【おしゃれ㊙探偵 うんちく】エマ・ピールは二人いた?原題と邦題のギャップ、英国紳士スティードの秘密兵器

【おしゃれ㊙探偵 うんちく】エマ・ピールは二人いた?原題と邦題のギャップ、英国紳士スティードの秘密兵器

『おしゃれ㊙探偵』の概要

『おしゃれ㊙探偵』(原題: The Avengers)は、1960年代のイギリスを象徴する、世界的に大ヒットしたスパイテレビドラマです。

「スウィンギング・ロンドン」の洗練された雰囲気の中、伝統的な英国紳士ジョン・スティード(演:パトリック・マクニー)と、彼の相棒となる才色兼備の女性パートナーが、奇想天外な事件に挑みます。

特に有名なパートナーであるエマ・ピール(演:ダイアナ・リグ)のファッションと活躍は、当時のカルチャーに絶大な影響を与えました。

日本ではそのスタイリッシュな内容から『おしゃれ㊙探偵』という邦題がつけられましたが、原題とのギャップや制作の裏側には、多くの興味深い「うんちく」が隠されています。

『おしゃれ㊙探偵』の詳細うんちく

原題『The Avengers』と邦題のギャップ

本作の原題は『The Avengers』です。

これは直訳すると「復讐者たち」という意味になります。

シリーズ当初(シーズン1)は、主人公の妻を殺された医師デイビッド・キール(演:イアン・ヘンドリー)が、ジョン・スティードと共に悪に「復讐」するという、もっとハードボイルドな作風でした。

しかし、シーズン2以降、キール医師が降板し、スティードが主人公となってから、作風は徐々に洗練され、ユーモラスでシュールなものへと変化していきました。

日本で主に放送されたのは、エマ・ピールが登場するシーズン4以降の最もスタイリッシュな時期だったため、『おしゃれ㊙探偵』という秀逸な邦題が採用されました。

このため、後にマーベル・コミックの『アベンジャーズ』が映画化された際、往年の海外ドラマファンはタイトルに混乱することになりました。

英国紳士スティードの「秘密兵器」

主人公ジョン・スティードのトレードマークは、クラシックな山高帽(ボーラーハット)と、常に携えている傘です。

彼は一見、伝統的な英国紳士そのものですが、単なる伊達男ではありません。

彼の持つ山高帽は、しばしば縁が鋼鉄で補強されており、投げて敵を攻撃する武器(フライングハット)として使用されました。

そして傘には、敵を突くための仕込み剣(スティック・ソード)が隠されているのがお決まりでした。

パトリック・マクニーは「スティードは銃を持たない」というルールを徹底し、あくまで紳士的な(?)小道具で戦うスタイルを貫きました。

伝説のパートナー「エマ・ピール」は二人いた?

本作の人気を決定づけたのは、シーズン4から登場したジョン・スティードの3人目のパートナー、エマ・ピール夫人です。

彼女は科学者であり、武術(空手やカンフー)の達人でもあり、知性と行動力を兼ね備えた、当時としては革新的な女性像でした。

ダイアナ・リグが演じたエマ・ピールは、ピエール・カルダンなどがデザインした「ピール・スーツ」と呼ばれるレザージャンプスーツや、スタイリッシュなミニスカート姿で一世を風靡しました。

しかし、実はダイアナ・リグが演じる前に、エリザベス・シェパードという女優が一度エマ・ピール役として撮影に参加していました。

パイロット版の撮影後、制作陣は彼女の演技がスティードと化学反応を起こさないと判断し、急遽ダイアナ・リグに交代させたのです。

もしこの交代がなければ、私たちが知る『おしゃれ㊙探偵』のイメージは全く違うものになっていたかもしれません。

モノクロからカラーへ

『おしゃれ㊙探偵』の歴史は、テレビ放送の技術的な変遷と重なっています。

初期のシーズン1からシーズン3(キャシー・ゲイルの時代)、そしてエマ・ピールが登場したシーズン4まではモノクロ(白黒)で制作されました。

エマ・ピール人気の高まりと共に、シーズン5(1967年)から番組は待望のカラー放送に移行します。

これにより、スウィンギング・ロンドンの鮮やかなファッションや、シュールなセットデザインがより際立つことになりました。

最後のパートナー「タラ・キング」

エマ・ピール役のダイアナ・リグは、世界的な人気スターとなったことで、映画界(『女王陛下の007』のボンドガールなど)へ進出するため、シーズン5で番組を降板します。

シーズン6からは、リンダ・ソーソン演じる若き新米エージェント「タラ・キング」が、スティードの新しいパートナーとして登場しました。

彼女はエマ・ピールとは異なる、若々しく活動的な魅力でスティードをサポートしました。

参考動画

まとめ

『おしゃれ㊙探偵』は、1960年代という時代が持つエネルギー、革新性、そして英国ならではのウィットとユーモアが結晶化した奇跡のような作品です。

伝統(スティード)と革新(エマ・ピール)という二人の主人公の絶妙なコンビネーション、そして現実離れしたシュールな事件の数々は、他のどのスパイ作品にもない独特の世界観を生み出しました。

エマ・ピールが提示した「戦うヒロイン」像は、『チャーリーズ・エンジェル』をはじめとする後の無数の作品に受け継がれています。

今見てもまったく古びないその「おしゃれ」な感覚は、まさにテレビ史に残る金字塔と言えるでしょう。

関連トピック

ジョン・スティード(パトリック・マクニー): 英国紳士の象徴。山高帽と傘を操る、決して銃を持たないスパイ。彼のスタイルは本作の核でした。

エマ・ピール(ダイアナ・リグ): テレビ史上最も有名なヒロインの一人。武術の達人で、レザーのジャンプスーツを着こなすファッションアイコン。後の「戦う女性」像の原型を作りました。

キャシー・ゲイル(オナー・ブラックマン): エマ・ピールの前にスティードのパートナーを務めた女性。彼女もまた柔術を使いこなし、後の『007 ゴールドフィンガー』のボンドガールに抜擢されました。

タラ・キング(リンダ・ソーソン): エマ・ピールの後任を務めた最後のパートナー。若きエージェントとして活躍しました。

スウィンギング・ロンドン: 1960年代のロンドンの活気に満ちた文化。本作のファッション、音楽、アートディレクションは、まさにその時代を体現しています。

関連資料

おしゃれ㊙探偵(The Avengers) コンプリートBlu-ray/DVD BOX: エマ・ピール期(シーズン4〜5)やタラ・キング期(シーズン6)など、各シーズンをまとめたボックスセット。高画質で60年代のファッションと映像美を楽しめます。

The Avengers: The Original Soundtrack [CD]: ローリー・ジョンソンが手掛けた、あの有名でスリリングなテーマ曲や劇中音楽を収録したサウンドトラック。

『The Avengers: A Celebration』 [洋書]: 撮影の裏側、キャストのインタビュー、豊富な写真資料が掲載された決定版のメイキング本。

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