YouTubeで「都市と都市 (The City & The City)」を徹底解説!概要からキャスト、関連商品まで

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「都市と都市」とは?

『都市と都市』(原題: The City & the City)は、2018年にイギリスのBBC Twoで放送された、全4話構成のSFミステリー・ミニシリーズです。

原作は、「奇想小説の巨匠」として知られるイギリスの作家チャイナ・ミエヴィルが、世界幻想文学大賞やアーサー・C・クラーク賞など数々の賞を受賞した同名の傑作SF小説です。

物語の舞台は、東ヨーロッパのどこかに存在する二つの都市国家、「ベジェル(Beszel)」と「ウル・コーマ(Ul Qoma)」です。

この二つの都市は、物理的には同じ空間、同じ場所を共有しながらも、住民たちは法と習慣によって互いを「アンシーン(見ない)」こと、つまり「無視」することを強制されています。

同じ通りを共有していても、ベジェルの住民はウル・コーマの建物や住民を認識してはならず、その逆も同様です。

この絶対的なルールを破ることは「境界侵害(ブリーチ)」と呼ばれ、両都市の住民から等しく恐れられる謎の監視機関「ブリーチ」によって即座に拘束され、存在を消されてしまいます。

物語は、この奇妙な都市ベジェルの過激犯罪課に所属する主人公、タイアドール・ボルル警部が、ある女性の惨殺死体を発見するところから始まります。

捜査を進めるうち、ボルルはこの事件が、もう一つの都市ウル・コーマ、さらには二つの都市の間に存在するかもしれないという伝説の「第三の都市」の陰謀と深く関わっていることを知ります。

「都市と都市」のオープニング(公式予告編)

本作の持つ、シュールで不穏な雰囲気と、二つの都市が物理的に重なり合う独特の世界観は、BBCが公開した公式予告編で垣間見ることができます。

互いを「アンシーン(見ない)」ように努める住民たちの奇妙な視線や、ぼかされた映像表現が印象的です。

「都市と都市」の詳細

本作の最大の魅力であり、同時に最も難解な点は、この「二重都市」の設定そのものです。

ベジェルは、東欧の衰退した都市のような陰鬱な雰囲気を持ち、古い建物や服装が目立ちます。

一方、ウル・コーマは、近代的で活気があり、ネオンがきらめく先進的な都市として描かれます。

これら二つの都市は、場所によっては明確に国境線で区切られていますが、多くの場所では「クロスハッチ」と呼ばれるエリアで物理的に混在しています。

住民たちは、幼少期からの訓練により、自分の都市に属さないものを自動的に「アンシーン(背景化)」する能力を身につけています。

例えば、ベジェルの住民が道を歩いている時、隣をウル・コーマの車が通っても、それは「見えない」ものとして処理されます。

もし誤って認識してしまえば(あるいは故意に見れば)、それは「境界侵害(ブリーチ)」となります。

主人公のボルル警部は、殺人事件の捜査のため、史上初めて両都市の警察による合同捜査の許可を得て、合法的に「国境」を越え、ウル・コーマへと入ります。

彼は、ウル・コーマ側の担当刑事であるリゼータ・ギアツ巡査部長と反目しながらも、事件の裏に隠された、この世界の根幹を揺るがす巨大な陰謀に迫っていきます。

ドラマ版は、この極めて観念的で映像化が困難とされる設定を、巧みなカメラワーク、色彩設計(ベジェルは色褪せたトーン、ウル・コーマは鮮やかなトーン)、そして焦点のぼかし(アンシーンなものを意図的にピンボケさせる)といった視覚効果を駆使して見事に表現しています。

単なるSFミステリーではなく、冷戦時代のベルリンや、現代社会における様々な「見えない壁」や「分断」を暗喩する、知的な寓話としても機能しています。

「都市と都市」のキャストと代表作品

この難解な世界観にリアリティを与えているのは、イギリスの実力派キャスト陣の抑制された演技です。

タイアドール・ボルル警部 / デヴィッド・モリッシー (David Morrissey)

  • 登場人物: タイアドール・ボルル
  • キャスト: デヴィッド・モリッシー
  • 概要: 本作の主人公。ベジェルの過激犯罪課に所属する、疲れ切った中年の警部。正義感が強いが、二重都市の不条理なルールの中で疲弊しています。殺人事件をきっかけに、世界の真実に迫ります。
  • 主な代表作品:
    • 『ウォーキング・デッド』(ドラマ / 総督(ガバナー)役)
    • 『ステート・オブ・プレイ〜陰謀の構図〜』(ドラマ)
    • 『ブリッツ』(映画)

リゼータ・ギアツ巡査部長 / ララ・パルヴァー (Lara Pulver)

  • 登場人物: リゼータ・ギアツ
  • キャスト: ララ・パルヴァー
  • 概要: もう一つの都市、ウル・コーマの警察官。ボルルの合同捜査のパートナーとなる。冷徹で有能だが、ベジェル出身のボルルを信用していません。
  • 主な代表作品:
    • 『SHERLOCK(シャーロック)』(ドラマ / アイリーン・アドラー役)
    • 『ダ・ヴィンチと禁断の謎』(ドラマ / クラリーチェ・オルシーニ役)
    • 『MI-5 英国機密諜報部』(ドラマ)

ガードシュ大佐 / ダニー・ウェブ (Danny Webb)

  • 登場人物: ガードシュ大佐
  • キャスト: ダニー・ウェブ
  • 概要: ボルルの上司であり、ベジェル警察の良心的存在。ボルルの捜査を擁護しますが、彼自身も政治的な圧力に晒されています。
  • 主な代表作品:
    • 『エイリアン3』(映画 / モース役)
    • 『ドクター・フー』(ドラマ)
    • 『リッパー・ストリート』(ドラマ)

「都市と都市」の社会的評価と影響

『都市と都市』は、その野心的な試みと、映像化不可能とも思われた原作の世界観を忠実に、かつスタイリッシュに描き切ったことで、批評家から非常に高い評価を受けました。

特に、主演のデヴィッド・モリッシーの「疲れ切っているが意志の強い男」の演技と、フィルム・ノワールを彷彿とさせる重厚な雰囲気が絶賛されました。

原作の持つ政治的・社会的な寓意(分断、移民問題、見て見ぬふりをする現代社会)を、SFミステリーの枠組みの中で見事に表現した点が、BBCドラマの真骨頂であると評価されています。

一方で、その独特すぎる設定ゆえに、「難解すぎる」「設定を理解するのに時間がかかる」といった視聴者からの戸惑いの声も一部でありました。

しかし、一度そのルールを理解し始めると、他に類を見ない知的な視聴体験ができるとして、カルト的な人気を誇る作品となっています。

「都市と都市」の関連商品

本作の最も重要な関連商品は、言うまでもなくチャイナ・ミエヴィルによる原作小説『都市と都市』(早川書房 ハヤカワ文庫SF)です。

この小説は、世界幻想文学大賞、英国SF協会賞、アーサー・C・クラーク賞、ローカス賞など、数々の権威ある文学賞を受賞しており、ドラマで難解だと感じた設定や世界の詳細を、より深く理解することができます(日本語翻訳版も刊行されています)。

映像作品については、イギリス本国ではDVDがリリースされています。

日本国内でのDVDやBlu-ray(ブルーレイ)の公式な発売は、2025年現在、広く流通している状況ではありません。

日本での視聴は、動画配信サービスが中心となります。過去にAmazon Prime Videoの「BBC Player」チャンネルや、U-NEXT(ユーネクスト)、Hulu(フールー)などで配信されていた実績があります(配信状況は時期によって変動します)。

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