『電撃スパイ作戦』の面白うんちく!超能力はチベット製?豪華声優陣と「S」じゃない方のITCスパイ秘密を徹底解説

『電撃スパイ作戦』の面白うんちく!超能力はチベット製?豪華声優陣と「S」じゃない方のITCスパイ秘密を徹底解説

『電撃スパイ作戦』の概要

『電撃スパイ作戦』(原題: The Champions)は、1968年から1969年にかけてイギリスのITCによって制作された、全30話のスパイ・アクションドラマです。

国際諜報機関「ネメシス」に所属する3人のエージェントが、超人的な能力を駆使して困難な事件に挑むという、当時としては斬新な「SFスパイもの」としてカルト的な人気を誇ります。

『秘密指令S』と同時期に制作・放送されたため混同されがちですが、こちらは「超能力」が明確なテーマとなっています。

日本では1968年にフジテレビ系列で放送され、そのスタイリッシュな魅力と豪華な声優陣で人気を博しました。

『電撃スパイ作戦』の詳細うんちく

うんちく1: 超能力の「起源」はチベット!

このドラマの最大の特徴である「超能力」は、第1話でその誕生秘話が描かれます。

ジュネーブに本部を置く国際諜報機関「ネメシス」のエージェント、クレイグ、シャロン、リチャードの3人は、中国での細菌兵器開発を阻止する任務の帰り、乗っていた飛行機がヒマラヤ山中で墜落してしまいます。

瀕死の3人を発見したのは、雪山に隠れ住む謎の高度な文明を持つ民族でした。

彼らの治療を受けた3人は奇跡的に生還するだけでなく、超人的な能力を授けられていたのです。

これが原題である The Champions(=超越者、勝利者)の由来ともなっています。

うんちく2: 独特すぎる「超能力」の秘密

3人が授かった超能力は、テレポーテーションやサイコキネシスのような派手なものではありません。

彼らの能力は、主に以下の3つに分類されます。

  1. 超人的な五感: 遠くの音を聞き分ける聴力、暗闇でも物が見える暗視力、触れるだけで残留思念を感じ取る触覚など。

  2. 超人的な身体・知的能力: 驚異的な怪力、銃弾を(ある程度)弾く強靭な肉体、複雑な計算を一瞬でこなす知力、本のページを高速でめくるだけで記憶する速読能力。

  3. テレパシー: 3人の「チャンピオン」間でのみ可能な意思疎通。

特にユニークなのが「テレパシー」の描写です。

視聴者に分かりやすくするため、彼らは声に出して会話する形でテレパシーを行います。

そのため、一見するとただの仲間割れや独り言にしか見えず、敵や周囲の人物を油断させるというコミカルな演出にも一役買っていました。

うんちく3: 上司だけが超能力を知らない

3人が所属する「ネメシス」の上司、トレメイン部長は、彼らが超能力を持っているという重大な事実に、シリーズ全30話を通して最後まで一切気づきません。

彼は3人が困難な任務から生還するたびに「君たちは本当に優秀なエージェントだ!」と褒め称えますが、その裏で超人的な力が使われているとは夢にも思っていません。

この「上司だけが知らない」という設定が、シリアスなスパイ劇の中に絶妙なユーモアを生み出していました。

うんちく4: 豪華すぎる!日本版「レジェンド声優陣」

日本での放送時、本作の人気を不動のものにしたのが、当時のテレビ吹き替え界の「アベンジャーズ」とも言うべき超豪華な声優陣です。

  • クレイグ・スターリング(中田浩二): 『攻殻機動隊』の荒巻大輔などで知られる、渋く知的な声の第一人者。

  • シャロン・マクレディ(池田昌子): オードリー・ヘプバーンや『銀河鉄道999』のメーテル役であまりにも有名な、透明感のある声の持ち主。

  • リチャード・バレット(羽佐間道夫): シルヴェスター・スタローン(ロッキー役)の公認声優として知られる、軽妙かつ熱い声が魅力の名優。

  • トレメイン部長(久松保夫): 『秘密指令S』のジェイソン・キング役など、威厳あるボス役を多く務めたレジェンド。

  • ナレーター(矢島正明): 『スパイ大作戦』の「なお、このテープは…」のナレーションで知られる、日本で最も有名なナレーターの一人。

この「チャンピオン」級の布陣による吹き替えは、日本のドラマファンの間で伝説となっています。

うんちく5: 『エスパイ』との奇妙な偶然

「超能力を持つスパイチーム」という設定は、日本のSF界の巨匠・小松左京が1964年に発表した小説『エスパイ』と非常に酷似しています。

本作の放送は1968年であり、『エスパイ』の方が先に発表されています。

ただし、『エスパイ』の能力が先天的なものであるのに対し、『電撃スパイ作戦』は後天的に授かった能力であるという大きな違いがあります。

うんちく6: ベン・スティラー&ケイト・ブランシェットで映画化?

2021年には、この『電撃スパイ作戦』を、俳優のベン・スティラーが監督・主演、ケイト・ブランシェットが共演するという形で映画リメイクする企画が進行中であると報じられました。

60年代のカルトドラマが、現代のトップスターによってどう生まれ変わるのか、ファンからの期待が寄せられています。

参考動画

まとめ

『電撃スパイ作戦』は、スパイブームの真っ只中に「超能力」というSF要素を大胆に持ち込み、新たなジャンルを開拓したイギリスITCの意欲作です。

スタイリッシュな映像、印象的なテーマ曲(作曲:トニー・ハッチ)、そして「チベットで超能力を授かる」という荒唐無稽ながらもロマンあふれる設定は、今見ても色褪せない魅力を持っています。

そして日本では、池田昌子、中田浩二、羽佐間道夫らレジェンド声優陣による「声の競演」こそが、本作を忘れられない名作ドラマに押し上げた最大の「うんちく」と言えるでしょう。

関連トピック

ITC (Incorporated Television Company): 『サンダーバード』『謎の円盤UFO』『プリズナーNo.6』『秘密指令S』など、数々の名作を制作したイギリスのテレビ制作会社です。

秘密指令S: 本作と同時期に放送されたITC制作のスパイもの。本作と混同されやすいですが、こちらは超能力要素はありません。

スパイ大作戦 (Mission: Impossible): アメリカ制作のスパイものドラマの金字塔。ナレーターが同じ矢島正明氏であることも、当時のファンを熱狂させました。

アレクサンドラ・バステドー: 紅一点のシャロンを演じた女優。その美貌で世界的に人気を博しました。

関連資料

『電撃スパイ作戦』コンプリートDVD-BOX: 全30話を収録。豪華声優陣による日本語吹き替えも(一部のエピソードを除き)収録されています。

ITC作品関連ムック本: 『謎の円盤UFO』や『サンダーバード』などと共に、ITC作品の一つとして制作背景やトリビアが紹介されています。

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