セイント 天国野郎のうんちく決定版!ロジャー・ムーア、幻のジャガーとボルボP1800の秘密

セイント 天国野郎のうんちく決定版!ロジャー・ムーア、幻のジャガーとボルボP1800の秘密

「セイント 天国野郎」の概要

「セイント 天国野郎」(原題: The Saint)は、1962年から1969年にかけてイギリスで制作・放送された、伝説的なテレビドラマシリーズです。

原作はレスリー・チャータリスによる人気冒険小説シリーズで、主人公サイモン・テンプラー、通称「セイント」の活躍を描いています。

彼は洗練された紳士でありながら、法では裁けない悪党を相手に活躍する「現代のロビン・フッド」とも呼ばれる義賊的な冒険家です。

事件の現場に「棒人間(天使の輪がついた)」のマークを残していくのが彼のトレードマークでした。

この作品は、主演のロジャー・ムーアを一躍国際的スターに押し上げ、後のジェームズ・ボンド役への道を切り開いたことでも知られています。

この記事では、「セイント 天国野郎」にまつわる、今なお語り継がれる fascinating(魅力的な)うんちくを徹底解説します。

「セイント 天国野郎」の詳細

ロジャー・ムーアとジェームズ・ボンドへの道

「セイント 天国野郎」のうんちくを語る上で、主演のロジャー・ムーアの存在は欠かせません。

彼が演じたサイモン・テンプラーは、常に完璧なスーツを着こなし、ウィットに富んだジョークを飛ばし、どんな危機的状況でも冷静さを失わないダンディズムの塊のようなキャラクターでした。

この役はロジャー・ムーアのキャリアにおいてまさに出世作となり、彼は世界的な知名度を獲得します。

実は、「セイント」の原作者イアン・アンガス氏は、映画「007」シリーズの原作者イアン・フレミングと友人であり、フレミングは「007」の映画化の際、初代ジェームズ・ボンド役にロジャー・ムーアを推薦したとも言われています。

しかし、当時ムーアは「セイント」の撮影契約に縛られていたため、ボンド役はショーン・コネリーの手に渡りました。

皮肉なことに、「セイント」で演じた洗練されたプレイボーイ的なスパイ像が、後の1973年、ムーアが3代目ジェームズ・ボンド(『007 死ぬのは奴らだ』)として抜擢される際の強力なアピールポイントとなったのです。

まさに「セイント」は、ロジャー・ムーア版ボンドの原型とも言える作品でした。

幻のジャガーと「セイント・カー」ボルボ P1800の誕生秘話

「セイント」を象徴するもう一つのアイコンが、主人公サイモン・テンプラーが乗り回す白いスポーツカーです。

この車は、スウェーデンの自動車メーカー、ボルボの「P1800」です。

しかし、この名車が選ばれた背景には、有名な「うんちく」が存在します。

当初、イギリス制作のドラマであることから、制作陣はイギリスを代表するスポーツカー、ジャガー社に当時大人気だった「Eタイプ」の車両提供を申し入れました。

ところが、ジャガー社は「Eタイプはすでに人気がありすぎて生産が追いつかない」という理由で、この申し出を断ってしまったのです。

困った制作陣が次に目を付けたのが、当時デビューしたばかりのボルボ P1800でした。

ボルボ社はこの申し出を快諾し、結果としてボルボ P1800はドラマと共に世界的な人気を博しました。

「セイント」の影響でボルボのスポーティなイメージは確立され、P1800は「セイント・カー」として伝説的な存在となったのです。

もしあの時ジャガー社がOKしていたら、ボルボの歴史も変わっていたかもしれません。

ちなみに、ロジャー・ムーア自身もこの車を大変気に入り、プライベートでもナンバープレート「ST 1」(Saint 1)のP1800を所有していました。

日本の「天国野郎」と印象的なオープニング

「セイント 天国野郎」は、1965年から日本テレビ系列などで放送され、日本でも大人気となりました。

原題は「The Saint」(聖人)ですが、日本では「天国野郎」という非常にキャッチーな邦題がつけられました。

これは、彼の義賊的な活動や神出鬼没ぶりを「聖人」=「天国(神)に近い存在」と解釈し、当時の流行語であった「〇〇野郎」を組み合わせた秀逸なネーミングでした。

また、日本の視聴者にとって忘れられないのが、日本版オリジナルのオープニング・ナレーションです。

「東にスパイあれば飛んで行って国際陰謀を裁き、西に正体不明の怪獣出れば鮮やかな科学捜査でねじ伏せる。警察なんかてんでお呼びじゃない。でも美人だったら大歓迎…」という独特の語り口は、ドラマの魅力を凝縮していました。

そして、このダンディな主人公ロジャー・ムーアの日本語吹き替えを担当したのは、主に俳優・演出家として活躍した故・近藤洋介氏でした。

近藤氏の知的ながらも遊び心のある声が、日本の「セイント」像を決定づけたのです。

「セイント 天国野郎」の参考動画

「セイント 天国野郎」のまとめ

「セイント 天国野郎」は、単なる1960年代の冒険ドラマではありません。

それは、ロジャー・ムーアという不世出のスターをジェームズ・ボンドへと導き、ボルボ P1800という一台の車を伝説にし、そして日本のテレビ界に「天国野郎」という鮮烈な記憶を残した、文化的なアイコンです。

洗練されたスタイル、ウィットに富んだ会話、そして根底に流れる「悪を許さない」という正義感。

これらの要素が完璧に融合した「セイント」の魅力は、放送から半世紀以上が経過した今でも色褪せることがありません。

このドラマのうんちくを知ることは、60年代の華やかなテレビ文化と、私たちが愛したヒーローの原点に触れる旅でもあるのです。

関連トピック

ロジャー・ムーア: 「セイント」でブレイクし、後に3代目ジェームズ・ボンドとして『007』シリーズ7作品に主演したイギリスの伝説的俳優。彼のユーモラスで洗練された演技スタイルは「セイント」で確立されました。

ボルボ P1800: サイモン・テンプラーの愛車として有名になったスウェーデンのクーペ型スポーツカー。「セイント・カー」として世界中に知られ、ボルボのブランドイメージ向上に大きく貢献しました。

レスリー・チャータリス: 「セイント」シリーズの原作者であるイギリスの作家。彼は生涯を通じてサイモン・テンプラーの物語を書き続け、世界的な人気作家となりました。

007 (ジェームズ・ボンド): 「セイント」と同じくイギリスが生んだ世界的なスパイ・ヒーロー。ロジャー・ムーアが「セイント」のイメージを引き継ぎつつ、独自のボンド像を確立しました。

近藤洋介: 俳優、演出家であり、「セイント 天国野郎」の日本放送時にロジャー・ムーアの日本語吹き替えを担当した声優。彼の声が日本のサイモン・テンプラーのイメージを決定づけました。

関連資料

『セイント 天国野郎』 DVD-BOX: 日本で発売されているDVDセット。オリジナルの映像と共に、当時の雰囲気やロジャー・ムーアの若き日の姿を堪能できます。

『ロジャー・ムーア自伝』 (書籍): ロジャー・ムーア自身が「セイント」時代や「007」時代の撮影秘話、共演者についてユーモアたっぷりに語った自伝。ファン必読の一冊です。

『The Saint』 (レスリー・チャータリス 著・原作小説): ドラマの原作となった小説シリーズ。ドラマとはまた異なる、よりハードボイルドでシニカルなサイモン・テンプラーの姿が描かれています(邦訳版は絶版などで入手困難な場合があります)。

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