【ターザンのうんちく】彼は英国貴族だった!あの有名な雄叫び「ア〜アア〜」の知られざる秘密
『ターザン』の概要
「ア〜アア〜」という雄叫びと共にジャングルを駆け巡る野生児――それが、私たちがよく知る「ターザン」の姿です。
しかし、その野性的なイメージとは裏腹に、ターザンの出自や設定には多くの意外な「うんちく」が隠されています。
1912年に小説家エドガー・ライス・バローズによって生み出されて以来、100年以上にわたり映画、アニメ、ドラマで愛され続ける「ジャングルの王者」。
その知られざるプロフィールを徹底解説します。
『ターザン』の詳細うんちく
最大のうんちく:ターザンの正体は「英国貴族」
ターザンは単なる野生児ではありません。
彼の本名は「ジョン・クレイトン二世、グレイストーク卿」といい、れっきとしたイギリス貴族の生まれです。
原作小説『類人猿ターザン』(1914年)によれば、彼の両親である英国貴族のグレイストーク卿夫妻は、赴任先の西アフリカへ向かう船で反乱に遭い、アフリカの海岸に置き去りにされます。
夫妻はジャングルで息絶えますが、残された赤ん坊(ジョン・クレイトン二世)は、子供を亡くしたばかりの雌の類人猿「カラ」に拾われ、「ターザン」(類人猿の言葉で「白い肌」という意味)と名付けて育てられます。
つまり、彼はジャングルで育ったものの、その血筋は高貴なものでした。
原作のターザンは「超インテリ」だった
多くの映画、特にジョニー・ワイズミュラー主演の作品では、ターザンは「ミー・ターザン、ユー・ジェーン(俺、ターザン。お前、ジェーン)」といった片言の英語を話すキャラクターとして描かれました。
しかし、原作のターザンは驚くべき知性の持ち主です。
彼は両親が残した小屋で英語の絵本や辞書を発見し、誰にも教わらずに独学で英語の読み書きをマスターしてしまいます。
さらに、後にジャングルを訪れたフランス人からフランス語も学び、類人猿の言葉と合わせて複数の言語を操るマルチリンガルなキャラクターとして描かれています。
あの「ア〜アア〜」の雄叫びの正体
ターザンを象徴する「ア〜アア〜」という雄叫び(ターザン・エール)。
これは原作では「類人猿の勝利の雄叫び」と表現されているだけでした。
この独特な声を映画で定着させたのは、1930年代から40年代にかけてターザン役を演じたジョニー・ワイズミュラーです。
この声の由来には諸説あります。
MGMスタジオの音響技術者が、ワイズミュラー本人の声、ハイエナの鳴き声、ラクダの鳴き声、バイオリンのG線(を逆再生したもの)、ソプラノ歌手の歌声などを合成して作ったという「音源合成説」が有名です。
一方で、ワイズミュラー本人は「あれは自分の声だ。子供の頃に得意だったヨーデルをベースにしている」と生涯主張し続けました。
真実は複雑かもしれませんが、この雄叫びが映画史に残る最も有名なサウンドエフェクトの一つであることは間違いありません。
ターザンを演じた俳優は「金メダリスト」
ターザン役として最も有名なジョニー・ワイズミュラーは、もともと俳優ではありませんでした。
彼は水泳選手であり、1924年のパリオリンピックと1928年のアムステルダムオリンピックで、合計5個の金メダル(水泳)と1個の銅メダル(水球)を獲得した、当代きってのスーパースターでした。
その驚異的な身体能力と鍛え上げられた肉体が、ジャングルの王者ターザン役に抜擢される決め手となりました。
ディズニー版『ターザン』とアナ雪の意外な関係?
1999年に公開されたディズニーの長編アニメーション映画『ターザン』も世界的に大ヒットしました。
この作品の監督の一人であるクリス・バックは、後に『アナと雪の女王』も監督しています。
彼はファンの間での憶測に対し、「『アナ雪』のエルサとアナの両親は船の事故で亡くなったのではなく、ジャングルの島に流れ着き、そこで男の子(ターザン)を産んだ」と、個人的な見解として両作品が繋がっている可能性を示唆する発言をしたことがあります。
もちろんこれは公式設定ではありませんが、ファンの想像を掻き立てるユニークな「うんちく」の一つです。
参考動画
まとめ
「ターザン」は、単に「ジャングルで動物に育てられた男」というだけでなく、その背景には「高貴な生まれ」「高い知性」「文明社会との葛藤」といった深いテーマが隠されています。
原作小説の複雑な人間像から、ジョニー・ワイズミュラーの陽気なアクションヒーロー、そしてディズニーアニメの繊細な青年像まで、ターザンは時代と共にその姿を変えながら、100年以上にわたって私たちを魅了し続けています。
次にあの雄叫びを聞いた時は、彼が孤独な英国貴族であるという一面も思い出してみてください。
関連トピック
エドガー・ライス・バローズ: 『類人猿ターザン』の原作者。彼はターザン・シリーズの他にも、SF小説『火星のプリンセス(火星シリーズ)』の作者としても知られています。
ジョニー・ワイズミュラー: ターザン役の代名詞となった俳優であり、オリンピック金メダリスト。彼の功績は計り知れません。
ディズニー映画『ターザン』(1999年): フィル・コリンズの音楽が印象的な長編アニメーション。ターザンの成長と葛藤をダイナミックな映像で描いた傑作です。
ジャングル・ブック: ラドヤード・キップリングによる小説。同じくジャングルで動物(狼)に育てられた少年「モーグリ」の物語であり、ターザンとしばしば比較されます。
関連資料
『類人猿ターザン』 (エドガー・ライス・バローズ著 / 創元SF文庫など): すべての原点となった小説。映画やアニメとは異なる、知性的で時に冷酷なターザンの姿が描かれています。
『ターザン』 (1999年) [Blu-ray/DVD]: ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ製作の長編アニメーション。家族で楽しめるエンターテイメント作品です。
『類猿人ターザン』 (1932年) [DVD]: ジョニー・ワイズミュラーが初めてターザンを演じた映画。伝説の雄叫びと、モーリン・オサリヴァン演じるジェーンとのロマンスが描かれます。