伝説の始まり!ドラマ『逃亡者』第1話「砂漠の逃亡者」あらすじと見どころ徹底解説
ドラマ『逃亡者』第1話の概要
1963年から1967年にかけてアメリカで放送され、日本でも社会現象を巻き起こした伝説のテレビドラマ『逃亡者(The Fugitive)』。
その記念すべき第1話である「砂漠の逃亡者(原題:Fear in a Desert City)」は、無実の罪で死刑判決を受けた医師リチャード・キンブルの、果てしない逃走劇の幕開けを告げる重要なエピソードです。
最高視聴率50%以上を記録したこのシリーズは、単なるサスペンスアクションにとどまらず、逃亡先で出会う人々とのヒューマンドラマが高い評価を受けています。
第1話では、妻殺しの濡れ衣を着せられ、警察の執拗な追跡から逃れながら真犯人「片腕の男」を捜し求めるキンブルが、潜伏先のアリゾナ州ツーソンで一人の女性を救うために危険を冒す姿が描かれます。
本記事では、世界中の視聴者を釘付けにしたこのパイロット版(第1話)のあらすじ、豪華なゲストスター、そして作品が持つ普遍的な魅力について深く掘り下げていきます。
「砂漠の逃亡者」の詳細とあらすじ
物語の背景と導入
物語は、主人公リチャード・キンブル(デビッド・ジャンセン)が警察の護送列車から脱走して6ヶ月が経過した時点から始まります。
キンブルは妻ヘレンを殺害した罪で死刑判決を受けていますが、彼は無実であり、犯行現場から逃げ去った「片腕の男」こそが真犯人だと主張しています。
しかし、その訴えは聞き入れられず、彼は孤独な逃亡者として全米各地を転々としながら、真犯人の手がかりを探し続けています。
ツーソンでの潜伏と出会い
第1話の舞台は、荒涼とした砂漠に囲まれた街、アリゾナ州ツーソンです。
キンブルは「ジェームズ・リンカーン」という偽名を使い、バーテンダー兼配達員としてひっそりと働いていました。
彼はその店でピアノを弾く女性、モニカ・ウェルズ(ヴェラ・マイルズ)と親しくなります。
モニカには幼い息子マークがいますが、夫のエド・ウェルズ(ブライアン・キース)とは別居中でした。
エドは地元の有力者であると同時に、支配的で暴力的な性格の持ち主であり、モニカに対して執拗なストーカー行為を繰り返していました。
キンブルの葛藤と決断
本来であれば、目立たず誰とも深く関わらずに過ごすべきキンブルですが、医師としての良心と持ち前のヒューマニズムから、苦しむモニカを見捨てることができません。
エドの暴力からモニカと息子を守ろうとするキンブルの行動は、やがてエドの嫉妬と疑念を買い、警察に通報されるリスクを高めてしまいます。
一方で、キンブルを執拗に追うインディアナ州警察のフィリップ・ジェラード警部(バリー・モース)は、逃亡者の情報を嗅ぎつけ、徐々に包囲網を狭めていました。
ジェラード警部は「法こそが正義」という信念を持つ男であり、キンブルの無実を信じてはいませんが、彼を捕らえることこそが自らの義務であると確信しています。
緊迫のクライマックス
エドとの対立が決定的となり、警察の介入が避けられない状況となった時、キンブルは再び街を去る決意をします。
しかし、彼が去った直後、ジェラード警部がツーソンに到着します。
間一髪の差で逃亡に成功するキンブル。
バスの車窓から夜の闇を見つめる彼の表情には、安堵と同時に、いつ終わるとも知れない孤独な旅への覚悟が滲んでいました。
この第1話は、自分自身の身が危うい状況でも他者を助けようとするキンブルの高潔な人間性と、彼を追うジェラード警部との緊迫した関係性を見事に提示し、シリーズの方向性を決定づけました。
豪華なゲストスター
第1話のゲストには、アルフレッド・ヒッチコック監督の『サイコ』で知られるヴェラ・マイルズがヒロイン役で、また『ファミリー・アフェア』の父親役で有名なブライアン・キースが敵役として出演しています。
映画級のキャストを揃えたことからも、当時の制作陣がこのドラマにかけた意気込みが伝わってきます。
『逃亡者』第1話の参考動画
まとめ
ドラマ『逃亡者』第1話「砂漠の逃亡者」は、単なる逃亡劇のスタート地点であるだけでなく、シリーズ全体を貫く「極限状態における人間愛」というテーマを象徴する名作です。
法に追われ、名を変え、定住することの許されない過酷な運命の中でも、キンブルは医師としての誇りと人間としての優しさを失いません。
その姿は、放送から半世紀以上が経過した現在でも、見る者の心を強く打ちます。
「正義とは何か」「法とは何か」を問いかけるこの作品は、サスペンスドラマの金字塔として、今なお色褪せない輝きを放っています。
もし未視聴であれば、ぜひこの第1話から、リチャード・キンブルの長い旅路を追体験してみてください。
関連トピック
リチャード・キンブル(デビッド・ジャンセン)
本作の主人公。小児科医でありながら妻殺しの汚名を着せられた逃亡者。演じるデビッド・ジャンセンの哀愁漂う演技が、視聴者の共感を呼びました。
フィリップ・ジェラード警部(バリー・モース)
キンブルを執拗に追う刑事。冷徹な職務遂行者として描かれますが、シリーズが進むにつれてキンブルとの間に奇妙な信頼関係のようなものが芽生えていきます。
片腕の男(フレッド・ジョンソン)
キンブルが目撃した真犯人。神出鬼没でなかなかその足取りがつかめない、シリーズ最大の謎でありキーパーソンです。
逃亡者 (1993年の映画)
ハリソン・フォードとトミー・リー・ジョーンズ主演でリメイクされた大ヒット映画。ドラマ版の設定をベースにしつつ、現代的なアクション映画として再構築されました。
クイン・マーチン(Quinn Martin)
本作の製作総指揮。各エピソードが「Act I」「Act II」と章立てで構成される独特のスタイル(QMプロダクション・スタイル)を確立し、テレビドラマの品質を向上させました。
関連資料
DVD『逃亡者 シーズン1』
第1話を含む初期エピソードが収録されたDVDボックス。デジタルリマスター版などが発売されており、当時の映像美を確認できます。
書籍『逃亡者―The Fugitive』
ドラマのノベライズや解説本。放送当時の社会背景や撮影秘話などが詳細に記されています。
サントラ『The Fugitive: Original Television Soundtrack』
ピート・ルゴロによるジャズを基調とした緊張感あふれる劇伴音楽は、ドラマの雰囲気を決定づける重要な要素です。
映画『逃亡者』(Blu-ray)
アンドリュー・デイヴィス監督による1993年のリメイク映画。ドラマ版との違いを比較して楽しむのにおすすめです。
