【インベーダー うんちく】宇宙人の見分け方は「曲がらない小指」!証拠が消える恐怖と衝撃の打ち切りを徹底解説
『インベーダー』の概要
『インベーダー』(原題: The Invaders)は、1967年から1968年にかけてアメリカで放送されたSFテレビドラマです。
ある夜、建築家のデビッド・ビンセント(演:ロイ・シネス)は、道に迷った田舎道でUFOの着陸を目撃します。
それは、滅びゆく星からやってきた地球外生命体「インベーダー」の地球侵略の始まりでした。
彼はインベーダーの陰謀を世間に訴えようとしますが、誰にも信じてもらえません。
本作は、たった一人で「見えない敵」との絶望的な戦いを続ける男の孤独と恐怖を描き、カルト的な人気を博しました。
日本でもその緊迫した内容とナレーションで、多くの視聴者に強烈な印象を残しました。
『インベーダー』の詳細うんちく
最大のうんちく:インベーダーの見分け方
『インベーダー』を象徴する最大の「うんちく」は、地球人に完璧に擬態しているインベーダーの見分け方です。
彼らは外見上、人間と全く区別がつきません。
しかし、デビッド・ビンセントはいくつかの決定的な特徴を発見します。
- 曲がらない小指: 最も有名な特徴がこれです。インベーダーは、人間の小指の関節(DIP関節、いわゆる第一関節)を曲げることができず、小指が不自然にまっすぐ伸びたままになっています。このため、彼らは何かを握る際に小指だけが立っているように見えることがあり、ビンセントが相手をインベーダーだと見破る重要な手がかりとなりました。
- 感情の欠如: 彼らは人間的な感情、特に「痛み」や「喜び」といった情緒が欠落しています。
- 脈拍と血液がない: 人間としての生命活動を行っていないため、脈拍や心音がなく、負傷しても血を流しません。
- 定期的な「充電」が必要: 地球の環境では肉体を維持できず、定期的に透明な円筒形の装置に入ってエネルギーを「充電(再生)」する必要があります。
証拠が残らない絶望的な戦い
ビンセントの戦いを絶望的にしている最大の要因は、「証拠が残らない」ことです。
インベーダーは、死亡するか正体がバレそうになると、まばゆい赤い光を発しながら人体発火のように燃え尽き、跡形もなく消滅してしまいます。
ビンセントがインベーダーを倒し、警察や知人を呼んできても、そこには何も残っていません。
このため、ビンセントは「インベーダーを見た」と証言すればするほど、「精神異常者」「妄想狂」として扱われ、社会的に孤立していきます。
この設定が、他のSF作品にはない独特のサスペンスと、主人公の孤独な恐怖を際立たせていました。
日本版の名ナレーション
本作は『逃亡者』と同じクイン・マーチン・プロダクションが制作しており、日本での放送では『逃亡者』や『スパイ大作戦』でもおなじみの矢島正明がナレーションを担当しました。
「彼らを見た者は、まだ誰もいない。だが、確かに彼らは存在する。滅びゆく星から、我々の地球にやってきたインベーダー。その目的は、地球征服にあった……」
この矢島正明による重厚で緊迫感あふれるナレーションが、ドラマの不気味な雰囲気を完璧に演出し、日本での人気を決定づけました。
衝撃の「打ち切り」と結末
『インベーダー』は人気を博しましたが、全2シーズン(全43話)で突然放送が終了してしまいます。
物語は明確な結末を迎えておらず、最終話「Inquisition(邦題:査問会)」でも、ビンセントはインベーダーの陰謀を公にすることはできたものの、侵略を完全に阻止するには至っていません。
結局、インベーダーとの戦いは継続したまま、デビッド・ビンセントがこれからも孤独な戦いを続けていくことを示唆する形で、物語は幕を閉じます。
この「戦いは終わらない」という結末は、当時の視聴者に強烈な印象と一抹の恐怖を残しました。
参考動画
まとめ
『インベーダー』は、派手な宇宙戦争ではなく、「隣人がすでにインベーダーかもしれない」というパラノイア(偏執的恐怖)を描いた点で画期的な作品でした。
「曲がらない小指」という象徴的なディテールと、証拠が消えてしまうという絶望的な状況設定は、視聴者に強烈なスリルとサスペンスを与えました。
主人公が誰にも信じてもらえない中で、見えない敵の陰謀に立ち向かっていくという構図は、後の『X-ファイル』など、多くの陰謀論的SF作品に多大な影響を与えたと言えるでしょう。
今なお、多くのファンの記憶に「恐怖のドラマ」として刻まれている傑作です。
関連トピック
デビッド・ビンセント(ロイ・シネス): 主人公を演じた俳優。彼の切迫した演技が、孤独なヒーロー像を確立しました。
クイン・マーチン・プロダクション: 『逃亡者』や『FBI特別捜査官』など、数々の名作ドラマを生み出した制作会社。本作もその一つで、重厚な作風に定評がありました。
矢島正明: 日本語版のナレーションを担当。『インベーダー』の恐怖と緊迫感を倍増させた、日本での功労者の一人です。
『X-ファイル』: 「真実はそこにある」「誰も信じてもらえない」というテーマや、政府内に潜む陰謀といった点で、本作の精神的な後継作と見なされることもあります。
関連資料
インベーダー 1st Season / 2nd Season [DVD-BOX]: テレビシリーズ全話を収録したボックスセット。あの孤独な戦いのすべてを追体験できます。
海外SFドラマ傑作選 [ムック本]: 1960年代〜70年代のクラシックSFドラマを特集した書籍。本作の解説やスチール写真が掲載されていることがあります。
クイン・マーチン・プロダクション関連作品 [DVD]: 『逃亡者』や『FBI』など、同じ制作会社の他作品と見比べることで、時代特有の作風や演出の共通点を発見できます。