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『ステラ 黒い捜査ファイル』の冷徹なる支配者、ダグビョルト。ステラを翻弄する「女性首相」の正体と危険な愛憎劇

サスペンス・ミステリー
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『ステラ 黒い捜査ファイル』の冷徹なる支配者、ダグビョルト。ステラを翻弄する「女性首相」の正体と危険な愛憎劇

「ダグビョルト(『ステラ 黒い捜査ファイル』より)」の概要

アイスランド発のスタイリッシュなネオ・ノワール『ステラ 黒い捜査ファイル(原題:Stella Blómkvist)』。

型破りな弁護士ステラ・ブロムクヴィストの活躍を描く本作において、彼女の最大の「壁」であり、同時に抗いがたい「誘惑」として立ちはだかるのが、ダグビョルトという女性です。

物語の当初は内務大臣として、やがては国を支配する首相として君臨する彼女は、単なる悪役(ヴィラン)の枠には収まりきらない強烈な存在感を放っています。

ステラとは正反対の立場にいながら、互いに惹かれ合い、利用し合うスリリングな関係性は、このドラマの核心部分と言っても過言ではありません。

本記事では、冷徹な野心家であり、ステラの運命を狂わせる「ダグビョルト」というキャラクターの魅力、ステラとの複雑怪奇な関係、そして演じる女優サラ・ドッグ・アースゲイルスドッティルについて徹底解説します。

「ダグビョルト」の詳細解説

1. ダグビョルトとは何者か?野心と権力の化身

ダグビョルト(Dagbjört)は、アイスランド政界の中枢に身を置く政治家です。

シーズン1では内務大臣として登場し、警察組織や司法に強い影響力を持つ人物として描かれます。

彼女は非常に知的で、洗練されたファッションに身を包み、常に冷静沈着ですが、その内面には底知れない権力への渇望(野心)を秘めています。

彼女の政治スタイルはマキャベリズムそのものであり、目的のためなら手段を選ばず、スキャンダルを握り潰し、政敵を排除することも厭いません。

シーズン2では、ついに国のトップである「首相」の座に上り詰めます。

強大な権力を手にした彼女は、表向きは「国家改革」や「人口増加策」を掲げて国民の圧倒的支持を得ますが、裏では直属の国家警察を組織し、独裁的な支配体制を強化していきます。

法の隙間を突いて正義を行おうとするステラに対し、法そのものを書き換えて支配しようとするダグビョルトは、まさに「秩序ある悪」の象徴です。

2. ステラとの危険な関係:愛と憎しみの境界線

このドラマを単なるサスペンスから、大人の色気漂うノワールへと昇華させているのが、ステラとダグビョルトの関係性です。

二人の関係は一言で表せば「有毒(トキシック)」かつ「不可避」なものです。

ステラにとってダグビョルトは、倒すべき権力の象徴であり、軽蔑の対象です。しかし同時に、肉体的には強烈に惹かれ合っており、二人は度々関係を持ちます。

ダグビョルトにとってのステラは、自分の支配下に置きたい「手に負えない駒」であり、スリルを与えてくれる愛人でもあります。

彼女はステラに政府の極秘情報をリークして利用したかと思えば、次の瞬間には国家権力を使ってステラを追い詰めるなど、飴と鞭を巧みに使い分けます。

「愛しているから殺したい」「憎んでいるけれど抱かれたい」という、矛盾した感情が火花を散らすシーンの数々は、視聴者に強い緊張感を与えます。

特にシーズン2において、首相となったダグビョルトと、反体制の弁護士であるステラの対立が決定的になる中で描かれる愛憎劇は、悲劇的な美しささえ漂わせています。

3. 演じる女優:サラ・ドッグ・アースゲイルスドッティル

この難役を演じているのは、アイスランドを代表する実力派女優、サラ・ドッグ・アースゲイルスドッティル(Sara Dögg Ásgeirsdóttir)です。

1976年生まれの彼女は、アイスランドのアカデミー賞と称される「エッダ賞」で最優秀主演女優賞を受賞(ドラマ『Pressa』にて)するなど、その演技力は高く評価されています。

『ステラ 黒い捜査ファイル』では、氷のように冷たい視線と、時折見せる情熱的な表情を使い分け、権力者の孤独と狂気を見事に体現しました。

彼女が持つエレガントで威厳のある佇まいがあったからこそ、ダグビョルトは単なる嫌な政治家ではなく、カリスマ性を持った「ラスボス」として成立しているのです。

4. 現代社会への皮肉:ダグビョルトが映し出すもの

ダグビョルトというキャラクターは、現実の政治社会に対する痛烈な風刺でもあります。

「女性がトップに立てば世界は平和になる」という単純な幻想を打ち砕き、性別に関係なく、権力そのものが人を腐敗させるというリアリズムを突きつけます。

彼女は、クリーンなイメージ戦略とSNSを駆使したポピュリズムで大衆を扇動しますが、これは現代の世界情勢を反映した設定と言えるでしょう。

ステラが「個人の自由」のために戦うのに対し、ダグビョルトは「国家の安定」のために個を犠牲にする。

この対立構造は、私たちが生きる社会の縮図そのものなのです。

「ステラ 黒い捜査ファイル」の参考動画

「ダグビョルト」についてのまとめ

ダグビョルトは、『ステラ 黒い捜査ファイル』においてステラの対極に位置する、もう一人の主人公とも呼べる存在です。

彼女の存在がなければ、ステラの「アンチヒーロー」としての輝きも半減していたことでしょう。

首相という最強の権力を手に入れたダグビョルトと、それを揺るがす唯一の爆弾であるステラ。

二人の関係が破滅へと向かうのか、それとも奇妙な共犯関係が続くのか、その行方はドラマ最大の身震いするような見どころです。

もしあなたが「悪女」や「複雑な女性同士の関係性」に惹かれるなら、ダグビョルトというキャラクターは間違いなく忘れられない存在になるはずです。

彼女の冷徹な眼差しと、その裏に隠された人間臭い欲望に、ぜひ翻弄されてみてください。

関連トピック

ステラ・ブロムクヴィスト: 本作の主人公。法とモラルを軽視する型破りな弁護士。

ネオ・ノワール: 伝統的なフィルム・ノワールの要素を現代的な設定で再構築したジャンル。本作の映像美を象徴する言葉。

マキャベリズム: 目的のためには手段を選ばない権謀術数の政治思想。ダグビョルトの行動原理。

エッダ賞: アイスランドの映画・テレビ業界における最高権威の賞。

ポピュリズム: 一般大衆の利益や権利を守り、大衆の支持のもとに既存のエリート層や知識人に対抗しようとする政治思想。

関連資料

ドラマ『ステラ 黒い捜査ファイル シーズン2』: ダグビョルトが首相となり、物語がよりスケールアップした続編。
ステラ 黒い捜査ファイル シーズン2

DVD『Pressa(原題)』: サラ・ドッグ・アースゲイルスドッティルが主演し、エッダ賞を受賞したクライムドラマ(日本未公開の場合あり)。

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