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涙なしでは見られない?『インベーダー』屈指の名作第4話「砂漠の円盤」!美しき異端者との逃避行

SF
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涙なしでは見られない?『インベーダー』屈指の名作第4話「砂漠の円盤」!美しき異端者との逃避行

「砂漠の円盤」の概要

「彼女は敵なのか、それとも味方なのか…」

1967年に放送されたSFドラマ『インベーダー』の中でも、ファンから「最も切なく、美しいエピソード」として愛され続けているのが、第4話「砂漠の円盤(原題:The Mutation)」です。

冷酷無比な侵略者として描かれてきたインベーダーの中に、もし「人間の感情」を持つ個体がいたらどうなるのか?

本作は、そんなSFならではの「もしも」を、メキシコの乾いた砂漠を舞台に描いた哀愁漂うロードムービーです。

ゲストスターには、アルフレッド・ヒッチコック監督の『鳥』などで知られる名女優スザンヌ・プレシェットを迎え、主人公デビッド・ビンセントとの間に生まれる奇妙な信頼関係と、避けられない悲劇的な結末が見事に描かれています。

単なるアクション活劇にとどまらない、シリーズの奥深さを決定づけたこの名エピソードの魅力を、あらすじと共に徹底解説します。

「砂漠の円盤」の詳細

【物語の始まり:メキシコの荒野へ】

ある日、デビッド・ビンセント(ロイ・シネス)は、UFO目撃情報のタレコミを得て、メキシコの砂漠地帯へと向かいます。

しかし、それは彼を陥れるための罠である可能性もありました。

案の定、現地で彼を待ち受けていたのは、金目当ての胡散臭い男たちでしたが、デビッドは執念で調査を続けます。

そんな中、彼は砂漠のただ中で一人の美しい女性、ビッキー(スザンヌ・プレシェット)と出会います。

【美しき変異体(ミュータント)、ビッキー】

ビッキーは、実はインベーダーの一員でした。

しかし、彼女は他の仲間とは決定的に異なる特徴を持っていました。

インベーダーは本来、感情を持たない冷徹な種族ですが、彼女は実験の失敗あるいは突然変異により、「同情」や「恐怖」、「愛情」といった人間の感情を持ってしまったのです。

そのため、彼女は「欠陥品(ミュータント)」として組織から追われる身となっていました。

彼女の小指は他のインベーダー同様に硬直していますが、その心は誰よりも人間らしくあろうとしていました。

【デビッドとの逃避行と葛藤】

最初はビッキーを利用してインベーダーの証拠(彼女自身、または宇宙船)を手に入れようとするデビッド。

一方、ビッキーも生き延びるためにデビッドを頼ります。

敵対する種族同士であるはずの二人は、荒涼とした砂漠を逃げる中で、次第に不思議な連帯感で結ばれていきます。

デビッドは彼女の中に、失われた人間性を見出し、ビッキーはデビッドの中に、自分を受け入れてくれる優しさを感じ取ります。

しかし、インベーダーの追跡の手はすぐそこまで迫っていました。

【涙の結末:愛の証明】

クライマックス、追っ手に追い詰められた二人。

ビッキーはデビッドを救うために、ある決断を下します。

それは、自らの命を犠牲にしてでも、彼を逃がすことでした。

彼女はデビッドに警告を発し、自らはインベーダーの武器によって撃たれてしまいます。

その瞬間、彼女の体はインベーダー特有の赤い光を発して燃え上がり、灰となって消滅してしまいました。

デビッドの手の中に残されたのは、ほんのわずかな灰と、彼女が確かに存在したという記憶だけ。

「証拠」はまたしても消え去り、デビッドは再び孤独な旅へと戻ることになります。

ラストシーン、砂漠に一人佇むデビッドの姿と、スザンヌ・プレシェットの儚い演技が、視聴者の涙を誘います。

【見どころ:スザンヌ・プレシェットの演技】

このエピソードの最大の魅力は、何と言ってもビッキーを演じたスザンヌ・プレシェットの圧倒的な存在感です。

彼女の大きな瞳とハスキーな声は、異星人の神秘性と、運命に翻弄される女性の弱さを見事に表現しています。

彼女とロイ・シネスのケミストリー(相性)は抜群で、二人が見つめ合うシーンには、言葉以上の感情が溢れています。

また、音楽担当のドミニク・フロンティアによる、通常とは異なるメロディアスで切ないスコアがエンディングで使用されている点も、ファンの間で語り草となっています。

「砂漠の円盤」の参考動画

まとめ

第4話「砂漠の円盤」は、『インベーダー』という作品が単なる「宇宙人撃退ドラマ」ではないことを証明した重要作です。

敵の中にも「心」を持つ者がいるかもしれないという視点は、後の『スタートレック』や『X-ファイル』などのSF作品にも通じる、他者理解と共存の難しさを問いかけています。

ビッキーの死は、デビッドにとって「全てのインベーダーが悪ではない」という複雑な感情を植え付け、彼の戦いをより孤独で深みのあるものへと変えました。

アクション、サスペンス、そしてラブロマンスが見事に融合したこのエピソードは、シリーズ未見の方にも自信を持っておすすめできる傑作です。

関連トピック

スザンヌ・プレシェット (Suzanne Pleshette)

ビッキー役を演じたアメリカの女優。映画『鳥』やドラマ『逃亡者』など数多くの名作に出演。知的で深みのある演技で知られ、ロイ・シネスとは私生活でも交流があったと言われています。

変異体 (Mutation)

インベーダーの設定の一つ。本来感情を持たない彼らの中に、稀に地球人の感情を持ってしまう個体が現れるという設定。組織にとっては排除すべき対象ですが、ドラマにとっては物語を豊かにする重要な要素です。

ロケーション撮影

本エピソードは、広大な砂漠地帯でロケ撮影が行われました。乾いた風や強い日差しが画面から伝わってくるような臨場感があり、スタジオ撮影では出せないリアリティを生み出しています。

関連資料

DVD『インベーダー 1st Season DVD-BOX』

本エピソードを高画質で収録。スザンヌ・プレシェットの繊細な表情の変化を細部まで確認できます。

サウンドトラック『The Invaders: Original Television Soundtrack』

ドミニク・フロンティアによる劇伴音楽集。本エピソードで使用された叙情的な楽曲も聴くことができます。

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