YouTubeで見る「ルーシー・ショー」徹底解説!あらすじ・キャスト・社会的評価まとめ
YouTubeで「ルーシー・ショー」(The Lucy Show)
『ルーシー・ショー』(原題: The Lucy Show)は、1962年から1968年にかけてアメリカのCBSネットワークで放送された、コメディエンヌのルシル・ボール主演による伝説的なシチュエーション・コメディ(シットコム)です。
概要:『アイ・ラブ・ルーシー』後の伝説
本作は、アメリカのテレビ史における不朽の名作『アイ・ラブ・ルーシー』(I Love Lucy)の後継番組として制作されました。
物語は、当初、夫と死別した(または離婚した、設定は曖昧にされている)主人公ルーシー・カーマイケルが、コネチカット州の郊外で二人の子供(クリスとジェリー)を育てながら、親友で同じく未亡人(または離婚経験者)のヴィヴィアン・バグレーと共同生活を送るという設定でスタートしました。
彼女たちが日常生活や仕事(特に銀行での秘書業務)で巻き起こす、奇想天外なドタバタ劇が描かれます。
ルシル・ボールが演じる「ルーシー」は、常識外れの発想と強烈な自己主張で周囲を振り回しますが、決して憎めない愛嬌と人間味に溢れています。
彼女の身体を張ったスラップスティック(どたばた喜劇)は、本作でも健在です。
『アイ・ラブ・ルーシー』から続く彼女の圧倒的なコメディエンヌとしての才能が、本作でも遺憾なく発揮されています。
オープニング(シーズン1)
「ルーシー・ショー」シーズン1 オープニング (YouTube)
詳細:設定変更と長寿人気
本作は、ルシル・ボールとデジ・アーナズ(『アイ・ラブ・ルーシー』での夫役)が共同で設立した制作会社「デシル・プロダクション」によって制作されました。
放送は全6シーズン、合計156のエピソードに及びます。
『ルーシー・ショー』は、その歴史の中で何度か大きなフォーマット変更(設定変更)が行われたことでも知られています。
シーズン1からシーズン3(1962年〜1965年)までは、前述の通りコネチカット州を舞台に、親友ヴィヴィアン・バグレー(ヴィヴィアン・ヴァンス)との共同生活が中心でした。
この「未亡人二人」という設定は、当時のテレビドラマとしては斬新なものでした。
しかし、シーズン3終了時にヴィヴィアン・ヴァンスがレギュラーを降板します。
これに伴い、シーズン4(1965年)からは物語の舞台をカリフォルニア州ロサンゼルスに移します。
ルーシーは子供たちを寄宿学校に入れたという設定(子供たちは以降登場しなくなる)になり、新たな上司である銀行頭取のセオドア・J・ムーニー(ゲイル・ゴードン)が登場します。
以降、最終シーズン6(1968年)までは、短気で厳格なムーニー社長を、ルーシーが様々な騒動に巻き込んでいくという「上司と部下」のドタバタ劇がメインとなりました。
このムーニー社長との掛け合いは本作の新たな名物となり、高視聴率を維持し続けました。
日本でも1963年からTBS系列などで放送され、ルシル・ボールのコミカルな演技がお茶の間に親しまれました。
キャスト:主な登場人物
- ルーシー・カーマイケル:ルシル・ボール
- ヴィヴィアン・バグレー:ヴィヴィアン・ヴァンス (シーズン1〜3)
- セオドア・J・ムーニー(ムーニー社長):ゲイル・ゴードン (シーズン2から登場、シーズン4からメイン)
- クリス・カーマイケル(娘):キャンディス・ムーア (シーズン1〜3)
- ジェリー・カーマイケル(息子):ジミー・ギャレット (シーズン1〜3)
キャストの代表作品名
- ルシル・ボール (ルーシー役):
- 『アイ・ラブ・ルーシー』(テレビドラマ)
- 『ルーシー・デジ・コメディ・アワー』(テレビドラマ)
- 『ヘイゼルと表示された女』(映画)
- ヴィヴィアン・ヴァンス (ヴィヴィアン役):
- 『アイ・ラブ・ルーシー』(エセル・マーツ役)(テレビドラマ)
- 『偉大なジェシー・ジェームズの強盗』(映画)
- ゲイル・ゴードン (ムーニー社長役):
- 『Our Miss Brooks(我らのブルックス先生)』(ラジオ・テレビドラマ)
- 『Here’s Lucy(陽気なルーシー)』(テレビドラマ)
- 『Dennis the Menace(わんぱくデニス)』(テレビドラマ)
まとめ:視聴率1位で引退した伝説のコメディ
『ルーシー・ショー』は、前作『アイ・ラブ・ルーシー』の影に隠れがちでありながらも、アメリカのテレビ史において極めて重要な成功を収めた作品です。
最大の功績は、ルシル・ボールが「アメリカで最も愛されたコメディエンヌ」としての地位を不動のものにした点にあります。
『アイ・ラブ・ルーシー』の終了後、彼女が再びシットコムの頂点に返り咲けるかは未知数でしたが、本作は放送開始直後から絶大な人気を獲得しました。
特に、ヴィヴィアン・ヴァンスとのコンビ(『アイ・ラブ・ルーシー』のルーシー&エセルの再来)は、多くのファンを喜ばせました。
後半のゲイル・ゴードン(ムーニー社長)とのコンビネーションも、ルシル・ボールの新たな魅力を引き出すことに成功しました。
視聴率は全シーズンを通じて常にトップ10圏内を維持するという驚異的な記録を打ち立て、特に最終シーズン(1967-1968年)では、全米視聴率第1位の座で有終の美を飾りました。
これは、ルシル・ボール自身が「視聴率トップのまま引退したい」と望んだ結果とも言われています。
本作はエミー賞にも度々ノミネートされ、ルシル・ボールは本作の演技で1967年と1968年にコメディ部門の主演女優賞を2年連続で受賞しています。
『ルーシー・ショー』は、テレビにおける女性コメディアンの可能性を切り開き、シットコムというジャンルを確立させた金字塔として、今なお高く評価されています。
作品関連商品(DVD・配信情報)
『ルーシー・ショー』を視聴する主な方法は、海外(特に北米版・リージョン1)でリリースされているDVD-BOXセットです。
オフィシャル・コンプリートシリーズ(全6シーズン)のDVD-BOXが販売されており、往年のファンにとっては貴重なコレクションとなっています。
ただし、リージョンコードが日本(リージョン2)と異なるため、日本の一般的なDVDプレイヤーでは再生できない可能性があり、リージョンフリーのプレイヤーが必要となる点に注意が必要です。
また、一部のエピソードは、著作権の保護期間が切れたもの(パブリックドメイン)として、YouTubeなどの動画サイトで視聴可能な場合があります。
日本国内での公式な動画配信サービス(VOD)での全シーズン配信は、2025年現在、限定的です。
関連書籍としては、ルシル・ボールの自伝や、アメリカのテレビ黄金期を扱った研究書などで、本作の重要性が語られています。

