【名作回】『逃亡者』第11話「ノースオークの悪夢」徹底解説！英雄行為が招いた絶体絶命の危機

「逃亡者」第11話「ノースオークの悪夢」の概要

1963年のテレビドラマ『逃亡者』の中でも、第11話「ノースオークの悪夢（原題：Nightmare at Northoak）」は、主人公リチャード・キンブルの「医師としての良心」と「逃亡者としての運命」が激しく対立する、シリーズ屈指の名作エピソードです。

この回では、キンブルが偶然遭遇したスクールバスの事故で子供たちを救出し、一躍「町の英雄」として称賛されてしまう皮肉な展開が描かれます。

感謝と賞賛が逆に彼を追い詰めるというサスペンスフルな構成と、真実を知った地元の保安官との心の交流が、視聴者の胸を熱くさせます。

本記事では、このエピソードのあらすじ、見どころ、そしてキンブルが見せた人間ドラマについて詳しく解説します。

物語は、森の中で眠っていたキンブルが、ジェラード警部に捕まる悪夢を見て飛び起きるところから始まります。

直後、彼の目の前でスクールバスがコントロールを失って事故を起こし、炎上し始めます。

キンブルは逃亡の身であることを顧みず、危険を冒して炎の中に飛び込み、子供たちと運転手を救出しますが、その過程で背中を負傷し、頭を打って意識を失ってしまいます。

「ノースオーク」という小さな町の人々は、身元不明の彼を英雄として迎え入れ、保安官のスプリンガー（フランク・オーヴァートン）とその妻ルース（ナンシー・ウィックワイヤー）は、彼を自宅で手厚く看護します。

しかし、これこそがキンブルにとっての真の「悪夢」の始まりでした。

町の新聞が英雄の写真を掲載しようとし、保安官は身元確認のために指紋照会を進めます。

やがてスプリンガー保安官は、彼が指名手配中のリチャード・キンブルであることを突き止めますが、彼に命を救われた子供たちの親や町の人々は、彼を逮捕することに猛反対します。

ジェラード警部が町に向かう中、法を執行する立場にある保安官としての義務と、目の前の「善人」を断罪することへの葛藤が、スプリンガーを苦しめます。

このエピソードは、単なる逃走劇ではなく、「正義とは何か」を問いかける重厚なヒューマンドラマとして仕上がっています。

第11話「ノースオークの悪夢」は、キンブルがただ逃げるだけの存在ではなく、どんな状況でも人命を優先する「真の医師」であることを証明するエピソードです。

特に、頑固で法を遵守するスプリンガー保安官が、キンブルの行動と町の人々の想いに触れ、最終的に下す決断は、シリーズの中でも最も感動的なシーンの一つと言えるでしょう。

「逃亡者」という作品が持つ、孤独の中にある温かさや、人間の善意に対する信頼が凝縮されたこの回は、初めて見る人にも、往年のファンにも強くおすすめできる一作です。

法と人情の狭間で揺れる男たちのドラマを、ぜひその目で確かめてください。

フランク・オーヴァートン：スプリンガー保安官を演じた名優。後に『スタートレック』などの人気シリーズにも出演し、重厚な演技で知られています。

ジェラード警部：バリー・モース演じる宿敵。今回は現地に到着する前にドラマが展開しますが、その「影」だけで圧倒的なプレッシャーを与えます。

善きサマリア人のジレンマ：困っている人を助けることで自分の正体が露見してしまうという、シリーズ全体を貫く悲劇的なテーマ。

逃亡者 DVD-BOX Season 1：本エピソードを含む初期の傑作群が高画質で収録されており、当時の空気感を存分に楽しめます。

The Fugitive: A Guide to the Show：各エピソードの詳細な解説や裏話が満載の、ファン必携のガイドブック（洋書）。