伝説のドラマ『超人ハルク』第11話「死の実験室」徹底解説!迫るメルトダウンとデビッドの決断
『超人ハルク』第11話「死の実験室」の概要
1970年代から80年代にかけて世界中で大ヒットし、日本でも多くのファンを魅了したドラマ『超人ハルク(The Incredible Hulk)』。
今回は、その記念すべきシーズン1より、緊迫感溢れる名エピソード第11話(通算エピソードではパイロット版を含め第10話または11話とされる場合がありますが、本記事では邦題「死の実験室」、原題「Earthquakes Happen」として解説します)に焦点を当てます。
この回は、主人公デビッド・バナーが自らの体質を治すために原子力発電所に潜入するという、非常にスリリングな展開が特徴です。
巨大地震の発生、迫りくるメルトダウンの危機、そして正体がバレるリスクと人命救助の狭間で揺れるデビッドの葛藤が見事に描かれています。
単なるアクションドラマの枠を超えた、人間ドラマとしての深みを持つ本エピソードのあらすじと見どころを詳しくご紹介します。
エピソード「死の実験室」の詳細
1. エピソードのあらすじ:希望と絶望の原子力発電所
逃亡生活を続ける科学者デビッド・バナーは、自らの肉体に宿る「ハルク」という変身能力(呪い)を解くため、ガンマ線治療の研究が進んでいる原子力研究所に目をつけます。
彼は身分を偽り、原子力安全検査官として施設内部への潜入に成功します。
そこには、デビッドが自身の治療に応用できると考えている高度なガンマ線照射装置がありました。
しかし、その研究所は活断層の真上に建設されているという、致命的なリスクを抱えていたのです。
2. 訪れる危機:地震発生と閉鎖された密室
デビッドが装置を使って自らの治療を試みようとした矢先、巨大な地震が施設を襲います。
制御システムはダウンし、原子炉の冷却機能が停止。施設内は崩落により脱出不能となり、温度は上昇し続け、メルトダウン(炉心溶融)による大惨事が刻一刻と迫ります。
デビッドは、共に閉じ込められた女性科学者や職員たちを救うため、知識を総動員して危機に立ち向かいますが、人間の力ではどうにもならない状況に追い込まれていきます。
3. ハルクへの変身:モンスターが英雄になる瞬間
生存者たちの命を救うには、重量数トンにも及ぶ瓦礫を持ち上げ、高熱のバルブを手動で回すしかありません。
しかし、それはデビッドの正体、すなわち「緑の怪物」を衆目に晒すことを意味します。
極限のストレスと、人々を助けたいという強い意志が引き金となり、デビッドの目は白く変わり、筋肉が膨張を始めます。
このエピソードのクライマックスでは、ハルクが圧倒的なパワーで崩れ落ちる天井を支え、蒸気が噴き出す灼熱の部屋でバルブを回し、メルトダウンを食い止める姿が描かれます。
恐怖の対象であるはずのモンスターが、誰よりも純粋に命を守ろうとする姿は、本作最大のテーマである「孤独な英雄の悲哀」を象徴しています。
4. 切ない結末と「The Lonely Man」
ハルクの活躍により最悪の事態は免れましたが、変身を目撃されたデビッドはその場に留まることができません。
感謝の言葉を受け取ることもなく、彼はまたひとり、リュックを背負って次の町へと去っていきます。
エンディングで流れるピアノ曲「The Lonely Man Theme」と共に歩き出すデビッドの姿は、視聴者の涙を誘う名シーンです。
このエピソードは、特撮技術(CGではなく人力と特殊メイク)の迫力だけでなく、70年代特有の「科学技術への警鐘」という社会派なテーマも内包しており、シリーズ屈指の完成度を誇ります。
参考動画
ドラマ『超人ハルク』のまとめ
ドラマ『超人ハルク』第11話「死の実験室」は、単なるヒーローものではなく、災害パニックと人間ドラマが見事に融合した傑作です。
CG全盛の現代から見れば映像技術はアナログですが、ビル・ビクスビー演じるデビッドの悲哀に満ちた表情と、ルー・フェリグノ演じるハルクの圧倒的な肉体美は、今もなお色褪せない魅力を持っています。
「力とは何か」「科学とは何か」、そして「自己犠牲とは何か」。
このエピソードは、私たちに多くの問いを投げかけます。
もし機会があれば、ぜひこの昭和の名作ドラマを見返して、デビッド・バナーの孤独な旅路に思いを馳せてみてください。
関連トピック
ビル・ビクスビー:デビッド・バナー役を演じた名優。彼の知的な演技が、このドラマにリアリティと品格を与えました。
ルー・フェリグノ:ハルク役を演じた元ボディビルダー。CGなしの肉体だけでハルクを表現した彼の存在感は伝説的です。
昭和の海外ドラマ:『特攻野郎Aチーム』や『ナイトライダー』など、この時代には熱狂的な人気を博した名作が数多く存在します。
関連資料
DVD『超人ハルク コンプリート DVD-BOX』:シーズン1から最終シーズン、さらにテレビ映画版まで網羅したファン必携のアイテム。
マーベル・コミック『インクレディブル・ハルク』:ドラマ版とは設定が異なる部分も多いですが、原点を知ることでドラマの脚色の妙を楽しめます。

