YouTubeで見る「シャーロック・ホームズの冒険」!決定版と名高いグラナダTV版を徹底解説
「シャーロック・ホームズの冒険」グラナダTV版の概要
『シャーロック・ホームズの冒険』(原題: The Adventures of Sherlock Holmes など、シリーズ名を変遷)は、1984年から1994年にかけてイギリスのグラナダTVが制作・放送した、アーサー・コナン・ドイルの原作小説に最も忠実と評されるテレビドラマシリーズです。
名優ジェレミー・ブレットが演じるシャーロック・ホームズは、その容姿、仕草、そして複雑な内面までも原作から抜け出てきたかのようだと絶賛され、世界中のホームズファンから「決定版」と称賛されました。
物語は、ヴィクトリア朝時代のロンドン、ベーカー街221Bを拠点とする名探偵シャーロック・ホームズが、その驚異的な観察力と推理力で、相棒のジョン・H・ワトスン医師と共に数々の難事件を解決していく姿を描いています。
徹底した時代考証に基づく美術セットや衣装、そして原作の雰囲気を損なわない重厚な演出が特徴です。
「シャーロック・ホームズの冒険」印象的なオープニングテーマ
(※パトリック・ゴワーズ作曲による、ヴァイオリンが印象的な有名なテーマ曲)
作品詳細(放送時期・シリーズ構成)
本シリーズは、イギリスのITVネットワークで放送されました。
制作はグラナダ・テレビジョン。
原作はもちろん、アーサー・コナン・ドイル卿によるシャーロック・ホームズシリーズです。
グラナダTV版は、原作短編・長編の多くを映像化することを目指し、非常に高いクオリティで制作されました。
シリーズは以下のタイトルで放送されました。
- 『シャーロック・ホームズの冒険 (The Adventures of Sherlock Holmes)』 (1984–1985)
- 『シャーロック・ホームズの帰還 (The Return of Sherlock Holmes)』 (1986–1988)
- 『シャーロック・ホームズの事件簿 (The Case-Book of Sherlock Holmes)』 (1991–1993)
- 『シャーロック・ホームズの思い出 (The Memoirs of Sherlock Holmes)』 (1994)
全シリーズ合計で41本の長編・短編エピソードが制作されました。
特筆すべきは、当時のテレビドラマとしては異例なほど、原作のセリフやプロット、雰囲気を忠実に再現しようと努めた点です。
ロケ撮影も積極的に行われ、ヴィクトリア朝ロンドンの陰鬱で魅力的な雰囲気が見事に再現されています。
主演のジェレミー・ブレットは、ホームズ役を完璧に演じるために心血を注ぎ、その鬼気迫る演技は伝説となっています。
「シャーロック・ホームズの冒険」の主要キャスト
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シャーロック・ホームズ (Sherlock Holmes): ジェレミー・ブレット (Jeremy Brett)
ベーカー街221Bに住む世界唯一の諮問探偵。鋭い観察眼と演繹法で事件を解決する。
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ジョン・H・ワトスン医師 (Dr. John H. Watson): デビッド・バーク (David Burke) [冒険・帰還の一部] / エドワード・ハードウィック (Edward Hardwicke) [帰還の一部以降]
ホームズの親友であり、伝記作家。元軍医。ホームズの捜査を手伝い、その活躍を記録する。
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ハドスン夫人 (Mrs. Hudson): ロザリー・ウィリアムズ (Rosalie Williams)
ベーカー街221Bの大家。ホームズとワトスンの身の回りの世話をする。忍耐強い女性。
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レストレード警部 (Inspector Lestrade): コリン・ジェヴォンズ (Colin Jeavons)
スコットランドヤードの警部。ホームズの能力を認めつつも、ライバル心を燃やすこともある。
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マイクロフト・ホームズ (Mycroft Holmes): チャールズ・グレイ (Charles Gray)
ホームズの実兄。政府の要職にあるとされる、ホームズ以上の推理力を持つ(とされる)人物。
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ジェームズ・モリアーティ教授 (Professor James Moriarty): エリック・ポーター (Eric Porter)
ホームズの宿敵。「犯罪界のナポレオン」と呼ばれる悪の天才。
キャストの他の代表作品名
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ジェレミー・ブレット:
- 『マイ・フェア・レディ (My Fair Lady)』(映画、フレディ役)
- 『戦争と平和 (War and Peace)』(1956年版映画)
- イギリスでの多数の舞台出演
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デビッド・バーク (初代ワトスン):
- 『クルーソー (Crusoe)』(映画)
- イギリスのテレビドラマ、舞台に多数出演。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーにも所属。
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エドワード・ハードウィック (二代目ワトスン):
- 『ジャッカルの日 (The Day of the Jackal)』(映画)
- 『リチャード三世 (Richard III)』(1995年版映画)
- 『愛と哀しみの果て (Out of Africa)』(映画)
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チャールズ・グレイ (マイクロフト役):
- 『007 ダイヤモンドは永遠に (Diamonds Are Forever)』(映画、ブロフェルド役)
- 『ロッキー・ホラー・ショー (The Rocky Horror Picture Show)』(映画、犯罪学者/ナレーター役)
「シャーロック・ホームズの冒険」の評価と影響(まとめ)
グラナダTV版『シャーロック・ホームズの冒険』は、数あるホームズ映像化作品の中でも、原作ファンから最も高い評価と愛情を受けているシリーズです。
ジェレミー・ブレットによる、神経質で知的、時にエキセントリックでありながら人間的な苦悩も垣間見せるホームズ像は、後世のホームズ像に決定的な影響を与えました。
デビッド・バーク、エドワード・ハードウィックによる二人のワトスンも、それぞれ異なる魅力を持ちながら、ホームズの良き相棒として物語に深みを与えています。
ヴィクトリア朝時代の再現にかける情熱、原作への敬意、そしてキャスト・スタッフの高い技量が結実した本作は、単なるミステリードラマを超えた、英国テレビドラマ史に残る傑作と言えるでしょう。
放送終了から年月を経てもなお、世界中で繰り返し再放送され、新たなファンを獲得し続けています。
「シャーロック・ホームズの冒険」関連商品
不朽の名作を自宅で楽しむ。
DVD / Blu-ray
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『シャーロック・ホームズの冒険』全シリーズを収録したコンプリートDVD-BOXやBlu-ray BOXが、ハピネット・ピクチャーズなどから発売されています。
書籍
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アーサー・コナン・ドイルによる原作小説(新潮文庫、創元推理文庫など多数)。
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シリーズのメイキングやエピソード解説を収録した書籍(例:ピーター・ヘイニング著『シャーロック・ホームズの冒険 TV大全集』など)。
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ジェレミー・ブレットに関する伝記や写真集。