。
もし彼女が生き続けていたら、ウォーフやトロイとの関係はどうなっていたのか。そんな「もしも」を想像せずにはいられないほど、彼女は強くて脆い、魅力的な女性でした。TNGを見返す際は、彼女が駆け抜けたシーズン1の輝きをぜひ再確認してください。

関連トピック

データ少佐(ターシャと一時的に親密な関係になり、彼女の死後もホログラムを大切に持ち続けた)
ウォーフ(ターシャの死後、保安主任を引き継いだクリンゴン人)
セラ(並行世界のターシャが過去へ行った後に産んだ、ロミュラン人とのハーフの娘。後にピカードの敵となる)
ジャン=リュック・ピカード(ターシャが心から尊敬し、忠誠を誓った艦長)

関連資料

Blu-ray『新スタートレック シーズン1』(ターシャ・ヤーがレギュラーとして活躍する唯一のシーズン)
エピソード「亡霊戦艦エンタープライズC」(シーズン3第15話。ターシャが復活し、ドラマチックな運命を辿る最高傑作の一つ)

タイトルとURLをコピーしました