【徹底解説】アニメ『原始家族フリントストーン』元祖大人向けアニメ!あらすじから実写版、ヤバダバドゥーの秘密まで総まとめ
概要
『原始家族フリントストーン』(原題:The Flintstones)は、1960年から1966年にかけてアメリカABCネットワークで放送されたテレビアニメシリーズです。
制作は、『トムとジェリー』の生みの親であり、テレビアニメ界の覇者となったハンナ・バーベラ・プロダクション。
本作の歴史的意義は計り知れません。それまで「アニメは子供が見るもの(週末の朝や夕方放送)」という常識を覆し、史上初めてゴールデンタイム(プライムタイム)に放送され、大人たちを夢中にさせたアニメ番組なのです。
舞台は石器時代の町「ベッドロック」。
しかし、そこで描かれるのは、テレビ、車、ボウリング、サラリーマンの悲哀、ご近所付き合いといった、放送当時(1960年代)のアメリカの中流家庭そのものでした。
恐竜をペットにし、石の車を足で漕いで走らせながら、現代社会のパロディを展開するこの「シットコム(シチュエーション・コメディ)アニメ」のスタイルは、後の『シンプソンズ』や『ファミリー・ガイ』の基礎を築きました。
日本でも1961年から放送され、その陽気なキャラクターとユニークなガジェット(恐竜家電など)で大人気となりました。
また、1994年にはジョン・グッドマン主演の実写映画版も大ヒットを記録しています。
半世紀以上経っても色褪せないこの名作について、あらすじからキャラクター、知られざるトリビアまで徹底解説します。
オープニング
YouTubeにて、あまりにも有名な主題歌「Meet The Flintstones」のオープニング映像を確認できます。
仕事が終わり、恐竜の背中を滑り降りてタイムカードを押すフレッドの姿は、アニメ史に残る名シーンです。
詳細(徹底解説)
あらすじと世界観:石器時代のモダン・ライフ
物語の舞台は、石器時代の郊外住宅地「ベッドロック(Bedrock)」。
主人公のフレッド・フリントストーンは、採石会社で働く平凡なサラリーマンです。
愛する妻ウィルマ、娘のペブルス、そしてペットの恐竜ディノと共に、石造りのマイホームで暮らしています。
隣の家に住む親友バーニー・ラブル一家とは家族ぐるみの付き合いで、フレッドとバーニーは毎晩のようにボウリングやビリヤードに興じたり、妻たちに内緒で遊びに行こうとして失敗したりと、ドタバタな日常を繰り広げます。
この作品の最大の発明は、「石器時代なのに高度な文明がある」というギャグ設定です。
- 車:丸太のタイヤが付いているが、エンジンはなく、搭乗者が足で地面を蹴って走る(止まる時も足ブレーキ)。
- 家電:恐竜や動物を使役して家電に見立てている。
(例:ディスポーザー=ブタのような動物がゴミを食べる、シャワー=マンモスの鼻から水が出る、レコードプレーヤー=鳥のくちばしを針にする)
これらの「ハイテクなのかローテクなのかわからない」描写が、視聴者の笑いを誘いました。
元祖「大人向けアニメ」としての側面
本作は元々、実写の人気シットコム『ハネムーン・スペラーズ(The Honeymooners)』をモデルに制作されました。
そのため、扱われるテーマは「昇進の悩み」「夫婦喧嘩」「不妊の悩み(バーニーたちが養子を迎えるエピソードがある)」「ギャンブル依存」など、非常に人間臭く、大人の共感を呼ぶものが多く含まれています。
初期のスポンサーにはタバコブランド(ウィンストン)が付いており、フレッドとバーニーがCMでタバコを吸っていたことからも、ターゲットが大人であったことがわかります。
実写映画版の成功
1994年にスティーヴン・スピルバーグ製作総指揮で公開された実写映画『フリントストーン/モダン石器時代』も外せません。
主演のジョン・グッドマンは、アニメのフレッドがそのまま現実世界に出てきたかのような完璧なヴィジュアルと声で、「ハマり役」として絶賛されました。
CG技術とアニマトロニクス(ジム・ヘンソン・クリーチャー・ショップ担当)を駆使したリアルな恐竜や、アニメの世界観を忠実に再現した美術セットは、今見ても驚くべきクオリティです。
制作秘話・トリビア
- 「ヤバダバドゥー!」の誕生:フレッドの有名な決め台詞「Yabba Dabba Doo!」は、当初の脚本では単に「Yahoo!」と書かれていました。しかし、声優のアラン・リードが「もっとインパクトのある言葉にしたい」とアドリブで発したのがこの言葉であり、監督が気に入って採用されたと言われています。
- ジェットソンとの関係:同じハンナ・バーベラ作品で、未来世界を描いた『宇宙家族ジェットソン』とは対になる存在です。後にクロスオーバー作品『ジェットソン&フリントストーン』も制作され、石器時代と未来の家族が出会う夢の共演が実現しました。
キャストとキャラクター紹介
フレッド・フリントストーン (Fred Flintstone)
声:アラン・リード / 吹替:大平透 ほか
主人公。採石場のクレーン操縦士。
短気で大声で怒鳴り散らすが、愛妻家で涙もろい一面も。典型的な「ブルーカラーの頑固親父」。
ボウリングとゴルフが趣味。決め台詞は「ヤバダバドゥー!」。
ウィルマ・フリントストーン (Wilma Flintstone)
声:ジーン・ヴァンダー・ピル / 吹替:向井真理子 ほか
フレッドの妻。しっかり者で、フレッドの無謀な計画を冷静にたしなめる。
実はフレッドよりも腕っぷしが強い描写があるなど、強いアメリカの主婦を象徴している。
バーニー・ラブル (Barney Rubble)
声:メル・ブランク / 吹替:野本礼三 ほか
フレッドの親友で隣人。小柄で温厚な性格。
フレッドの巻き添えを食らうことが多いが、二人の友情は固い。笑い声が特徴的。
ベティ・ラブル (Betty Rubble)
バーニーの妻。ウィルマの親友で、よく一緒に行動している。
常にクスクス笑っている愛らしい性格。
ディノ (Dino)
フリントストーン家のペット。恐竜だが、振る舞いは完全に「犬」。
フレッドが帰宅すると飛びついて顔を舐め回すのがお約束。
まとめ(社会的評価と影響)
『原始家族フリントストーン』は、アニメーションを「子供の娯楽」から「家族全員のエンターテインメント」へと昇華させた歴史的作品です。
アメリカのテレビガイド誌が選ぶ「史上最高のテレビアニメ」ランキングでは常に上位にランクインし、その文化的影響力は計り知れません。
足で漕ぐ車、骨付き肉、そして「ヤバダバドゥー」という言葉は世界共通語となり、現代においてもアパレルブランドとのコラボや、シリアルのパッケージなどでその姿を見かけない日はありません。
シンプルながらも温かい家族の絆を描いた本作は、いつの時代に見ても安心して笑える、ホームコメディの原点にして頂点と言えるでしょう。
作品関連商品
- LEGO:『レゴ アイデア 原始家族フリントストーン 21316』が発売され、フリントストーン家と石の車がレゴで再現されました(現在は廃盤・プレミア化の傾向あり)。
- サプリメント:アメリカでは子供用ビタミン剤の代名詞として「Flintstones Vitamins」が定着しており、お土産としても人気です。
- DVD/Blu-ray:アニメ版のコンプリートBOXや、実写映画版のBlu-rayがワーナー・ブラザースより発売中。

